2011年1月16日
修正2018年2月11日
雑情報 (22-4)
温かく冬を過ごす方法、その4 健康法&防寒対策
要旨
1. 人が死ぬのは冬 * 冬季は夏季と比較すると3割程度死亡率が高い。 2. 心疾患、脳血管疾患の予防 1) 心疾患、脳血管疾患の発生しやすい気象条件 * 心疾患や脳血管疾患は気候の影響を受け、外気温が6℃未満、気圧が1,013ヘクトパスカル未満になると発症しやすい。 * 寒さが予測される場合には不必要な外出を控え、十分な防寒対策を取る。 2) 防寒対策 * 寒い風呂場やトイレに行く際、居間との温度差を小さくすることが脳卒中、心筋梗塞などを発症しない対策。 * 高血圧者は朝の起床時から2時間ほどの間は急激な温度差、運動は避ける。 3. 室内の防寒対策 1) 室内の暖房 * 暖房として運転経費が一番安いのはエアコンでガス、石油ファンヒータの約半分。 2) 局所暖房 * エアコンとホットカーペットの併用はエアコンの設定温度を多少下げても快適に過ごせる。 3) 冬季の乾性皮膚炎の予防 * 冬季は皮膚から水分が失われかゆみや湿疹ができる冬場乾性皮膚炎となりやすい。 * 乾性皮膚炎の予防としてエアコンにガスストーブ、石油ファンヒータあるいは加湿器の併用が良い。 4. 衣料品などによる防寒 1) 衣料品による防寒対策 * マフラーは大きめのものを首の周りにぐるりと巻きつけ前で結ぶと暖かい上にかっこいい。 * マフラーで注意しなくてはならないことは、マフラーの端を長くしすぎないこと! 死につながりかねない。 * 足首から上の脚部が冷えるようなら、レッグウオーマーが効果的。 * 帽子は深めにかぶると見栄えが良く耳も暖かい。 2) その他の防寒用品 * 冬場用のふかふかしたスリッパを履くと暖かさを感じる。 * 椅子に座っていて足元が冷える場合にはひざ掛けを使うと暖かい。
5. 浴室の防寒対策 1) 冬季の浴室の状況 * 暖房していない浴室及び脱衣場は、風呂に入る際、暖かい居間と脱衣場、浴室との温度差が大きく高齢者には危険な場所。 2) 浴室暖房(乾燥)機による防寒 a) 浴室暖房(乾燥)機 * 浴室の防寒対策のポイントは浴室や脱衣場を入浴前に暖かくしておくこと。 * 新築の一戸建てやマンションは浴室暖房(乾燥)機、二重ガラス窓、新洗浄方式のトイレ、温水洗浄便座の設置は標準装備。オール電化、食器洗い乾燥機が普及中。 * 既存のマンションでも浴室暖房(乾燥)機は必需品になりつつある。 b) 浴室暖房(乾燥)機の効果的な使い方 * 冬季は換気モードを冬季用に変えて運転。 3) 既存の浴室での防寒対策 * 浴室内の寒さによるヒートショックを受けないよう、浴槽内やシャワーのお湯を浴室の壁などをかけるなどしてすぐに浴室内の温度を上げる。 * 家族全員が安全に快適に風呂に入るようにするため、自家保有なら浴室暖房(乾燥)機の設置を検討しよう。 6. 浴槽内でおぼれないように 1) 浴槽内での溺死が多い * 高齢者が浴槽に入ると体温の上昇により血圧の上昇や低下が急速に起こるため、脳や心臓などの臓器の血流が減って意識障害を起こし、血液の流れが悪くなり脳梗塞や心筋梗塞の引き金となりやすい。 * 浴槽内でおぼれる事例は12,000件/年発生し9割程度が65歳以上。 2) 浴槽内での高齢者の溺死防止 * 浴槽内での高齢者の溺死を防ぐため、冬場には事前に浴室を暖める、お湯の温度は41℃以下、浴槽につかっている時間は5分程度。浴槽内は滑らないように気をつけ、浴室の周囲に手すりを設ける。高齢者は熱さに対する感覚が鈍くなっているため浴槽に長くつかっていると熱中症の恐れがある。 * 同居している場合、高齢者が風呂に入る際には連絡し、かつ時々声をかけ浴室内で倒れたり、おぼれていないことを確認しあうことが大事。
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△ページトップへ戻る 1. 人が死ぬのは冬
人間は男女とも冬季に死亡率が増え、夏季には減少する。
図1に示すように、冬季は夏季と比較すると3割程度死亡率が高い。気温の低下により4大死因(脳血管疾患、心疾患、肺炎及び悪性新物質)中の心筋梗塞、脳卒中などの心疾患、脳血管疾患、インフルエンザや風邪に起因した肺炎により亡くなる人が増えるためである。ガンのような悪性新生物による死亡は季節の影響を受けず一年を通して一定である。
