- 2017年02月05日 13:59 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
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2011年5月24日
原発情報 (6-2)
福島第一原子力発電所の事故について
その6-2、原発の状況と情報伝達
第1種放射線取扱主任者
5. 福島第一原発事故経緯(4月4日~4月25日)
第○回は、最初からの通し番号。
第27回 2011年4月4日PM1:29
★原発の情報
☆炉心の状況
第1~3号機の炉心は落ち着いて冷却できている。この冷却が不安定となると燃料棒が過熱しジルコニウムの溶解により水素が発生し、前回のような水素爆発が発生する。
第2,3号機の圧力容器と格納容器との圧力差はなくなっており、ほぼ大気圧状態のため、もし外気が格納容器内へ入り込むと、圧力容器内から漏れ出した水素と反応して格納容器が水素爆発で吹っ飛ぶ心配がある。
そのため、数日前から、従来格納容器内に充填されていた窒素ガスを追加注入し、万が一にも水素爆発を起こさせないようにした。
その他、炉心の冷却系では進展はない。
☆ピットからの汚染水の漏れ
第2号機の海岸近くにあるピットから7t/時程度の多量の汚染水が冷却水を取水する堤防の内側へ流れ出している。
ピットの大きさは1.5m×2m×深さ2m程度。2日前に、コンクリートをピットに流し込み密閉したが、汚染水の流出量は変わらなかった。
次に、昨日、オムツに使われている高分子凝集剤+新聞紙+おがくずをピットの上流側の電線ケーブル用トンネル(10cm丸×15箇所)に投入し、高分子凝集剤による水を固める効果を期待したが、失敗。
次に、どこから汚染水が流れ出しているのがわからないと対応のしようがないので、調査するために乳白色のバスクリンのようなものを流してどこから出てくるかを調べているが、まだ汚染水の経路は不明。
並行して、冷却水の取水口の前に海底までフェンスを張り、それで汚染水の内堤防への流出を防ぐ対策を検討中。
汚染水の流出が少なく、これ以上汚染水がでなければ効果はあるだろうが、7t/時ものかなり多い汚染水が出ている状況では、時間がたつにつれ、フェンスから漏れる。問題は、フェンス内の海水の放射能濃度が高まるので、次の手を打たないと効果は限定的。
やはり、一時しのぎにしかならない。
☆汚染水の回収
トレンチ内12,000t、タービン室地下などに8,000t、合計20,000t(100m×100mの広さに2m水が張ってある状態)普通のタンクではどうしようもない莫大な量。
それも、毎日のように、第1~3号機の圧力容器内へ550t注水し、燃料棒の加熱を抑えるため水蒸気として大気中へ飛散した分150t程度の残り400t程度が増え続けている。
放水を始めたのが3月17日からなので、現時点で16日程度経過している。
圧力容器からあふれた汚染水は400t×16日=6,400t。
タービン建屋やトレンチ内には津波により海水が浸入していたことを考慮すると、汚染水の量はオーダー的にあっている。
現在、タービン室やトレンチ内の汚染水の水位はかわっていないことから、定常的にあふれた水が海面や地下へ流れ出している。
☆汚染水の放射能
汚染水の放射能濃度は、汚染水の表面で1,000mSv以上との発表しかない。作業員は線量計が振り切れたので測定を止めたといっているが、線量計のレベルを切替ると、すぐに本当の放射線の量がわかるのに・・・。レベル計の最大計測レベルを超えていたのだろうか?
あまりに高い放射線量なので発表しないであろうが・・・、記者会見で質問があったが、東電は言葉を濁して回答していない。
作業員が汚染水に近づけないほどの放射線量とは相当なものであろう。
どのような方法をとるにしろ、現場調査、汚染度調査、機器、電気の状況確認、機器などの修復をするためには人間がその場で作業をしなくてはならない。
汚染水の除去は、仮設のポンプと汚染水を貯めるタンカーや静岡県に係留されているメガフロート(海上に浮かんだ、構造物)を係留すれば貯めることができる。しかし、タンカーなどからの汚染水の漏れ、汚染水から放射される放射能の防護、貯めたあとの汚染水の処理など解決しなくてはならない問題が多々ある。
一番初めに行いたい、タービン建屋内の汚染水は除去しても、床面には津波で運ばれてきた土壌と放射性物質がヘドロ状になっており、ポンプでは排除できない。
排除しないと、タービン室内にある各種機器、電気品(塩水につかり使用不能)を再使用したくとも近づけない。
☆復旧
結局、圧力容器を定常的に冷やすための炉心冷却ポンプと炉心からでてくる温度の高い水を冷やすための熱交換器を動かせないと、いつまでたっても、放水が必要である。
炉心冷却水ポンプはタービン室の横の部屋にあり水没し使えない可能性が高い。
たぶん、別の原発あるいはメーカにある類似したポンプを取り付けで運転するより方法がないのでは・・・
熱交換器はタービン室内にあり、特に可動部分はないため、配管さえ直れば使える。
いかに放射線の高い場所を避けて、作業を行うかが重要であろう。
第28回 2011年4月4日PM6:06
★原発の情報
原発の件で驚きのニュースが飛び込んできた。
東電も政府も午前中まではピットから流出している高濃度の汚染水7t/時の海面への流出を阻止しようとしゃかりきとなっていたが、もうピットその他からの水漏れの場所もわからず、流出量も多いため断念したのだろう。
また、並行して進めているタンカーやメガフロート2基(1基当たり、総容量18,000t可能であるが、水を入れた場合のバランスを考慮すると10,000tまで)を準備していたが、たぶん原発の施設まで曳航し汚染水を貯めるまでに時間がかかりすぎるため、タイムリミットと考え、上記の結論をだしたのだろう。
一時避難的な緊急処置としてやむを得ないと思うが、実施するに当たっては現在の汚染水の発生状況、海水への流出量、放射能濃度を開示し、今回海洋投棄する低濃度の放射性廃棄物の量、放射能濃度を開示し、その比較、もちろん、緊急避難なので大雑把なデータでよいが、それをださないと日本国民のみならず、海洋汚染を防止している世界各国から反感を買うことになるだろう。
法律で排出してはいけないからこそ貯槽にためて放射性物質の濃度を低くしてから廃棄していたはずである。法律違反をあえて行う以上、国民が納得できる説明が必要。
また、海洋投棄した場合、どの程度薄まるのか、魚への影響なども、手持ちの資料から生物濃縮の想定を含め情報開示が必要である。
しかし、東電が急にこのようなことを言い出した背景は、圧力容器内への注水をもっと増やさないと燃料棒が加熱、再臨界、その他、なにか危険な兆候が予想されるから、あわてて提案したのかもしれない。
第2、3号機の圧力容器と格納容器とは大気圧となっており空気が格納容器内へ混入し水素爆発の危険?第3号機では、プルトニウムを含むMOX燃料棒が使われており危険な状態?未確認情報であるが、各号機の地下には放射能で汚染されたさまざまな廃棄物が入ったドラム缶が詰まれており、現在、水(汚染水)に浸かっているが、一部はドラム缶から高濃度の放射性廃棄物が漏れ出している?漏れ出す可能性ある?
東電の開示する情報は後だしで事態が急変しどうしようもなくなる寸前、事態が発生してから細切れにぽつぽつと発信されるため、全体の概要がつかめず、予測もできない。
今回の事態、単にタンカーやメガフロートの準備に時間がかかるためなら、やむを得ないが、それ以外の重大な理由が隠されていないことを祈るばかり。
★報道機関の姿勢
原発情報はいまやNKHがまめに報道しているが、民放は完全に通常のバカ番組主体にもどってしまった。
原発の事故が元で、関東地区には大きな社会的経済的影響を受け、計画停電まで実施中である。
原発事故の推移によっては、近隣地域での避難、食品、水道の放射能汚染など大気汚染に係わるものは、第3号機の水素爆発時に大量に放出された放射性物質が拡散した時をMAXとして減少している。
現在、放射能レベルが低下しているのは、その時の放射性ヨウ素(ヨウ素131)の半減期が8日と短いため、現在は1/4以下に低下していることが大きい。
今後このまま推移すれば更に放射能のレベルは減少するであろう。しかし、降雨があると、一時的に上昇するが前回ほどは増えない。
その代わり、圧力容器内の燃料棒の破損に起因する放射性物質は毎日のように汚染水として海水中へ拡散している。
事態は改善していないのに、安穏としていいのかな?
