2017年10月11日
雑情報 (69)
60歳を越えたら、役割を終えた県民共済、国民共済を見直し解約する
要旨
1.県民共済、国民共済も費用対効果を考慮 * 60歳は県民共済、国民共済(以降、共済と呼ぶ)を見直す時期。 * 現在の共済の保障内容を確認する。 * 共済は60歳を超えると、掛金が変わらないのに死亡保険金が約半分、65歳を超えると1/4となる。 2.子供が成長すると共済は役目を終える * 共済は会社に勤めている間、サラリーマンの強い味方。 * 共済も目的を失ったらお役御免として即、解約するのが賢い選択。 3.解約は健康状態などを確認してから * 解約前に、健康状態、短命の家系などを考慮する。 * 高齢者が新規に保険、共済へ加入するには、不利な条件、制限が多い。 * 解約をする前に、上記を考慮して継続か解約かを決める。 注意事項:共済とは関係ないが、バブル期以前に契約した生命保険はお宝保険なので、保険会社の営業員に騙されて転換、解約などをしないように注意しよう。 4.解約すると割戻金がもらえる他、解約後は保険料の支払いが不要となる * 共済を解約すると、数千~数万円の割戻金と加入時の出資金が戻ってくる。 * 解約により掛金の支払いがなくなると、家計にとってその分を収入増とみなせる。 * 夫婦で総合保障(熟年)2型、4型に加入しているなら、合計で48,000円/年、あるいは96,000円/年の支払いがなくなる。 * 65歳を過ぎたら、共済は解約し、掛金分を生活費、老後の蓄えにするのが賢い方法。 5.共済は解約をしない限り自動的に契約が続く * 共済は自分から解約を申請しない限り、死ぬまで払い続けることとなる。 * 解約手続きに1か月程度かかるので60、65歳になる1ガ月前までに解約する。 * 解約手続きが完了しても、すぐに割戻金はもらえない。 6.保険のサイト、紹介店舗に騙されないように * ネット上には、保険で儲けたい輩(やから)がひしめいている。 * ファイナンシャル・プランナー(FP)、保険の代理店、保険会社が勧める保険をうのみにして契約すると、契約者にとって損となる保険になりかねない。 * ショッピングモールに次々に登場している保険の〇〇などの保険紹介店舗も同様。 * 個人のブログ、HPは参考になる * 大手新聞社、雑誌社のオンライン記事は、必ずしもユーザの立場に立っているわけではないが、かなり信頼できる。 |
1.県民共済、国民共済も費用対効果を考慮
1)60歳は県民共済、国民共済を見直す時期
サラリーマンが引退する60歳(65歳)は、今まで加入していた保険を見直す絶好の時期である。
多くのサラリーマン世帯が加入している県民共済(都民共済、府民共済も同じ)、国民共済は、1年更新の掛け捨て保険でありながら、保障の割に掛金が安い、3割程度の割戻金(ワリモドシキン)があるなど、民間保険会社の内容と比較すると費用対効果が優っている。ただし、解約返戻金(ヘンレイキン)はない。
2)県民共済、国民共済が得なのは60歳まで
しかし、県民共済、国民共済(以降、共済と呼ぶ)がお得なのは、加入者が60歳までである。
気をつけていないと、自動更新のため65歳になると、総合保障2型から熟年2型に切り替わっている。更新時には書類での連絡はあるが、従来の自動更新と勘違いしてしまう。
60歳を超えると、掛金が変わらない(60歳以下と同じ掛金)のに、死亡時に家族が受領できる保険金が約半分になってしまう。
更に65歳を超えると、もっと悲惨な状況となり、掛金は60歳以下と変わらないのに、死亡時の保険金はわずか1/4となってしまう。
例として、共済の主力商品、総合保障2型、2,000円/月で自動更新をそのまま続ける場合、死亡要因の多くを占める病気死亡時の保険金を比較すると、
60歳以下:400万円
60~65歳:230万円
65~70歳:100万円
70~80歳: 50万円
これを知らずに共済が以前のままの契約内容で継続できると思い込んで契約を続けている高齢者は、保険の費用対効果が大変悪くなっている。
この機会に、自分が加入している保険を見直そう。
表1 都民共済の例(他の県民共済も同様)
総合保障2型 | 熟年2型 | ||||||
月掛金 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | ||