これらの統計から、四季の移り変わりがある日本に住んでいる高齢者は冬を越せれば、春先に桜の開花を眺めることができ、翌年の冬まで長生きできる可能性が高い。
図12 主な死因別にみた月別1日平均死亡指数(1月=100) -平成16年- (2004年)
図1 死因別による月ごとの死亡率比較
2. 心疾患、脳血管疾患の予防
1) 心疾患、脳血管疾患の発生しやすい気象条件
気温が低下する冬季に亡くなる割合が高くなる心疾患と脳血管疾患について、発症しやすい気象条件を知っていると予防対策となる。
心疾患や脳血管疾患は気候の影響を受け、外気温が6℃未満、気圧が1,013ヘクトパスカル未満になると発症しやすくなる。
このため、冬場はまめに天気予報に注意し、寒波の襲来、寒さとともに爆弾低気圧の接近などが予測される場合には不必要な外出を控え、十分な防寒対策を取ることにより心疾患、脳血管疾患の発生を抑えることができる。
2) 防寒対策
人間は人為的に気圧を変えることはできないが、気圧以外の気温、湿度は、居住、生活環境を変えることにより対応が可能である。気温が低い日には室内に暖房を入れ、かつ身体を暖かく保てる衣服を身につけることにより快適に過ごすことができる。寒い日の外出時には厚手のコートをはおり、マフラーを首に巻きつけ極力肌を外気にさらさないようにする。
また、常時暖かい居間などにいても、寒い風呂場やトイレに行く際、居間と風呂場、トイレとの気温差が大きいため、極力その温度差を小さくすることが脳卒中、心筋梗塞などを発症しない対策となる。
高血圧者は朝の起床時から2時間ほどの間は急激な温度差、運動は血圧を上げる危険な時間帯のため無理をしないこと。
特に高血圧の高齢者は自ら用心が上に用心することが長生きの秘訣であり、家族が自分の介護で身体的、金銭的に苦労をしないことにもなる。高齢者は時間に追われることもなく、自分で事前に十分な防寒対策を取ることができるため、無理をせず、あわてず、無謀なこと、危険と思われることをしないように心がけよう。
{参考} 冬場に多い4大死因の一つ、肺炎を引き起こす要因となるインフルエンザや風邪にかからない方法については既発行の雑情報を参照。
3. 室内の防寒対策
1) 室内の暖房
室内の暖房器具としてエアコン、石油ファンヒータ、ガスストーブが使われるが、運転経費が一番安いのはエアコンでガス、石油ファンヒータの約半分の費用で済むため、エアコンを使用するのが最も経済的である。
運転経費はエアコンを1とすると、石油ファンヒータとガスストーブが2倍、電気ストーブ(カーボンヒータ、オイルヒータ)は5倍もかかるため、できるだけエアコンを使うのが良い。
a) サーキュレーター
最近はエアコンを効率よく使うためにサーキュレーター(価格5,000円程度)が話題となっている。
エアコンの室内機は取り付け場所が高いところにあるため暖かい空気を下方へ吹き出してもすぐに上方へ暖気が移動し、上方は暖かく、足元は冷たい状況である。
室内の温度の不均一を解消するためにサーキュレーターを使うと天井の暖かい空気を循環させることができるが、サーキュレーターを新規に購入、置き場所やスペースを取り邪魔になるなどの課題がある。代わりに夏場の扇風機を使う方法もあるが、扇風機では風の吹き出す方向を斜め上方にはできないため設置場所と設置方法が難しくサーキュレーターの代役にはなりそうもない。
サーキュレーターの外見は以下のサイトを参照。
2) 局所暖房
エアコンを使うと身体の上半身は暖かいけれど、腰から下を寒く感じる。エアコンの設定温度を上げても上半身だけは更に暖かくなるが、下半身は冷たいままである。
そのような場合に、ホットカーペットを併用すると良い。
a) ホットカーペット
リビングルームのソファー前やいつもすごしている部屋の床面に2畳程度のホットカーペット(2畳用、価格8,000~15,000円)を敷くと足元がぽかぽかし下半身がほのかに温まる。
ホットカーペットを使用するとエアコンの設定温度を多少下げても快適に過ごせるため検討してはどうだろうか?