特にマスコミは普通の事件や事故なら各社とも独自取材を行い紙面やテレビ画面にスクープ記事を載せるのに、原発事故については、政府、保安院、東電が発表する、大本営発表を正として、裏をとることもしない、独自に調査しないなどまったくもってマスコミの体をなしていない。政府の圧力と東電を初めとしたスポンサーの圧力が大きいのであろうが・・・なさけない。
いつからマスコミも政府の御用業者になったのであろうか・・・
解説にでてくる東大の先生方も、東電、原子力委員会などの推薦を受けた御用学者ばかりだし・・・
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第29回 2011年4月5日AM11:44
★原発の情報
☆汚染水の排出
昨日(4月4日PM4時半ごろ)の東電の発表、その後のNHKを初めとしたマスコミの報道では、集中廃棄物処理施設から海へ10,000t排出するが放射能の濃度は低濃度(現在、タービン室内などから海へ漏れでいている汚染水の放射線レベルが高濃度のため、比較すると低いので低濃度と呼んでいるのであろうが、普通は排水基準値の100倍もあれば低濃度とは呼ばない)の水で排水基準値の100倍との事であった。
その後、PM7時から海への放出が始まった。
また、並行して第5,6号機の地下にあるサブドレインピットに溜まった放射能を帯びた地下水1,500tをPM9時から海へ放出した。
このまま予定どおりかと思ったら、今しがた、排出した水の濃度は基準値の最大500倍だったと、いつのまにか訂正していた。
まったく、国民を馬鹿にしたようなうその報道を平気で行っている東電、政府は、国民の生命と財産の安全、世界各国の信用を一挙に失わせるような事態である。
このような、うそで固められた、報道規制が堂々とまかり通っており、もはや政府の発表はまったく信用できない。
昨日政府は100倍程度の基準超えの汚染度では「人は近くの魚や海草を毎日食べても受ける放射線量は年間0.6mSvで自然界からの放射線量(1.0mSv)の1/4と説明し問題ないとしていた。
今日、4月5日AM11:00のNHKニュースでは最大500倍の水を流しても年間0.6mSvと報道しており、東電は初めから、汚染濃度は最大500倍と知っていながら、平然と100倍と言っていたようである。
☆汚染水の漏れ
第2号機のピットからの漏れの原因箇所は、バスクリンの投入では分からず、今日の報道では、電線用ケーブル用のコンクリート孔を作る際、その下部に敷き詰める砂利(普通20cm程度の厚さで3~5cm砕石を使う。そのため、水は砕石の間を自由に流れる)を通って海へ流れ出ているとの見解。
地震により、第5,6号機の地下室にサブドレインピットに海水と水が混じった地下水が浸入していることから、原発内の建屋の地下、トレンチ、電線用のトンネル、ピットなどあらゆるコンクリート構造物に亀裂やズレが生じ、その結果、地上より高いところに溜まった水は地下へ浸透し、逆に地面からかなり低いところにある地下室(サブドレインピット)には地下水が浸入している。
もはや、汚染水の地下浸透は建屋の床、トレンチ、ピットなどいたるとこで起きており、止めることはできないであろう。
☆第2号機ピット周辺
現在、汚染水が漏れているのが目視で確認できる、第2号機の冷却水取水口の対応を行っている。
工事用の鉄板(建築工事で地下を作る場合に、建屋の周囲に巾30cm程度、長さ10m程度、両面が特有の形状をしている。シートパイルと呼ぶ)を打ち込み、汚染水の流出を止める予定。
しかし、きちんと鉄板をならべて打ち込めば、かなりの漏洩防止となるが、逆に、他に汚染水が流れ出ているので、他の場所からの漏洩が増えるだけで抜本的な解決にはなりそうにない。
やはり、圧力容器内へ注入している冷却水を早く、循環して使えるようにしたいが、このためには数ヶ月かかると思われる(昨日のメールを参照)。
☆圧力容器内への冷却水量
NHKのニュースで第1~3号機、圧力容器内への冷却水量が分かった。
第1号機: 6t/時 144t/日
第2号機: 8t/時 192t/日
第3号機: 7t/時 168t/日
合計 21t/時 504t/日
汚染水が増えることを避けるため、燃料棒の加熱を避ける分だけの冷却水を投入しているとのことであるが、どの程度冷却水が蒸発でなくなり、汚染水となっているのかは不明。
ここまで、
昼から、今回海へ応急処置として捨てている集中廃棄物処理施設の水と第5,6号機の水、及び第2号機から漏れ出ている高濃度汚染水の放射能はどの程度かを計算する予定。
第30回 2011年4月6日AM0:16
★原発の情報
☆汚染水の流出
2号機のピットから海面へ高濃度の汚染水が流出している問題を解決するため、一昨日から、①コンクリートの打設(流し込み)、②高分子凝集剤(オムツに使う)+新聞紙+おがくずの投入がことごとく失敗。ピットにつながっている電線用のトンネルの上方からバスクリンを流し今流れ出ている箇所から出ているかどうかを調査したら、他の場所から汚染水が出ていることがわかった。
次に、電線用トンネルに下部の砂利層にバスクリンを投入したら、流れ出ているところから出てきた。これにより汚染水の漏れ出ている経路がわかった。
すぐに、工業用水ガラス(珪酸ナトリウム+凝固剤)を砂利層へ投入したら、海水へ漏れ出す汚染水の量が半分程度に減少した。
よって、2号機のピット部分からの汚染水の漏れは多少少なくなったが、これ以外にも漏れ出ている可能性があるが、場所、流出量は不明。今後、探すことになろうが、見つけられるか?
☆汚染水の濃度
今日のビッグニュースは、2号機ピットから海面へ流れ出している汚染水の放射性
物質のヨウ素131の濃度は540万ベクレル/cm3、排水基準の1億倍と発表した。
今まで濃度を発表する場合ベクレル/kgだったのに数値を小さく見せるためベクレル/cm3と、分かりにくくした。
この濃度はどの程度、人体に影響があるのかを計算する。
含まれているベクレル/kgとシーベルトとの関係は、放射性物質により異なり、
ヨウ素131が経口吸入により体内に入った場合の影響度はである。
よって、540万ベクレル/cm3の人体に対する影響は
540万ベクレル/cm3=5,400,000Bq/g=5,400,000,000Bq/kg
5,400,000,000Bq/kg×2.2×10-8Sv/Bq=118Sv/kg
118Sv/kgをcc(cm3)当たりに代えると
118Sv/kg÷1,000=0.118Sv/cc=118mSv/cc
もし、この汚染水を1cc誤って飲むと118mSv/cc被曝したことに匹敵し、人間が普通の生活をしておれば一生涯に浴びる放射線量100~200mSvを被曝したこととなる。
(これらの計算は現在取りまとめ中で、他の放射性物質と合わせて発行する)
この結果より、汚染水は恐ろしくて近づくことも危険だし、ましてや汚染水として濡れた、飛散したものを浴びると被曝してしまう。
この汚染水が2号機のタービン建屋などの地下水、トレンチなどに合計20,000tも溜まっている。
1号機、3号機のタービン室内にもそれぞれ20,000tの汚染水が溜まっているが放射能のレベルは2号機よりも低い。
2号機の汚染水、20,000tを集中廃棄物処理施設(容量30,000t)へ移すのが急務であるが、作業には人間が作業をしなくてはならず被曝が増えるが、やらなければならないので必死の作業だと思われる。
しかし、まだ2号機の圧力容器内へは注水しており、蒸発する以上の注入水は圧力容器から格納容器を経てタービン室へ流れ込んでおり、あと1ヶ月以上はこれと同様な汚染水が毎日増える。(2号機への注水量は8t/時なので192t/日の1/3としても50t程度は汚水となって増え続ける。
☆低濃度の水と2号機の高濃度汚染水の比較
海洋へ低濃度の放射能を帯びた水を昨夜から海洋へ排出しており、5日間継続して行われる。
低濃度の水
海洋への投棄量:10,000t
放射性物質量:基準値の150倍(平均)
排水基準値:40Bq/L(ヨウ素131)
合計の放射線量=10,000t×1000kg/t×40Bq/L×150倍
=60,000,000,000Bq=60GBq
2号機の汚染水
ピットから海洋への流出量:8t/時
放射能のレベル:基準値の750万倍
排水基準値:40Bq/L(ヨウ素131)
1時間当たりの放射線量=8t/時×1000kg/t×40Bq/L×7,500,000倍
=2,400,000,000,000Bq=2,400GBq/時
この結果から、2号機のピットから排出される汚染水の放射性物質の量は、集中廃棄物処理施設内に貯留されている10,000tの低レベルの汚水を全量海へ法主した場合でも、2号ピットからの汚染水のわずか1.5分程度流れ出している分にしかならない。60GBq÷2,400GBq/時×60分/時=1.5分
2号機からの汚染水の超ハイレベルで放射能汚染されていることが分かる。
もはや、2号機圧力容器内の燃料棒が高熱で破損し核分裂生成物が漏れ出していることは間違いなさそうである。
第31回 2011年4月6日PM1:35
★原発の情報
☆汚染水の流出
2号機(昨日から福島第一原発の各号機の名称を第1号機と呼んでいたが、以降は1号機と第を省く)のピットを経由して海面へ流出していた高濃度の汚染水は今日(4月6日)の早朝、水ガラスの注入により完全に止まった。
久しぶりの明るいニュースでひとまずホット!!
