1. 冬場の結露対策 * 今年(2012年)の冬、関東地方で結露、カビの発生が増えた * 関東地方では冬場は乾燥するため結露は起こらないとの先入観があった。 * 先入観、すなわち思い込みによる不覚は仕事やプライベートのみならず政治、経済、戦争及び災害などでしばしば経験する。 * 寒冷地では防寒(結露)対策は当たり前 2. 結露を防ぐ 1) 結露の発生原因 ① 室内の湿度が高い ② 室内に水分を発生するものがある ③ 室温が低くなることにより、相対的に湿度があがる 2) 結露が嫌がられる理由 ① カビが生える ② 壁、天井、サッシ取り付け枠が傷む ③ カビの臭いがして気分、体調が悪くなる 3) カビが発生しやすい場所 ① 寝室 ② リビングルーム ③ ダイニングルーム ④ 押入れ 4) 結露対策 ① 過度な湿気の防止 ② 換気の促進 ③ 空気の流通を良くする ④ 室内を適温にたもつ * ファンヒータ、ガスヒータは燃焼時に水分を発生するため、極力暖房費が安いエアコンを使う。ただし、朝方の立ち上げ時、エアコンではすぐに暖まらないのでファン、ガスヒータを使い、途中でエアコンに切り替える。 * 寝室の就寝前と起床後の換気は結露防止に効果がある。 * 除湿器の使用は結露防止に役立つ。押入れには除湿剤が効果的。 * 既存の窓に内窓を追加したり、窓ガラスにプチプチや断熱材を張り付けると結露防止に効果がある。 |
番号 | 湿度が上がる要因 | 事 例 |
1 | 室内の湿度が高い | 梅雨の時期 |
2 | 室内に水分を発生するものがある | 室内に人がいる*2) 植物を置いている 金魚などの水槽がある。水中へ空気を送っていると更に湿度があがる。 ファン(灯油)ヒータ、ガスヒータを使っている 室内に洗濯物を干している 浴室を開けっ放しにしている 加湿器を使っている |
3 | 室温が低くなることにより、相対的に湿度があがる | 朝方外気温が低くなるにつれ室内の温度も下がり、それにつれ湿度があがる。 |
補 給 | 排 出 | ||
食物 | 800 | 尿 | 1,200 |
飲料水 | 1,300 | 糞便 | 200 |
代謝物*X) | 300 | 汗 | 700 |
呼吸 | 300 | ||
合計 | 2,400 | 合計 | 2,400 |
番号 | 部屋の名前 | 結露の要因 |
1 | 寝室 | 常時締め切っている 就寝時1人当たり40~50g/時間の水分が発生 |
2 | リビングルーム | 夜間暖房を使った後、朝方室温が下がる 人がたくさん集まるため水分が発生 |
3 | ダイニングルーム | 食事の支度、食事の時(鍋料理など)に水蒸気が発生 食器乾燥機、食器洗い機から水分が蒸発 |
4 | 押入れ | 空気の流れが悪い |
番号 | 4原則 | 結露防止対策 | 具体的な対策 |
1 | 過度な湿気の防止 | 植物を少な目にする | 植物を室内に置くと湿度が5%上昇。 |
2 | 洗濯物を室内にできるだけ干さない | 洗濯物を室内に干すと湿度が26%上昇。 | |
3 | お湯を張った浴槽のドアを開放しない | 浴槽にお湯を張ったまま浴室のドアを開けたままにすると室内の湿度が18%上昇。 (参考)ビジネスホテルなどへ宿泊した際、部屋が乾燥しすぎる場合、お湯を張った浴室の扉を開けたままにすると部屋の湿度を上げることができる。 | |
4 | ファン(灯油)ヒータ、ガスヒータの使用を控えたり、長時間使用しない | ファンヒータ(FF式(密閉式、強制給排気型)のファンヒータは室内に燃焼ガスを直接放出しないので除外)、ガスヒータは燃焼時に水分を室内へ放出するため、これらの暖房機器の代わりにエアコンを使う。 更にエアコンの暖房代はファンヒータの1/2、ガスヒータの1/4で済むため、エアコンが一番経済的である。 ただし、エアコンは短時間に室内の温度を上げることができない。朝一番に冷えきった部屋をすぐに暖めるにはファン、ガスヒータが優れており、これらを30分ほど使い、部屋が暖まったらファン、ガスヒータの使用を停止し、エアコンに切り替えるのが最適な暖房器具の使用方法である。 冬場に乾性皮膚炎(乾燥すると症状が出たり悪化する)になりかゆみや発疹がでる家族がいる場合、室内を乾燥しすぎないようにすると症状が改善するため、水分を発生するファンヒータ、あるいはガスヒータとエアコンを切り替えて運転したり、同時使用すると良い。 | |