ホットカーペットは発熱部とカバー部と分離できるタイプが一般的である。
ホットカーペットの上面に載せるホットカーペットカバー(別途購入場合、価格3,000~5,000円)は綿、化繊などの材質を用いている。家庭で洗濯することができるタイプもある。
ホットカーペット(カバー)は肌触りもよいためフローリングや塩ビシートの床面に敷くと見栄えと感触の両面から暖かさを感受できる。
ホットカーペットの外見は以下のサイトを参照。
b) 電気コタツ
昔ながらの電気コタツは最も運転経費のかからない暖房器具である。コタツがあるとみんな揃ってくつろぐ、食事をすることができ家族の絆の架け橋となるが、一旦電気コタツに入ると出不精となり、行動範囲が極端に狭くなるのが欠点である。
電気コタツは忘れられつつある家電製品であるが、まだ使っているのなら使い続ける価値はある。
3) 冬季の乾性皮膚炎の予防
中高年にとって、冬季は皮膚が乾燥した環境にさらされるため皮膚の表面から水分が失われかゆみや湿疹ができる。いわゆる冬場乾性皮膚炎となる。乾性皮膚炎は治らない病気で年とともにひどくなる。
長時間湿度が低い外にいる場合、自宅の室内をエアコンのみで暖房している場合、きちんとしたオフィスビルでは温度と湿度を調整し全館空調を行っているが、単に温度だけを上げているビルの中で仕事をしている環境では、室温だけは上がるが、室内の空気中の水分が変わらないため、湿度が低下し乾性皮膚炎が発生しやすくなる。
湿度が低いオフィスビルの中で働いている場合には乾性皮膚炎を防止することはできないが、自宅にいる時にはいろいろな対策を講じることができる。
方法はエアコンと併用して加湿器を使い部屋の中の湿度を上げるか、別途ガスストーブ又は石油ファンヒータ(LNGガスあるいは灯油に含まれている水素が燃焼し水蒸気を発生するため)併用すると良い。
私の経験から、毎年冬場になると乾性皮膚炎となり、腰の周りがかゆくなり湿疹ができていたが、暖房器具をエアコンからガスストーブへ変更したところ、ぴたりと乾性皮膚炎が止まった。
現在は、暖房費を安くするため、朝の1時間及び湿度*1)が40%を切るとガスストーブを使い、それ以外の時間はエアコンのみとしている。
10年以上この方法を実施しているが乾性皮膚炎はまったく発症していない。
当初、加湿器をエアコンと併用していたが、乾性皮膚炎となりかゆいし、加湿器への水の補給が必要なことと、加湿器を使うと朝方の窓の結露が多いため1年間使っただけで、今は押入れの奥に眠っている。
各家庭において、冬季に乾性皮膚炎の症状がでる家族がいれば、エアコンにガスストーブ、石油ファンヒータあるいは加湿器の併用を検討しそれぞれの家庭にあった暖房法を採用すると良い。
*1) 湿度計:湿度計は100均ショップにおいて100円で売られている。各部屋の温度を知ることは冬季の防寒対策の基本となる。
4. 衣料品などによる防寒
1) 衣料品による防寒対策
寒い時に外出する場合に3つの首の回り(首、手首及び足首の3箇所には動脈が皮膚の近くを通っているため、寒さを感じやすい)を暖かくするマフラー、手袋、靴下を身につけ、場合によっては頭に帽子をかぶり身体を冷やさないようにする。
a) マフラー
マフラーは中高年のサラリーマンが通勤時にしているような首にかけるだけでは格好悪くおじさんぽく見え、かつ暖かくないため、大きめのマフラーを首の周りにぐるりと巻きつけ前で結ぶと暖かい上にかっこいい。
マフラーで注意しなくてはならないことは、マフラーの端を長くしすぎないことである。マフラーを首に巻きつけ端を長く垂らしたままオートバイ、自転車などに乗ると、マフラーの端が車輪に絡まり瞬間的に首の骨が折れ、窒息死する恐れがある。道端を歩いていても走行中のバイクなどに長いマフラーの端を引っ掛けられ、転倒し大怪我をする、最悪の場合には死亡することもある。若い女性などがファッションのつもりでマフラーやスカーフの端を長く垂らしているが危険と隣り合わせである。