☆汚染水の貯水
現在、1~3号機のタービン室、トレンチなどに合計60,000tの汚染水が溜まっているが、一時的な貯水場所として、集中排水処理施設(30,000t、今日中に、今まで溜まっていた低レベル放射能水の海面への放出を完了)、施設内に仮設のタンクの建設、静岡にあったメガフロートを横浜へ運び、点検を行い、原発へ移送することが進んでいる。これらにより総ての汚染水を一時貯水できそう。
しかし、汚染水は1ccでも口に入ると、一生に浴びる放射線量を浴びることとなるため大変危険。また、排水中に溶け込んだ水溶性の放射性物質や固体状の放射性物質から常時放射能が放出されており、汚染水に安易に近づくことすら危険である。
移送作業は、それでも何とかできそうである。
☆タービン室内の作業
現在、原子炉建屋内は放射能が強くてまったく内部へ入れない状況である。原子炉建屋の壁厚は1~2mあるので、コンクリートの厚みにより圧力容器内から放射される放射能を相当低減しているはずである。たぶん、1年以上原子炉建屋内には立ち入ることはできないだろうと思われる。
タービン室内は汚染水を取り除けば、放射線濃度は下がるが、床面のヘドロ、壁面や機器などに残留した固形の放射性廃棄物から放射能を出しつつけているので作業は困難を極める。
☆燃料棒の冷却
現在、燃料棒へ真水を注入し冷やしているが、余剰の真水と燃料棒が加熱により溶け出した放射性物質とが混じった高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が常時もれ出てタービン室内などへ流れ込んでいる。
このため、タービン室内の残留熱除去装置を使うためには、作業員がそれらに近づく必要があるが被曝が大きすぎる。
早く、注入した冷却水を循環し、残留熱除去装置(熱交換器、孔の開いたパイプの間に原子炉からの熱い水を通し、パイプの周囲には温度の低い海水を通すことにより熱い水を冷やし、また元に戻す。常時海水を流す代わりにクーリングタワー(ビルの屋上に設置しているもの)により水を冷やすことができる。
このため、施設の外に冷却水循環ポンプ、クーリングタワーなどを設けるのが工期的にも被曝を少なくすることからも実現性が高い。
ただし、完成までに1ヶ月以上かかりそう。
以下の産経新聞のネット記事を参照。
★ヤフーネット、産経新聞 4月6日(水)7時57分
福島原発1~3号機 屋外に水冷却装置検討 設備復旧よりも迅速
(削除されて見ることができない)
☆海産物の汚染
今回、非常事態として低レベルの放射性の排水11,500tを海水へ放出中であるが、前回の資料から、放射能レベルが格段に高いのは2号機ピット(それ以外もあると思われるが)。
汚染水はたぶん、取水口での放射能レベルが増加した3月30日頃からと想定される。
この汚染水により茨城県で取れたコウナゴから4000ベクレル/kgの放射性ヨウ素が検出された。これをきっかけに規制がなかった魚について、野菜と同様の暫定規制値ができた。
御用学者どもは、いままで散々、海では汚染物が拡散するので食べても人体に影響はないと言っていたが、その後、海洋汚染が拡大してくると、注視しなければならないと、ころっと見解を変えた。
そもそも、政府が今回の事故後に勝手に決めた暫定基準値自体が通常の基準値に数倍も高い。
コウナゴは放射性物質を含んだプランクトンを食べ、小魚がコウナゴを食べ、大型魚類が小魚を食べる食物連鎖のため、魚は汚染の拡大が終了し、その後、魚の放射性物質がどのように推移するかを見極めないと危険である。
特に沿岸部に住み着く貝類、海藻類は放射性物質を蓄積していくので避けるのが賢明。
ここ数年の日本の商品には産地偽装が平気で行われており、表示が正しいかどうか、見極めが難しい。
当分の間、緊急避難的にあぶないと思われる産地のものは避けるのが望ましい。
政府の発表や御用学者の見解をうのみにすると自分や家族の生命を危うくする。特に、乳幼児、閉経前の女性、子供を作ろうと思っている男性は危険なものを避けるのが鉄則。よって、50歳以上の中高年は、いまさら食べてもそれほど寿命が短くなるわけではないので、今までどおりでも良いであろうが・・・ しかし、誰も、危険と思われるものは食べないのが普通であろう。
原発事故が収束し、放射能汚染は問題ないと確認できてから、従来どおり、野菜、魚などを食べれば良い。
政府や御用学者が安全だと言いつづけるのなら、役所や東電、大学の食堂で原発周辺から収穫された野菜などを毎日、食事に出すべきであろう。
第32回 2011年4月6日PM4:29
圧力容器内の燃料棒の損傷の程度は、アメリカの専門家が1週間以上も前に想定していた数値とほぼ同じであった。
そもそも、これらのデータは中央制御室がだめでも、専門家は圧力容器の温度、汚染水などの状況から容易に推定できたと思う。それを3週間以上経過して発表するとは・・・
☆圧力容器内へチッソ投入
一番危険な1号機の圧力容器内へチッソガス,6,000m3を投入することとなった。数日前から検討され、やっと実施する。
1号機は現在、圧力容器内の圧力?格納容器内の圧力4kg/cm2、圧力容器の外面温度は200~300℃で保たれ、なんとか小康状態である。
燃料棒は7割が破損しているが、過熱が続くと被覆管のジルコニウムと水が反応して水素が発生し、酸素があれば水素爆発が起こる可能性あるため、事前の処置とした。
チッソガスの投入時に急に圧力容器内の圧力が上がると危ないし、慎重に行うこととなろう。万一を考え、周囲の作業員は一時退避と思われる。
これがうまく行くと、1号機の水素爆発の危険は去りそうである。
1~3号機の圧力容器内を安定させるのが、最優先の課題である。
(発行元のサイトは削除されているが、グーグルで検索すると読むことができる)
ネット上では、昨日から原子力安全委員会が一般人の被ばく線量の限度を20mSvに上げるように検討しているとの報道があった。
やはり、上げるようである。
緊急避難的に上げるのはやむを得ないにしても、乳幼児、女性、若い男性は注意喚起を行い、どのような場合に引き上げた被曝限度を下げるのかをはっきり示すべきである。
農作物、水、魚などの暫定基準値がどさくさにまぎれて数倍にも引き上げられたが、説明はなく、基準値を上げたからと言って、安全と不安が解消することはない。
★情報操作(東電に関し)
原発事故に関し、悪い情報は隠し通し、ばれると分かったら止む無く開示している。
普通の情報でも3日遅れで発表し続けている。
東電の清水社長は重大な原発事故を起こしたのに、説明や陳謝に出ずに雲隠れし、ついには病院へ逃げ込みトンズラしてしまった。