保障期間 | 18歳~60歳 | 60歳~65歳 | 65歳~70歳 | 70歳~80歳 | 80歳~85歳 | ||
加入条件 | 18歳~60歳 の健康な方 | 18歳~64歳 の健康な方 | 65歳~69歳 の健康な方 | 65歳~69歳 の健康な方 | 65歳~69歳 の健康な方 | ||
入院 | 事故 | 1日目から | 1日当たり 5,000円 | 1日当たり 5,000円 | 1日当たり | 1日当たり | 1日当たり |
病気 | 1日目から | 1日当たり 4,500円 | 1日当たり 4,500円 | 1日当たり | 1日目から44日目まで | 無し | |
通院 | 事故 | 14日以上 | 通院当初から 1日当たり 1,500円 | 通院当初から 1日当たり 1,500円 | 無し | ||
後遺障害 | 交通事故 | 1級 660万円 ~13級 26.4万円 | 1級 500万円 ~13級 20万円 | 1級 100万円 ~13級 4万円 | 1級 100万円~13級 4万円 | 1級 20万円 ~ | |
不慮の事故(交通事故を除く) | 1級 400万円 ~13級 16万円 | 1級 300万円~13級 12万円 | 1級 100万円~13級 4万円 | 1級 100万円~13級 4万円 | 1級 20万円 ~ | ||
死亡・ | 交通事故 | 1,000万円 | 700万円 | 200万円 | 150万円 | 50万円 | |
不慮の事故(交通事故を除く) | 800万円 | 530万円 | 200万円 | 150万円 | 50万円 | ||
病気 | 400万円 | 230万円 | 100万円 | 50万円 | 30万円 |
注)都民共済から引用
総合保障2型 http://www.tomin-kyosai.or.jp/product/life/total/security.html
熟年2型 http://www.tomin-kyosai.or.jp/product/life/senior/security.html?tabSwitch=anc1
★【生命保険・株・マーケット・為替・経済】中学生・高校生が知っておきたい経済の基本、解約返戻金・割戻金:生命保険と共済とのちがい、
2011年8月25日 http://youngkeizai.blog.fc2.com/blog-entry-10.html
2.子供が成長すると共済は役目を終える
1)共済は会社に勤めている間、サラリーマンの強い味方
夫が死亡した場合、サラリーマン世帯は貯蓄が多い、資産家の親がいるなどを除き、多くの家庭では残された妻、子供は生活費、教育費などが絶たれ路頭に迷いかねない。
共済に加入していると、残された家族は保険金を受領することで当面の資金と安心を得ることができる。
これらから、現在にいたっても、安価な掛け金で保障が大きい共済の加入者は増え続けている。
2)子供の卒業をもって共済はお役御免となる
妻と子供のために30年近く保険料を払い続けてきた共済も、末の子供が大学を卒業すると役目を終える。
加入者が今までに払ってきた保険料は、死亡しなかった、入院しなったことで費用対効果は大損だったかもしれないが、60年以上生きてこられたこと、保険は相互の助け合いであることを考えると、妻と子供のための必要経費だったと納得できる。
長い期間加入し頼りになる保険であったにしても、目的を失ったらお役御免として即、解約するのが賢い選択であろう。
★現代ビジネス、65歳を過ぎたら、たった100万円「60歳、生命保険不要論」は正しい 完全保存版 いらない生命保険、怖い医療保険、ムダな介護保険【第2部】、2014年2月18日 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38366
3.解約は健康状態などを確認してから
1)解約前に、健康状態、短命の家系などを考慮する
現在、がん、糖尿病など死につながりかねない病気にかかっている、または、短命、がん、糖尿病などの病歴が多い家系の場合、平均的な家族より寿命が短くなる確率が高いと考えられるため、共済は解約せずに継続するのがよいかも?