有名な事例として、アメリカの革新的な女性舞踏家のイサドラ・ダンカン(自伝映画「裸足のイサドラ」と同名の音楽も知られている)は長いスカーフを首に巻いたままオープンカーに乗り発進した途端、スカーフが車の後輪に巻き付き、首の骨を折って死亡した。
b) レッグウオーマー
防寒対策として厚手の靴下は効果的である。それでもなお足が冷え寒さを感じる場合には靴下を2枚重ねにすると良い。
もし、足首から上の脚部が冷えるようなら、脚にレッグウオーマー(価格600~1,000円、昔はやった女子高生のルーズソックスに似たもの)をスラックスの下にはくと効果的である。
タイツやパッチをスボンやスラックスの下のはくと下半身がもこもこするが、レッグウオーマーは脚部だけなのでもこもこ感は少なく、手軽に身につけることができる。
レッグウオーマーの外見は以下のサイトを参照。
c) 帽子
帽子は雪国や寒冷地では頭部と耳の防寒のための必需品である。高齢者は頭髪が少なく若い世代よりも寒さを感じるため外出時には帽子をかぶりたい。
帽子は頭部にちょこんとかぶると見栄えが良くない上に、寒さを敏感に感じる耳を保護するためにも深めにかぶると良い。
a) スリッパ
暖かい室内に居ても冷えを感じる場合には、外出時と同じような対策(靴下の重ねばき、レッグウオーマーの使用、ベスト、カーディガンをはおる、首にマフラーやスカーフを巻きつける)を取ると良いが、それでも冷えが感じられる場合には、スリッパを履くと良い。
冬場用のふかふかしたスリッパを履くと暖かさを感じる。
スリッパの外見は以下のサイトを参照。
b) ひざ掛け
暖房が効いている部屋にいても、椅子に座っていると足元が冷える場合には、ひざ掛け(価格800~1,500円、100cm×150cm、ウール、ポリエステル製)でひざから下を覆うと暖かい。ひざ掛けは席を立つ場合は椅子の上に置けるし、座る時にはすぐにひざにかけられ、重宝する。
実際にひざ掛けを使ってみると、手軽に使え暖かいため長年女性事務員に愛用されている理由に納得できる。
ひざ掛けの外見は以下のサイトを参照。
c) 電気ひざ掛け
ひざ掛けだけではまだ冷えを感じる場合には、繊維の間にヒータが入った電気ひざ掛け(価格5,000円程度)も検討できる。
電気ひざ掛けは熱を発生させるため暖かいが、ひざ掛けの重さがヒータ分だけ重くなり使用時に違和感があることと、スイッチ部や電気のコードがあるため椅子から立ち上がる際や、座る時にわずらわしい。
購入する場合には使い勝手を売場で確認して決めるのが良い。
電気ひざ掛けの外見は以下のサイトを参照。
d) ホットマット(フットヒータ)
45cm角のホットマット(価格2,500円程度)も足の冷えに効果がある。
最近は足がホットマットに載っている時間だけ自動通電する節電タイプの機種もあるが、価格は普及品の倍の5,000円もする。紹介したホットマットの消費電力は30Wと小さいため常時通電しても電気代はそれほどかからない。
実際の体験から、ホットマットは使うと暖かいが、レッグウオーマーを身につけ、スリッパをはき、ひざ掛けを使えば使う必要はない。
ホットマットの外見は以下のサイトを参照。
5. 浴室の防寒対策
1) 冬季の浴室の状況
冬季、暖かい室内で過ごしている中で、心疾患、脳血管疾患を発症する恐れが大きいのは風呂に入る時である。
従来の一軒屋、マンションでは浴室及び脱衣場は暖房していないため、風呂に入る際、暖かい居間と脱衣場、浴室との温度差が大きく高齢者には危険な場所である。