清水社長が会長をしている「日本広告学会」、震災後、民間の宣伝ができなくなった時に、しつこいほど「ACジャパン」のタイトルで、思いやり、子宮頸がん予防、最近は、間違った情報に惑われないようにしましょうとか・・・を流しつつけている。
東電、保安院、政府の原発に関する発表は本当のことと伝えない、後から発表するなど、官民一体となって情報操作をしており、そのトップが清水社長だったとは、笑えない事実である。
★情報操作(政府など)
現在、誰でもネットを調べれば、暫定基準値などは、世界の基準から大きく危険サイドに改悪されており、危ないと分かる。
NHKテレビの官製報道や原発情報をほとんど流さない民放ばかり見続けている国民は、政府に完全に騙され続けている。
水と安全は自分で確認して、自分の考えで行動することの重要性を今回ほとほと感じたしだい。
日本は自由な発言、自由な報道ができる国家と思っていたが、実際は、政府などの見えざる報道規制、情報操作が見事に行われている。
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第33回 2011年4月7日PM2:02
★炉心の状況
原発内の1~3号機の炉心の状態のデータが少し出てきた。もはや炉心内はメタメタで危ない状況が続いている。
1号機は燃料棒の7割が破損しているが、格納容器内の圧力が保たれているためなんとか現在の状況を保っている。
燃料棒の破損に伴い、加熱したジルコニウムと水との反応で水素が発生、また、放射線の作用により水が直接水素と酸素とに分解する反応も起こっているようで、圧力容器内に水素が蓄積し1.5%程度となっている。
水素4%、酸素5%を超えると爆発限界となりなにかの発火源があると水素爆発が発生するため、今日の未明の1時、窒素ガス6,000m3を6日間かけて圧力容器内へ注入する作業を開始し、現在も続行中である。
PM0時現在窒素ガスの注入時の圧力容器内の圧力の増加は1.5Kg/cm2から1.55kg/cm2とほとんど変化なく、他にトラブルは発生してないため、一安心。これが1号機の他、2,3号機でも行われる予定であるが、完了すると、水素爆発の危険は遠のく。
ただし、危険な状況にあることは変わらないため、当分や気持ちした状態が続く。
★汚染水
昨日、2号機ピット内から海面へ漏れ出ている汚染水に水ガラスを注入することで止めることができたが、PM0時の時点で、2号機、トレンチの縦口の水位が5cmほど上昇。
ピットから漏れなくなったことで、汚染水がタービン室内などへ溜まり始めた模様。
汚染水は毎日確実に第1~4号機へ注入しているため増え続けており、たぶん200~300t/日、その分、どこかへ漏れ出さない限り、汚染水は増え続ける。
汚染水を貯水する集中排水処理設備などへ、早急に移す必要があるが、高濃度に汚染されているため、作業員の被曝が大きく作業は難航すると思われる。
★海産物、農産物
日がたつごとに、新しく暫定基準値を上回った海、農産物の記事が飛び込んでくる。
当初、揮発性があるヨウ素131が検出され大騒ぎし、その後ヨウ素131の半減期8日により、徐々に放射性物質の量は減少気味であった。
しかし、セシウム137、半減期30年が農作物で検知された。
ヨウ素131は葉物のホウレンソウなどに付着するため当初検出されたが、現在、発表されているセシウム137は土壌中に蓄積したセシウム137を植物が吸収したものと思われる。
セシウム137の半減期は長いため、検出された農地の土壌中のセシウム量は長期間にわたり減らない。
よって、その地域の農作物は一旦、暫定基準値を超えると、その後は数十年にわたり暫定基準値を超えることなり、結局、農作物を作ることが数十年不可能となることを示す。
まだ、データが少ないため、明確には言えないが、原発の周囲では農作物、畜産業を営むことが困難となりそう。
今後、新たなデータの発表を待ちたい。
現在、放射性物質としてヨウ素131とセシウム137のみを発表しているが、燃料棒の破損によりストロンチウム90など、より人体に障害を及ぼすものも同時に飛散されているはずである。
これでの土壌中などのデータの発表が待たれる。東電、政府は意図的に発表をしていない可能性もあるが・・・
私見であるが、やはり、当分危険な原発地域周辺産の農作物は避けるのが賢明と思う。乳幼児、子供、女性は避けるべきである。被曝には前に記載したが、外部被曝と内部被曝の2つがあり、原発から250km離れた東京では外部放射線の数値は通常レベルの0.04µSv/時より高い0.09µSv/時より(福島市では相変わらず、2.5µSv/時と通常レベルの500倍以上となっている)ので人体にまったくと影響はない。
しかし、食物から口に放射性物質を取り込むと長期間(セシウム137では死ぬまで)体内から放射能を浴び続ける。もちろん、半減期や尿などにより一部は排出されるが・・・
「君子危うきに近寄らず」で危険と思われるものは避けるのが良いと思う。
各自、いろいろな情報を入手し、自分の判断で行動するのが望ましい。ただし、政府の発表は遅く、悪いことは発表していないことは頭の隅においておきたい。
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第34回 2011年4月11日PM11:42
★地震
3月11日の本震が巨大だったせいで、余震が長く続いている。今日(4月11日)の夕方の大きな余震があり関東地方でも相当揺れた。
今日までの1ヶ月間に大体数日に1回は震度3~4の地震があっており、いつも身体が揺れている感じがして落ち着かない。
★福島第一原発
今日の大きな余震の影響をうけ、福島第一原発の1~3号機の外部電源が50分ほど遮断され、炉心の冷却がその間停止した。
幸い、炉心では燃料棒の更なる高温などはなかったようで、外部への放射線量も増えてなくヒヤットした。
しかし、余震が続いているのに、外部電源が再度ダメになった場合に車載式の電源車、消防ポンプ車などでバックアップできるようにしていなかったのであろうか?報道では準備していたが、余震による津波が心配で作業員が避難してそれらを稼動させることができなかったとの説明。
これなら、再度、大地震が発生し津波警報が出つつけている場合には、何も対応できないままとなりそうである。
やること、なすこと、一つが駄目な場合に、数種類にバックアップ体制を同時に構築しないと、今度こそ炉心溶融が発生する。
現場の指揮が細かいところまで行き届いてなく、行き当りばったりで対処しているようで情けない。東電など本原発の技術、現場に精通した技術者を現場に張り付けて対応して欲しいものである。
東電の役員クラスは誰も現場に常駐していないのだろうか?