数年内に自分が亡くなる可能性が高いのなら、死亡した際の保険金が60歳以下の世代の半分~1/4に減らされても、家族のために共済の契約を続けることが得になる。
2)高齢者の新規加入には、不利な条件、制限が多い
高齢者が新規に保険、共済に加入する場合、条件として、がんなどの病気にかかったことがない、手術、入院したことがない、現在医療機関にかかっていないなどの告知内容を満たしておく必要がある。
高齢に伴い契約できる共済、保険の種類が限られ、かつバカ高い保険料を払わざるを得ない。
解約をする前に、これらも考慮して継続か解約かを決めよう。
注意事項
共済とは関係ないが、バブル期以前に契約した生命保険はお宝保険なので、保険会社の営業員に騙されて転換、解約などをしないように注意しよう。
以下のサイトを参照。
★YOMIURI ONLINE、保険を見直す?悔やみきれない失敗続出、
2016年6月10日
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160609-OYT8T50060.html?from=yartcl_awst
4.解約すると割戻金がもらえる他、解約後は保険料の支払いが不要となる
1)割戻金が入ってくる
共済を解約すると、数千~数万円の割戻金と加入時の出資金(200円程度)が戻ってくる。
★保険コネクト、県民共済の割戻金について|平成28年版割戻率ランキングと現状まとめ、2017年5月29日 https://hoken-connect.jp/columns/300/
2)掛金(保険料)が不要となる
解約により掛金の支払いがなくなると、家計にとって掛金分がそっくり収入増になることに等しい。
例として、解約すると本人が契約している総合保障2型(熟年2型)、2,000円/月(24,000/年)あるいは総合保障4型(熟年4型)、4,000円/月(48,000円/年)の掛金がゼロとなる。
もし、妻も夫と同様の総合保障(熟年)2型、4型に加入しているなら、夫婦合計で48,000円/年、あるいは96,000円/年の支払いがなくなる。
加入している契約によるが、家計にとって年間24,000~96,000円の出費がなくなるのは、大変嬉しい。
それも、今後ずっと続くのがよい。
サラリーマン世帯が年金暮らしに突入すると、年金と蓄えた貯蓄を切り崩しながら生活せざるを得ず、無駄な出費は減らし、つつましい暮らしへ変わっていく。
65歳を過ぎたら、共済は解約し、不要となった掛金分を生活費、今後の老後の蓄えにするのが賢い生き方であろう。
5.共済は解約をしない限り自動的に契約が続く
1)共済は自分から解約を申請
共済は1年契約の自動更新のため、自分から解約を申請しない限り、死ぬまで払い続けることとなる。
★都民共済、生命共済 自動継続について、(2017年10月4日)
http://www.tomin-kyosai.or.jp/product/life/list/
2)解約申請は、節目の年齢の1か月前までに行うのが得
共済の保障は60歳、65歳、70歳、75歳を経過するごとに急激に悪くなるので、60あるいは65歳になる前に解約をすることを勧める(表1を参照)。
県民共済、国民共済ともに、解約手続きに1か月程度かかるので60、65歳になる1ガ月前までに解約の手続きを始めよう。
解約はネットの共済のサイト上では行えない。
最初に、本人が共済へ電話する。共済側は電話内容を録音するとのことで、解約担当者につないでくれる。
次に、担当者から本人確認のための質問があり、本人と確認できると、解約関係の書類を自宅へ送ってもらえる。
数日後の自宅に届いた解約書類に記入、捺印し送り返せば手続きは終わり。
3)解約手続きが完了しても、すぐに割戻金はもらえない
解約手続きが書類上終了しても、割戻金の金額は共済の決算が終わらないと確定しないため、自分の口座に割戻金が振り込まれるまでに最短で1か月、最長1年かかる。
6.保険のサイト、紹介店舗に騙されないように
1)ネット上には、保険で儲けたい輩(やから)がひしめいている
今回、共済の見直しについてまとめるに当たり、民間の生命保険、がん保険、医療保険なとの情報を得るためにネットを利用した。
グーグルの検索上位にランクされるのは、ファイナンシャル・プランナー(FP)、保険の代理店(最近は保険会社の系列代理店以外の他、さまざまな保険会社の保険を紹介する代理店が急拡大している)、保険会社による保険の比較が目につく。
さすがに競合他社を誹謗中傷するサイトは見うけられないが、特定の保険を売りつけようとしているのがよくわかる。
特にファイナンシャル・プランナーのサイトは、美辞麗句を使い、いかにして自分が勧める保険が他より掛金が安くて、保障が多いなどを宣伝している。
要するに、自分のサイトを見た、経由したことで得られる手数料、リベートをたくさん得たいだけである。
保険会社は、1件契約すると長期、安定的に保険料収入が見込めるので、保険の紹介、口利きした人に多額の手数料を支払っても、ぼろもうけできる業界である。
これらから、ファイナンシャル・プランナー、保険の代理店、保険会社が勧める保険をうのみにして契約すると、契約者にとって損となる保険になりかねない。
最近、ショッピングモールに次々に登場している保険の○○などの保険紹介店舗も同様である。