2) 浴室暖房(乾燥)機による防寒
a) 浴室暖房(乾燥)機
浴室の防寒対策のポイントは、浴室や脱衣場を入浴前に暖かくしておくことである。
最近の新築一戸建てやマンションは浴室を事前に温めることができる浴室暖房(乾燥)機を二重ガラス窓(複層ガラス窓)、新洗浄方式のトイレ、温水洗浄便座(シャワートイレ)と同様に設置するのが当たり前となっている。
海外での浴室暖房機の普及率はドイツ、スウェーデン、イタリアでは95%以上、アメリカでも9割、お隣の韓国でも5割となっている。これらの国では浴室はトイレと一体のため広く、他の部屋と同様に温水やスチーム暖房により暖めている。
日本では浴室暖房機の普及が遅れていたが既存の住宅でも導入が進みつつあり、現在は全体普及率が3割程度までとなっている。
既存のマンションでは、浴室暖房乾燥機(取り付け工事費を含め100,000~150,000円)が急速に普及し始めている。浴室暖房乾燥機には浴室暖房の機能の他に常時浴室から換気し浴室ガス湯沸かし器による酸欠、一酸化炭素中毒防止、湿気除去、併設したトイレの臭気の排除を行っている。
また、浴室暖房乾燥機には浴室を使って洗濯物を乾かす機能ももっており、洗濯機で洗った洗濯物を4時間ほどで乾燥させることができる。バルコニーに洗濯物を干すことによる美観問題、冬場や梅雨時には屋外干しでは生乾きの問題、花粉症にかかった家族がいる家庭では屋外干しによる洗濯物への花粉の付着などを解決できるため、マンション住まいの家庭では必需品になりつつある。
b) 浴室暖房(乾燥)機の効果的な使い方
① 冬季の換気モードへ変更
浴室暖房乾燥機は1日中トイレと浴室の両方から強制換気している。冬場は部屋の温度が低下するため、換気風量が通常時のままだとエアコンなどによる暖房による暖気を強制的に外へ排気しているため、通常風量では換気風量が多すぎ、寒く感じる。
浴室暖房乾燥機には冬季の換気モード(換気風量は通常時の半分程度。冬季の換気モードに変更し換気風量を下げても、酸欠、一酸化炭素中毒、トイレの臭気が匂うなどが起こらない風量となっている)が設定されているため、冬季の換気モードに変えて運転するとよい。冬季の換気モードへの変更方法はメーカの取扱説明書に載っているので、各自確認の上変更するとよい。
② 浴室暖房機の入り切り
浴室暖房乾燥機の暖房のスイッチは、風呂に入る10分程度前に入れると、風呂に入る時に浴室内が暖まり快適に浴室に入ることができる。
また、浴室へ入っている時には浴室暖房は不要なので浴室へ入る時に暖房のスイッチを切ると良い。
浴室暖房乾燥機を使っていても、浴室へ入ると、浴室の床面が冷たいので、浴槽のお湯あるいはシャワーのお湯を入口ドア近傍の浴槽の壁(床面だけでもよいが)にかけると、壁が更に暖まりかつ壁を流れ落ちたお湯が床を暖め床面の温度も上がり快適である。
3) 既存の浴室での防寒対策
浴室乾燥暖房機がない家庭では、脱衣前にまず浴槽の蓋を開ける。次にシャワーで温水を壁にかけ、次にシャワーの高い位置から温水を浴槽内へ入れると数分で浴槽内が温まる。その後、脱衣して浴室へ入ると寒さによるヒートショックを緩和できる。
あるいは、脱衣して浴室に入ったらすぐに浴槽のお湯あるいはシャワーを浴室の壁にかけて浴室内を温めること。浴槽のお湯を均一にかき回す時に、お湯を洗面器で1mほど上に持ち上げ、数回浴槽に落下させることを5,6回繰り返すと、浴槽内が蒸気でもうもうとして温まり、かつ浴槽内のお湯が均一の温度になる。
これらの中から自宅の脱衣場、浴室の構造、シャワーの使い勝手などから自宅にあった浴室での寒さ対策を採用すると良い。
風呂は家族全員が毎日入るところなので、誰もが安全に快適に風呂に入るようにするために、自家保有の一戸建てやマンションなら浴室暖房機あるいは浴室暖房乾燥機の設置が望ましい。