★腑抜けの東電社長
事故後、真っ先にトンずらした清水社長は今日、福島県に陳謝のために訪問したが、その前に、報道関係者の前で東電管内の全国民に対して原発事故の経緯、釈明、対応、責任を直ちに行うのが筋であろう。
平時には経団連の副会長として威厳を誇っていたのに、事故後は逃げ回ってばかりいる様子を見ると、まったく情けない。このような腑抜けが日本有数の会社の社長とは・・・トホホ・・・あきれるばかり。
勝俣会長の娘と結婚したことで社長になったので、いわば世襲社長。
★選挙
統一地方選挙は、予想通り民主党の敗北で終わった。
民主党の鳩山内閣の有言不実行ならまだしも、うそを言い続けたし、引き継いだ菅内閣もまじめなだけで実行力はほとんどなく、実力者の小沢との党内論争に明け暮れている最中に、東日本大震災に見舞われた。
ほんとうに、民主党政権になってから、悪いことが続いておこっている。運も実力と良く言うが、当たりかもしれない。
政権交代後に、うそつき鳩山でなければ・・・小沢に政治資金問題がなければ・・・大震災がなければ・・・
選挙の結果から、民主党に任せていてはどうしようもない、だからといって選挙目当てに大企業や農家ばかり優遇してきた自民党に再度任せることはできるか?石原、小泉のような口だけの世襲議員が巾を聞かせているようでは民主党より更に日本はダメになりそうである。
自民党は与党の時には消費税のアップは口には出さず、野党になって10%を言い出し、自民党が推進してきた原発(利権のためではあるが)は国策として正しい方向と思うが、だらしない東電、原子力安全委員会、保安院など機能を果たしていない格好だけの組織を数十年以上かけて作り上げ、保持してきた自民党の責任は大きい。
利権の塊の原子力事業により原発立地県や誘致した町村にはべらぼうな国費が投じられ、関連業者は長期にわたって潤ってきた。
今は、原発事故の収拾を真っ先にやるべきことであるが、次には、原発事業の見直しが必要となろう。
自民党は原発事故に関しては口を閉ざし、火の粉が飛んでくるのを避けている。
★原発の状況
炉心への水の注入は行われており、2号機タービン室内、トレンチに溜まった高濃度の汚染水を復水器経由集中排水処理設備へ送る準備が着々と進んでいる。
1号機の格納容器内へ窒素ガスを格納容器と同量の6,000m3注入する作業を行っているが、窒素を注入しても格納容器の圧力が所定圧まで上がってないため、格納容器からリークがある模様。
リークがあると、窒素ガスを注入することにより、放射性物質を含んだガスが大気中へ漏れ出ている可能性が高い。その代わり、リークにより水素ももれ出ているため、水素爆発の可能性は低くなる。
炉心への注水による水蒸気が常時建屋からでており、水蒸気に同伴して放射性物質が少しずつ漏れているであろう。
★放射性物質
原発周辺地域の放射線の値は徐々に下がってきている。理由は半減期8日の放射性ヨウ素(ヨウ素131)が少しずつなくなっているためである。
3月12日に1号機、3月14日に3号機建屋が水素爆発により多量の放射性物質を大気中へ放出したあとは、大規模な爆発は発生していないため放射性量は少しずつ減ってきている。
しかし、福島市の放射線量はと平時の0.04µSV/時より50倍も高く、この1ヶ月続いている。
政府では一般人の浴びてよい放射線量の限度は1mSv/年を20mSv/年に変更しようとしている。
これは、福島市の値から、
2µSv/時×24時間×365日=17,500µSv/年=17.5mSv/年
を想定しているものと考えられる。
★牛乳、水、野菜の放射能
牛乳の放射性検査は、高い放射性物質が測定された箇所の牛乳と他の牛乳を混ぜたものが暫定規制値を超えなければ出荷しても良いこととなった。
まさに、ザル法で、薄めてしまえばよいとの考え+安全性を緩めた暫定基準値を超えなければ良いとの2重の不安全法である。
もはや、政府には国民の健康を維持する、生命の安全を守ろうとは、考えていないようで、畜産農家を助けよう、規制値を超えた牛乳の出荷停止量が多いと、東電、政府の支出が増えて大変との魂胆が見え見えである。
水道水についても、3日間の放射性物質の平均値が上回った場合に規制をする。解釈は、2日間、低い値で1日だけ高くとも平均して暫定基準値を下回れば飲むことができる。
まったくの悪法で、このままだと、安全性を緩めた暫定基準値を超えても、知らずに水道水を飲まされることと成りかねない。
野菜の暫定基準値や水洗後の分析なども、まったく牛乳、水と同様である。
なぜ、国民の健康と生命を危うくする法律を次々と、詳しい説明もないまま施行しているのであろうか?
マスコミはなぜ、追求しないのか本当に不思議。
よって、自分、家族などの安全は自ら守らないと守ることはできない。
マスコミは政府の発表をそのまま伝えるだけなので、自分で判断して対処することが必要となる。
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第35回 2011年4月15AM11:58
★原発の炉心
1,2号機では燃料棒が水面から露出したままであり、3号機は水面下にある。 炉心下部の温度が低いことから、すでに、1~3号機の圧力容器内の下部には細かくなった燃料棒の粒子が堆積しているとの発表があり、このまま冷却を続ければ今の状態で維持できるとの見解である。
しかし、原発の炉心の状況は不安定で、3号機では圧力容器上部の温度が上昇しつつある。4号機の使用済み燃料棒のプールの温度は90℃になっている。
原因はタービン建屋やトレンチの汚染水の量を増やさないように1~3号機への炉心、4号機プールへの注水を減らしたため、燃料棒の冷却がうまくできないようである。
専門家の見解では、この状態は2~3ヶ月は続きそうである。
全体として、綱渡り的な予断を許さない状態が続いている。
★汚染水
炉心は外部からの注水により、なんとか状況の悪化を食い止めているが、注水により汚染水は着実に増えている。
2号機トレンチ内の汚染水をポンプで復水器へ移送したことにより、トレンチ内の水位は当初低下したが、その後元の水位へ戻りつつある。
汚染水を10,000tほど貯水する集中廃棄物処理設備は低濃度の汚染水9,300tを海へ放流したが、設備内の点検などに手間がかかっておりまだ、トレンチ内の高濃度の汚染水を移送する作業は行われていない。
トレンチ内の高濃度汚染水は合計60,000tあり、毎日着実に数百t程度は増加している。あと、最低でも数ヶ月間、汚染水は増えつつけるため、その汚染水を貯水するタンク、メガフロートなどの準備は整っているのだろうか?心配になってきた。
数週間前に、低濃度の汚染水を海洋へ流し国内のみならず韓国など海外から避難を浴びたが、数週間後に今度は貯める場所がなくなったとのことで前回とは桁違いの高濃度の汚染水を海洋放出するのであろうか?
いつまでたっても、先を予想せずに、事態が起こりうることがわかっていながらも、先手を打たずに放置している、東電、保安院、政府にはあきれるばかり。
★施設の対応
非常事態なので、各種手段を何通りも予想し、準備しておくことが必要なのに・・・
数千億~数兆円の対策、復興費がかかるのは今後のことであるが、今一番重要なのは、現場で少しでも早く、原子炉を安定化させることである。
そのために、現場で数百億円費用がかかっても、事態が長引くことによる直接、間接的にかかる費用の方がその数十倍から100倍程度増える。
現場で必要な機器を超特急でメーカに製作させ(費用が定価の5倍、10倍かかろうともやむを得ない)、現場で作業を行う熟練技能工を、1時間50万円、いやそれ以上でも、危険手当含みでかつ、適切な防護対策、被曝線量の測定をセットで作業員を全国から募集すれば、1日たぶん、実作業は1時間としても、必要な人員は集まるであろう。
この段階となっても、東電の下請けに通常の給料と規定の危険手当だけではもはや限度がある。東電の下請けは、当初は自分がやらなければ、だれもやる人はいないとの決意で作業を行っても、一向に事態が改善されず、放射線被曝が増え、交代人員もあまりいない状況では疲労で嫌になるのが当たり前である。
現場では、なかなか本音は言えないが、当初から現場で復旧作業を行っている作業員は、もう止めて帰りたいのが本心であろう。
現場の士気を高め、取りうる手段をなんでも行うためには、多量の作業員を確保し、次々に交代させながら作業を続けることしかない。
作業員は100mSv程度の被曝なら、その後、被曝がなくなれば、次第に生体の修復機能により放射線障害が徐々に回復してくるので、この程度の被曝で交代させてやりたい。
★放射能汚染
原発の周囲30km圏内及び飯館村など地形や風向きにより放射性物質が多く飛散した地域では、野菜、牛乳、水などの飲食物のみならず、土壌が放射能に汚染されてしまった。しかし、3月12~15日にかけて第1、3号機の水素爆発により大量の放射性物質が放出されたあとは、大きな爆破がないため、原発から大気中への放射性物質の放出は加水時に発生する水蒸気に同伴する放射性物質のみとなった。その結果、放射性ヨウ素は徐々に減少しており、全体として大気中の放射能レベルが下がってきている。
土壌中に検出されるセシウム137は半減期が30年と長いため、土壌汚染は長期間続く。
原発から新たな放射性物質の飛散が止まったあとも、大気中の放射性物質は徐々に周囲に舞い降りるため、数ヶ月後にセシウム137は下がり始める。
よって、現在、セシウム137が規制値を超えて土壌中に検出されている箇所では、数十年は作物を栽培したり、牧草を植え、牛を飼ったり、水道水を飲むことは難しい。
コウナゴが放射性物質により汚染され、現在、福島、茨城、千葉県沖での漁業は中止されている。
海洋汚染は、近海のみならず30km沖までも広がっている。
大気汚染は収束する状況にあるが、海洋汚染は高濃度の汚染水による地下水の汚染、汚染水がまだどこからか海へ流れ出ている可能性あることから当分の間続きそうである。
しかし、政府が発表する魚介類に漁獲量が多いイカ、サバ、アジなど、国民が普段食べている魚について調べずに名前を始めて聞くようなコウナゴを調べたのであろうか?イカ、アジなどの放射能数値は?