★東洋経済ONLINE、保険の「建て前」に人はこうしてだまされる 「誰から買うか」をもっと考慮するべきだ、2016年11月23日 http://toyokeizai.net/articles/-/145531
★東洋経済ONLINE、生命保険業界が「顧客本位」とはいえない理由、
2017年5月3日 http://toyokeizai.net/articles/-/169323
★現代ビジネス、ぼったくり商品にダマされるな!「買ってはいけない保険」全実名各種保険の注意点を総チェック、2016年8月30日
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49558?page=4
2)個人のブログ、HPは参考になる
ネット上の個人のブログ、HPにも、契約した保険、勧められる保険などの情報がたくさんあり、かつ信頼性が高いので参考になる。
なお、個人名を名のったブログ、HPであっても、生命保険会社の息がかかった、すなわち個人の保険販売員、手数料稼ぎも紛れ込んでいるので注意しよう。
3)ネット情報の真偽は、たくさんの情報を調べれば区分けできる
保険に関する情報は、調べれば調べる程、公平で信頼できるサイト、あるいは特定の保険会社の意向を受けたよいしょ記事で飾られた嘘サイトかを区別できる。
大手新聞社、雑誌社のオンライン記事に書かれている内容は、必ずしもユーザの立場に立っているわけではないが、かなり信頼できる。
ただし、名前も知られていない雑誌社、業界のネット情報は信頼度が落ちる。
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌、ネットなどの出典元、年月日、タイトルを載せる。
★コトバンク、保険の用語、(2017年10月4日)
https://kotobank.jp/word/%E4%BF%9D%E9%99%BA%E3%81%AE%E7%94%A8%E8%AA%9E-1616913
★コトバンク、費用対効果、(2017年10月4日)
https://kotobank.jp/word/%E8%B2%BB%E7%94%A8%E5%AF%BE%E5%8A%B9%E6%9E%9C-178674
★東洋経済ONLINE、生命保険の「やめ時」を知っておくべきだ、
2017年5月17日 http://toyokeizai.net/articles/-/170869?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related
★保険コネクト、県民共済の割戻金について|平成28年版割戻率ランキングと現状まとめ、2017年5月29日 https://hoken-connect.jp/columns/300/
★ぽゆら、「日本人が保険で大損する仕組み」を読んで。どうする?50代からの生命保険、2016年2月18日 http://poyura.com/50dai-hoken/
★ZUU online、「県民共済」最強説は本当なのか? 2016年1月6日
https://zuuonline.com/archives/93535
★NIKKEY STYLE、マネー研究所、新常識 老後の保険、「年とるほど欲張らない」が鉄則、2014年4月21日
https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK0201K_S4A400C1000000?channel=DF280120166578&style=1
★東洋経済ONLINE、生命保険に関する「困った質問」とは何か、
2017年9月22日 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170922-00188973-toyo-soci
★東洋経済ONLINE、「人生で一番大切な保険」を知っていますか?
2017年8月31日
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170831-00186430-toyo-bus_all&p=1
★投信1、外資系生保のトップ営業マンが語った「よい保険」「悪い保険」、
2017年7月3日 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170703-00003609-toushin-bus_all
★YOMIURI ONLINE、ちょっと待って!プロならこんな保険は入らない、
2017年3月30日
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170330-OYT8T50014.html?from=yhd
★YOMIURI ONLINE、死亡保険はムダ?「もしも」の確率は何%なのか、
2016年5月21日 http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160520-OYT8T50039.html
★現代ビジネス、大反響! 第2弾 あなたは、これでもまだ入りつづけますか? 60すぎたら、保険はいらない、2014年3月1日
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38454
Author:当仁覆面士
専 門:機械技術者