住宅において採用して良かった設備機器は、オール電化、浴室暖房乾燥機、食器洗い乾燥機がベスト3となっている。
浴室暖房乾燥機はかなりの世帯で好評を得ており、検討に値する。
6. 浴槽内でおぼれないように
1) 浴槽内での溺死が多い
冬季の寒さに起因した心、脳血管疾患の発生は浴室暖房乾燥機の設置や風呂に入る前に浴室内を暖かくしておくことで防ぐことができるが、もう一つ風呂に入る場合、重大な危険が潜んでいる。
浴槽に入り、身体をお湯に沈めていい気持ちになっていると、体温の上昇により血圧の上昇や低下が急速に起こるため、脳や心臓などの臓器の血流が減って意識障害を起こしたり、血液の流れが悪くなり脳梗塞や心筋梗塞の引き金となりやすい。
その結果、浴槽内でおぼれる事例が12,000件/年発生し、交通事故5,000件の倍以上亡くなっている。そのうち約9割を65歳以上の高齢者が占めている。
2) 浴槽内での高齢者の溺死防止
浴槽内での高齢者の溺死を防ぐため、冬場には事前に浴室を暖める、お湯の温度は41℃以下、浴槽につかって時間は5分程度としたい。浴槽内は滑らないように気をつけ、浴室の周囲に手すりを設けることも転倒防止に役立つ。高齢者は熱さに対する感覚が鈍くなっているため浴槽に長くつかっていると熱中症の危険もある。
また、2世帯あるいは3世帯家族が同居している場合、高齢者が風呂に入る場合には声をかけ、浴室に入っていることを家族の誰かが確認し、かつ時々声をかけ浴室内で倒れたり、おぼれていないことを確認しあうことが大事である。
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌などの出典元、年月日、タイトルを載せる。
2. 心疾患、脳血管疾患の予防
★日本経済新聞 2009年1月21日 健康 病は気象から
心筋梗塞、脳卒中・・・
気温・気圧低下で発症しやすく
天気予報、予防に生かす
★日本経済新聞 2009年11月30日 健康 高血圧冬こそ警戒
寒さで上がりやすく
「朝の2時間」余裕を
3. 室内の防寒対策
★日本経済新聞 2009年1月10日 暖房費節約術 ①器具編
ストーブよりエアコンが得
部屋の断熱「窓」が大切
★朝日新聞 2009年12月12~15日
生活 あなたの安心
カサカサ・かゆみケア
① 意外に多い?女性の乾燥肌
② 肌からの「乾燥」サイン
③ 入浴に潜む二つのリスク
④ 丁寧な洗髪で皮脂落とそう
★日本経済新聞 2005年1月22日 乾燥肌の大敵
熱い風呂 角質層を傷め
洗い過ぎ 保湿成分失う
入浴剤・乳剤で水分補給を
★朝日新聞 2010年12月19日 暮らし達人モンジロー
冬の小物をおしゃれに 男性編
冬の装いかっこよく
マフラーは大きめを
帽子は深めにかぶる
5. 浴室の防寒対策
★日本経済新聞 2011年1月8日 何でもランキング
住まい、欲しい設備は?
付けてよかったのは・・・
付けて失敗したのは・・・
6. 浴槽内でおぼれないように
★朝日新聞 2008年2月4~9日 生活 あなたの安心
風呂場のアクシデント
① 風呂場で亡くなる老人
「年1万2千人以上」の推計も
② 寒い脱衣場・熱い湯要注意
③ 室温差広がる冬場高リスク
④ 暖かい浴室でリラックス
⑤ 入浴剤で足が滑ることも
⑥ 高齢者には恐ろしい「熱中症」
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- 2013年01月23日 11:59 |
- 節約(税金 方法 防寒)
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