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第36回 2011年4月18日(月)PM0:49
★原発事故対応の工程表
東電の勝俣会長が原発事故の今後の工程表をPM3時から発表した。
概要は、添付の時事通信を参照
(発行元のサイトは削除されているが、グーグルで検索すると読むことができる)
今回の事故による原発からの放射線の放出が収まるまでに6~9ヶ月かかるとの発表。
これにより、避難している30kmの避難指示区域及び計画的避難地域内の住民は年内の自宅への帰宅は難しくなった。
★工程表(原発本体)
今回の工程表では、具体的な対応策が明確になった。この1ヶ月間、事態が発生するたびに、モグラたたきのような対処療法ばかりが目についたが、やっと本腰を入れて事態収拾に動きだしたようである。
1~3号機の炉心及び4号機の使用済み燃料プールの状況が悪いまま続いている状況と、対応の内容、必要な機器などの納期を検討すると技術的な内容と期間は妥当なところであろう。
メインの原子炉の冷却について、1,3号機は格納容器内に水を満たす水棺方式を採用。2号機は格納容器下部のサプレッションプールに損傷があるため、コンクリートでサプレッションプールを埋め、その後1,3号機と同様水棺を行う。
この方式は、今まで案として上げられていたが、今回始めて具体的に示された。
格納容器内の水は外部に新規に設置した冷却装置(水冷あるいは空冷)へ導き冷やしたあと再度格納容器へ戻して循環使用する。これにより、圧力容器内の温度の低下がはかられるため、圧力容器内への注水は相当減らせると思われる。
問題点は、格納容器と新規の冷却装置とを接続するための配管が使えるかどうか?格納容器に接続されている既存の使える配管を探し、漏れがないか?接続できるか?たぶん放射線量が多い原子炉建屋内に作業員が入って作業することとなるため、相当被曝すると思われる。
昨日から、アメリカ製のロボットが1、3号機の原子炉建屋内へ入った。2重扉をロボットが開け、内部30mまでの画像や放射線量、温度、酸素濃度などを計測した。建屋内の扉をロボットが開けた写真は公開され、データとして、放射線量は概略10~50mSv/時、温度は20~28℃、酸素濃度21%。このロボットは耐放射線の絶えられる材料、制御機器を搭載し、足場の悪い箇所を移動できるもので原発&軍事用に開発されたものである。日本でも原発用のロボットは開発したがアメリカとは異なり軍需用が見込めないため途中で止めた経緯がある。
測定結果により、第1,3号機の原子炉建屋内は作業員が最大数時間(作業員は250mSv/年)滞在することができるが、継続して作業を行うためには効率よい作業と作業にもよるがたくさんの作業員が必要となろう。
2号機の建屋内は今日測定するが、たぶん汚染水の放射線濃度から、1,3号機の2桁以上高い値であろう。
★工程表(汚染水の処理)
汚染水の処理は3ヶ月程度かけて、圧力容器内への加水による増え続ける余剰水とたまり続けた汚染水を貯める集中廃棄物処理施設、メガフロート、屋外タンクなどの準備を急いでいる。
同時に放射能で汚染された汚染水を排水処理する施設を建設する。
放射性物質のセシウムを処理するため、2号機のトレンチ横の海水面にゼオライトを1t投入し、セシウムを吸着させることを行っている。ゼオライトは1kgでセシウム6gを吸着できるとのことであるが、ゼオライトは1回吸着すると効果はなくなるし、海水中に含まれるその他の物質も吸着するし、セシウムを吸着したゼオライトは放射能を放射しつづけるためどこで保管するのか?そもそも、莫大な量のセシウムが汚染水中に含まれており、どの程度ゼオライト量が必要なのか?どうも、単なるパフォーマンスのような気がする。
高濃度の排水処理施設を建設するとのことであるが、本当にできるの?
★工程表(大気汚染)
水素爆発により爆発した1、3、4号機の建屋をカバーで覆い、飛散したコンクリートに付着した放射性物質及び加水により常時大気中に放出されている放射性物質を少なくする方法である。
外部でカバーを製作し建屋を覆うが、作業を行うためには作業員が地上あるいはヘリコプターなどで近づかなければならず、相当な危険が伴いそうである。
少なくとも、1~4号機の状態が安定し、水素爆発などの危険がなくならないと現地工事はできないと思われる。
敷地周辺に津波で流された土砂、機器類、水素爆発で飛散したコンクリートや鋼材は、重機を使い、外から少しずつ撤去し、施設内に保管すればよいので、この作業はかなり早くできそう。ただし、放射性物質が付着しているので、そのまま積み上げると雨、風により飛散するので、土中埋設、シート掛けなどが必要となろう。
★工程表(放射能の測定)
今回、放射線量の測定、調査を行うことは大変望ましい。国民が一番知りたい情報は、リアルタイムで放射能レベルを知ることである。大気中のみならず、土壌、海水、水、農作物などの放射能を同じ場所で同じ日数間隔で測定し、すぐに誰でも見ることができるようにすることが肝要。
★政府、東電、マスコミの情報
今までの東電、保安院、政府の発表は、行き当りばったりで測定場所、測定間隔がばらばらで、かつ、放射能の単位を適当にµSv/時、mSv/時と勝手に変更し、かつ水や海水中のBq/kgは高濃度汚染水の時にはBq/ccと小さく見せたりしている。普段このような単位や数値に縁がない一般人にとって理解をするのは難しい。逆に、わけのわからない専門用語や単位を使い、国民を煙に巻いているようである。
また、実際のデータを示さずに、規制値の○○倍といってごまかしている。国民が知りたいのは実際の数値と規制値の両方である。
その規制値については、政府は3月16日までの規制値を3月17日以降は勝手に暫定規制値に変更し、水道水10bq/kg→乳児100bq/kg、300bq/kgへ変更、野菜は300bq/kg→2,000bq/kgと変更した。
水道水では30倍、野菜では6倍以上も危険サイドになっている。
また、人体が放射線を浴びるには、大気中の放射線を外部放射線として常時浴びる以外に、空気中に漂っている放射性物質を呼吸により取り込み、水、野菜、魚などを飲食して取り込む内部被曝も同時に起こる。
原発近隣の県に住んでいる限り、外部放射線、呼吸、飲食物による内部被曝を受けるため、外部放射線の約2~3倍の放射線を人体に取り込んでいる。
政府やマスコミが、外部放射線だけのデータ、あるいは水だけ、野菜だけ、取り続けても安全ですと説明しているのは、本当のことを伝えていない。
また、現在いつの間にかマスコミでも暫定基準値を基準値と呼び、なし崩し的に基準が危険サイドのままになっている。
一部の農家や酪農家を助けるためと原発補償にからむ東電、国庫負担を減らすために、多くの国民の健康と安全を脅かしている。
放射能について関心がある国民は政府やテレビでくどいほど流している御用学者やニュースキャスターの安全です、福島の農産物を買って支援しましょう、風評被害をなくしましょうと叫んでいるが、政府が今までに行ってきた経緯、他国との基準値の比較データを冷静に見ると、政府の大本営発表は、近い将来責任問題となるのでうそは発表していないが、本当のことを知らせていない。いわなければいけないことを発表していないなどの情報操作に満ちている。
テレビ、新聞、ネットなどからたくさんの情報を入手すれば、政府の発表、マスコミの報道(NHKは当初、政府の見解をそのまま発表、あるいは御用学者が説明していたが、2週間程前から、御用学者の登場は少なくなりNHKの解説者は本当のことを述べるようになった。しかし、民放はスポンサーの意向を受けているようで、相変わらず御用学者、解説者、ニュースキャスターが政府の代弁役を果たしているようである。
各人、いろいろな情報を入手することが重要である。
第37回 2011年4月19日(火)PM1:42
★2号機の汚染水の移送
2号機タービン室とトレンチ内に溜まっている高濃度汚染水25,000tを集中廃棄物処理施設への移送が始まった。
集中廃棄物処理施設には30,000tの汚水を貯留できるが安全をみて10,000t溜め、残りは仮設のタンクなどに溜める予定。移送量は480t/日のため約20日程度かかる。
やっと、2号機建屋内などに溜まった高濃度汚染水の移送が始まったが、圧力容器内へ加水が続いている限り、あと数ヶ月は加水の余剰分100t程度が毎日加算される。
★汚染水
18日、新たに4号機原子炉建屋の地下に汚染水が5m溜まっているのが分かった。当初保安院の発表では20cmとのことであったが、実際は地下が水没する5m。
建屋の面積は縦40m×横40mのため5m溜まっていると8,000tの汚染水となる。
4号機の建屋上部にある使用済み燃料棒プールへ加水を行っているため余剰の水が地下に溜まったのであろう。