5 | 加湿器の使用は最小限にとどめる | 関東地用では、冬場、乾燥注意報が発令される日が多いため加湿器を使用する家庭が多い。 加湿器の設定湿度を55%程度にとどめ過湿しすぎないようにする。 |
6 | 換気の促進 | 就寝時に部屋の湿度を下げる | 就寝前に窓を5分程度開け、室内の暖まった湿度の高い空気を外気と入れ替えることにより部屋の湿度を下げる。 5分程度の窓開けなら、室内の温度はほとんど下がらない(室内の天井、壁、床、設置している家具などが暖まっているため)。 |
7 | 起床時に寝室の窓を開ける | 寝室の湿度は就寝中に身体から排出された汗、呼吸により上がっているため、起床後、寝室の窓を開け、換気することにより寝室の湿度を下げる。 | |
8 | 換気扇を常時使用する ただし、冬場は冬季運転モードとする | 新しいマンションでは、密閉性が高いため1日中常時換気が普通となっており、換気扇を止めないこと。 春~秋季の間、浴室換気扇は「標準設定モード」に設定し1日中連続運転とするが、冬場は標準風量だと浴室へ室内の暖かい空気が流れ寒く感じるため、風量を通常の半分程度の設定となっている「冬季運転モード」に変更し常時運転する。 風呂に入ったあとは、浴室内の湿度が高いため、1時間程度「高風量モード」とし、その後は「冬季運転モード」とする。 浴室換気扇、キッチンの換気扇は運転時には外気が窓の隙間から部屋へ流れ込むため室内の湿度は下がるが同時に室温も下がる。換気扇の運転時間や風量が多すぎると暖房の効きが悪くなるため、換気と暖房器具使用のバランスをとることがたいせつ。 | |
9 | 使わない部屋、押し入れも換気する | 使っていない部屋、倉庫代わりの部屋などは普段立ち入らないため、室内の空気がよどんでいるため、湿度が少ない昼間に窓やドアを開けて換気する。 押入れも乾燥したからっとした日にドアやふすまをあけて開放する。 | |
10 | 空気の流通をよくする | 家具は壁から離す | 家具の後ろは空気の流れが悪いため、湿気がこもりがちとなりカビが発生しやすくなる。 理想として家具は壁から5~10cm以上離す。 実際は、狭い部屋を広く使うため壁際いっぱいまで家具を押し込む家庭がほとんどである。 また、理想として家具は床から2cm高く置きたいが、実用、美観上難しく、家具を床から高く置いた家庭を見たことがない。 |
11 | 押入れの収納物は床や壁から離す | 押し入れは、開ける頻度が少ないため、押し入れ内の空気は常によどんだままのため湿気がこもりやすい。 押入れの床にすのこを敷く、プラスチックの収納容器、段ボールは壁から5cm離すことにより空気 が流れやすくする。 多くの家庭で乾燥剤を押し入れに置き、乾燥剤の効果がなくなったら交換するのも良い除湿対策である。 | |
12 | 室温を適温に保つ | 室温を適切に 冬場は20~23℃ 夏場は25~28℃ | 冬場の室温を20~23℃に保ち過度に室温を上げない。 結露は温度差が大きいほど発生しやすいので過度に室温を上げすぎないことも重要。 |
13 | 部屋の中で低温の場所を作らない | 暖房したリビングルームとドアをはさんで暖房していない玄関があると、ドアの隙間から暖かい湿った空気が玄関へ流れ込み結露が発生することがある。 全室暖房すれば解決するが、一般家庭では使わない部屋を暖房するなど無駄なことは絶対にやらない。 この項目は10.の家具と壁や床との隙間の確保と同様にまったく採用できない内容である。 |
番号 | 方法 | 結露防止対策 | 具体的な対策 |
1 | 部屋の断熱性を増す | 窓ガラスの改造 | 窓ガラスを二重ガラス(ペアガラス)に交換する 既存の窓の内側にもう一枚内窓を取り付ける 窓ガラスの内側にプチプチやプラスチック板を張り付ける |
2 | カーテンの改良 | カーテンで窓全体を覆うようにする カーテンボックスの上部、側面を隙間をなくす カーテンを厚手に交換したり、二重にする | |
3 | 水分を除去する | 結露を取り除く | 朝、窓ガラスやサッシについた結露を雑巾、結露とりグッズで取り除く。 結露は取り除かないと、室内の気温が上昇すると蒸発し室内の湿度を高める要因となるため朝取り除く。 |
4 | 除湿器を使う | 湿度が高い部屋へ除湿器を持っていき、除湿する。 除湿器は持ち運びできるため、除湿する部屋を変えて使うと効果的である。 | |
5 | 乾燥剤を使う | 押入れ、ウォークインクローゼットなど通常密閉され、開ける頻度が少ない場所の除湿には乾燥剤が効果的である。 |
Author:当仁覆面士
専 門:機械技術者