また、4号機の建屋は火災(実際は使用済み燃料に起因した水素爆発)により損傷しているが、特に、使用済み燃料プールを支えるコンクリート柱や壁の損傷が大きいため、プールを下部から新たに支えないとプールの水が漏れ出して危険との指摘がでている。
またまた難題がでてきた。
★ロボット
昨日、米国製のロボットが2号機原子炉建屋内に入ったが、室内の湿度が高いため、カメラがくもり、表示された放射線量などのデータが読み取れなかった。
2号機原子炉建屋内は1,3号機建屋とは異なり、格納容器下部のサプレッションプール(圧力抑制室)が破損しているため、放射性物質が直接建屋内に溜まった汚染水に混入し相当な放射線量と思われる。
カメラのくもり止め対策をして再度建屋内へ入るだろうからその結果に注目。
ロボットが撮影した1,3号機の建屋内にはコンクリート片が散らばり、機器の残骸などがある。水蒸気爆発により1~2m厚さ(通常のコンクリート造のビルでは20cm程度)、ものすごく太い建屋の鉄骨を一挙に破壊するほどの爆風により、格納容器の周囲に接続されていた膨大な量(長さ)の配管、電気ケーブルなどは、爆風により格納容器や配管の接続部からはずれ、惨憺たるありさまであろう。
★原子炉内の状況
原子炉内の放射線量、燃料棒の水位、圧力容器内の温度、圧力などのデータは以下のサイトで常時知ることができる。
(発行元のサイトは削除され見ることはできない)
1~3号機とも圧力容器内のこれらのデータを知ることができることから、制御用センサーや電気ケーブルは使用できている。たぶん、電気配線はコンクリート内に埋設していたため爆風を逃れたのであろう。
★工程表
17日に東電が発表した工程表について、原子力安全委員会の班目(まだらめ)委員長が「実施には相当な困難が伴う」「一番難しいのは2号機」との見解。
その他、原子力、プラント関係の専門家の意見は、政治的に期限を区切られた工程表で、現地の実情を的確につかんでいない状況での発表なのでこのとおり進むのは難しく、相当な期間が必要との見解が多数。
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第38回 2011年4月21日(木)PM2:15
★警戒区域(立入り禁止命令が出せる区域)の設定
政府は22日AM0時から福島第一原発から20km圏内を立入り禁止命令が出せる「警戒区域」とした。また、福島第一原発から3km圏内は立入り禁止とした。
添付読売新聞オンラインニュースを参照。
今後、福島第一原発20km圏内への立ち入り禁止期間は、東電の工程表とのからみから最低でも6ヶ月は続く。
原発の再溶融あるいは水素爆発などの危険が回避でき、かつ新規の放射性物質の発生がなくなるまでの期間、この警戒区域内の住民、約60,000人は他の場所に住まざるを得ない。
政府は原発の状況の改善を期待していたが、一向に良くならないため、もはやこれ以上、避難している住民への対応を曖昧にしておくことはできないと腹をくくったようである。
★炉心溶融
保安院は4月18日、1~3号機の燃料棒が溶融していると発表、東電は4月20日になり、1号機の炉心が溶融していることを認めた。今までは燃料棒の被覆管が破損していることは認めていた。
いまさらとの感はあるが、事故の状況をレベル5からレベル7に上げたことと同様、事故初期のことを今になって、悪い状況だったと認めても・・・
東電や政府の大本営発表が信じられないことは今に始まったことではない。
★学校の安全基準
文科省は福島県の学校の安全基準として3.8µSv/時以下の空間放射線量(外部放射線)なら子供達にとって問題ないと発表。
根拠は10mSv/年以下の被曝を超えることがないからとの見解。
しかし、病院や研究所において放射性物質を取り扱う箇所を放射性管理区域として黄色のマークで表示し、管理者以外は立入り禁止となっているが、その場合の放射線量は0.6µSv/時である。
厳重に管理すべき放射能を取り扱う区域が0.6µSv/時なのに、その6倍(3.8µSv/時÷0.6µSv/時=6.3倍)もの被曝を常時受けても問題ないとは?
放射性物質などを取り扱う管理区域内のほうが、安全であるとは、どう考えてもおかしい。
福島県内に住んでいる限り、空間放射線以外に、呼吸、水、野菜などから放射線を体内へ取り込み内部被曝するので実際は空間放射線の2~4倍の放射線を浴びることとなる。その結果、20~80mSv/年被曝する。
幼児や子供は放射能の影響を受けやすいので、今は緊急避難として他の放射能が低い地域へ転出させるのが当たり前と考える。
転出後、放射線量が下がれば、また福島県内へ戻れば良いし、放射線のレベルが下がらないようなら転出したままでもやむを得ない。
将来の日本を支える子供達の安全と健康を大人の目線から、一時的なので大丈夫だろう、この程度なら良いだろうとから決めるのは、危険なことである。
子供達は放射能の知識もなく、自ら場所を移ることも、危険な水や食品を避けることもできない。大人が放射能などに対して正しい情報を入手しそれに基づいて子供達をどのようにすべきかが試されている。
なお、福島市の空間放射線量は現在でも2µSv/時を示しており、原発事故前の0.04µSv/時より50倍も高い数値となっている。
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第39回 2011年4月25日(月)PM5:04
★原発の状況
1号機の格納容器(容積7,000m3)内へ窒素ガスを注入し水素爆発を未然に防ぐ対策を行っているが、格納容器の2倍の容量の窒素ガスを入れても容器内の圧力は上昇していないことから、放射性物質が含まれた空気が窒素ガスの注入分だけ外へもれ出ているようである。
1号機は圧力容器を冷却するため圧力容器内への水の注入と並行して格納容器内へ水を貯める予定であったが、圧力容器内へ加水された水が蒸気となったあと冷やされて格納容器内へ溜まっていることが分かった。
これにより格納容器内を水で満たす作業がはからずも進行しつつある。
4号機の使用済み燃料プールの温度は91℃と上昇しているため、コンクリートポンプ車を使い140tの水を追加した。その結果、燃料プールの水温が65℃まで下がったが、1日経過すると81℃まで上昇。今日さらに140tの水を追加するが、燃料プールを支えるコンクリート壁や支柱が地震と水素爆発(当局は単なる火災としている)により破損し、燃料プールからの大量の水漏れが起きると1,500本の使用済み燃料棒が再溶融する恐れがある。
1~3号機の圧力容器内には加水が続行されているため、燃料棒の溶融が生じていても更なる事態の悪化は避けられそうであるが、4号機の燃料プールを支えるコンクリートが万一、地震などで崩壊すると燃料プールに水が一挙になくなり、燃料棒の温度が上昇し再臨界の可能性を否定できなくなる。加水による重量増を今のところコンクリート壁や支柱が耐えているが・・・
なんとか、燃料プールの水位を今のまま保つことが最重要である。
もし、地震で燃料プールの壁、支柱が崩壊したら、もう取るべき手段はない。
2号機トレンチ内の高濃度の汚染水を集中廃棄物処理施設へ移送している。しかし、施設での貯水量は10,000tしか溜められないため、別途、仮設タンクを設け溜める予定。なお、汚染水には放射能の程度が異なるため、低濃度、中濃度、高濃度放射能タンクと分けて溜める。
★原発敷地内の放射能汚染マップ
1,3号機の水素爆発、4号機の火災により大量のコンクリート片、鉄骨などが敷地内に散乱している。
敷地内の放射能汚染マップが公開された。
3号機周辺の放射能が一番高いことから、3月15日に発生した3号機の水素爆発により3号機から放射性物質が飛散したことを示している。
3号機が単なるコンクリート建屋の水素爆発ならコンクリート片などへは放射性物質は付着していないはずであるが・・・ 敷地内のコンクリート片には900mSVもの放射能を出すものもあるため、作業員がうかつにそれらに近づくと多量に被曝してします。
現在、放射能を帯びたコンクリート塊などの撤去作業をしている。
★原発全体
原発全体として、1~3号機とも炉心の状態は悪いながらも安定している。一応、圧力容器内への加水は行われており、かつ1ヶ月の連続加水により燃料棒の崩壊熱は下がっているため、このまま地震や人的ミスによる注水の断絶などがない限りなんとか乗り切れそう。
ただし、汚染水は毎日着実に増加しており、汚染水の貯水タンクの増設及び汚染水排水処理設備の稼動が待たれる。
フランスのアレバ社が提供する放射性物質の排水処理設備は1,000~10,000分の1に放射性物質を薄められるとのことであるが・・・
本当に可能なのか?吸着などのより濃縮した放射性物質はどのように取り扱い、保管、貯蔵するのか?
アレバ社の技術で導入した青森県の再処理工場は納期も予算も、まったく初期の予定どおり進んでなく、その技術に疑問がある。
うまくいっても、バカ高いお金をふんだくられるであろう。
しかし、今はお金をどうこうするよりも、わらおもすがる状況なので、使えそうな技術は何でも実行し、一刻も早く、この危機を脱することが先決。
やはり、一番の問題は4号機の使用済み燃料プール。
プールを支えるコンクリート壁、支柱の補強を早く行うべきである。幸いなことに、4号機周辺の放射能濃度は低いため、すぐにでも行って欲しい。
プールの水がなくなると、もはや誰も施設には近づけない。もうお手上げ・・・
★その他
原発事故により施設外へ放出された放射性物質の量はチェルノブイリの1/10との報道。
放射能汚染の実態についても、チェルノブイリとの比較などが報道されているが、政府や御用学者はたいしたことはないといいながら、20km圏内は立入り禁止となった。
現在、各種データを入手し、データの信頼性、様々な学者の見解をチェックしているが御用学者と反原発学者、本当のことを述べているらしい学者などさまざまな意見が飛び交い真偽の確認が難しい。
原発情報 その4で放射性被曝、その他を作成中であるが、ネット上には様々な見解があり、なかなかまとめるのに苦慮している。
ひとつには、政府、東電のデータが恣意的で良いデータしか発表しない、遅れて発表、連続データがでてこない。東電などは発表の10倍以上の多量のデータを持っているであろうが・・・
しかし、政府が次々と立ち入り禁止地域を決め、学校、公園などで遊ぶ時間の制限など、厳しい条件を発表していることから、原発の状況は現状維持であるが最悪の場合がありうること、放射能は当分の間外部へ放出され続けることが確実であることが読み取れる。
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- 2013年02月07日 17:18 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
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2011年5月24日
原発情報 (6-1)
福島第一原子力発電所の事故について
その6-1、原発の状況と情報伝達
第1種放射線取扱主任者
要旨
1. 原発の情況 1) 事態が落ち着いてきた * 原発事故後2ヶ月半を経過、事故が発生した当初の状況が少しずつ明らかに。 * 1~3号機とも圧力容器内の燃料棒はメルトダウンしているが、現状のままの冷却を継続すれば再臨界の可能性は少ないことが決定的な安心感。 2) 万一の事態 * 復旧工事の途中での大きな余震、予期せぬことがらにより圧力容器内の燃料棒及び使用済み燃料棒プールにおいて再臨界が起きることが心配。 * 再臨界が1~3号機のいずれかの圧力容器内あるいは4号機の燃料棒プールで起こるとお手上げとなる。 2. 個別施設の情況 1) 1号機 2) 2号機 3) 3号機 4) 4号機 3. 原発情報の伝達 1) 大本営発表はいつまで続く * 新たな情報により、原発の中でいままで断片的に発表されてきた内容より、はるかに悪い状況が続いてきたことを示していた。 * 国民は断片的な大本営発表から類推しほぼ実際の情況を把握していた。 2) 原発事故の原因究明と今後の原発行政 a) 事故の原因究明 * 重大事故の原因究明が始まった。 * 事実を明確にして、今後の原子炉の設計、運転、維持管理、非常時の対応など、全世界の原発にとって更なる安全対策になるよう調査、分析が望まれる。 (2013年2月7日追加) * 畑中洋太郎 「失敗学の法則」を原子力委員会、保安院は勉強、実践していた。 * 原発事故の発生は、原子力安全委員会、保安院の名前だけのトップ、形骸化した組織体系、担当者の無能ぶりを世間にさらけ出した。彼らは失敗学を単に知識として習得し、格好だけの対応をしていただけだった。 b) 今後の原子力発電の進め方 * 原発事故は従来の原子力の施設、放射能被曝などの法律、規制、組織を根本から立て直す良い機会。
3) 原発事故の責任 * なあなあで対応する日本社会の縮図を見直し、責任の所在を明確にしきちんとした対処を行うことが必要。 * 今回事故の最大の責任者は原発事故に対し最も重要な位置と権限を持っている内閣府、原子力安全委員会の斑目(まだらめ)委員長である。 (2013年2月7日追加) * 今回の原発事故の責任は、政治家のみならず、必要かつ的確な科学的判断、基準の出さなかった/出せなかった科学者、技術者にもある。彼らの無作為、黙って事態を見過ごしてきた体質を根本から変えなければならない。 * 科学者、技術者が政治家、官僚、企業家の御用学者として仕えてきた悪しき習慣を正していかないと、国民に信頼されなくなる。 * その前に、今回事故の原因究明を行い、その上で東電、原子力安全委員会、保安院、政治家、関係する委員会、諮問会、計画書などに関与した科学、技術者の責任追及をおろそかにしてはいけない。 * 原発事故の原因究明、責任追及を徹底的に行い、きちんとした処罰を行うことが日本人に与えられた責務である。 4. 原発の外部電源喪失(事故発生の最大要因) 1) 外部電源は地震で喪失 * 事故の主たる原因は原発へ外部電源を供給している鉄塔が地震で倒壊、すべての外部電源が使えなくなったことによる。 2) 非常用電源の確保 3) 自然、人的災害のリスクと費用 * 地震、津波、台風、竜巻、豪雨、洪水、雷、火事などの自然、人的災害のリスクをどの程度想定し、費用対効果、費用対安全の割合をどの程度見込むかは今後の重要な課題。 4) 大震災の教訓と今後の対応 * 10年程度の頻度で発生する小、中規模の災害ならハードの対策で十分対応可能であるが、百年に1回程度発生するような想定外の大災害にはハードだけでは対応できない。 * 想定外の災害発生時の情報伝達、災害の及ぶ範囲の予想、避難方法、避難場所などソフト面での対応方法を準備しておくことが必要である。 * 何事も、想定外の非常事態が有りうるとの事で心構えをし、物品の準備、避難場所を知っておくだけでも、いざという時に役立つ。 * 心構えと事前の準備があれば、実際の災害発生時にはパニックにならずに冷静に行動でき、被害を最小限に抑えることができる。 |
△ページトップへ戻る 1. 原発の情況
1) 事態が落ち着いてきた
原発事故が発生してから2ヶ月半を経過し、事故が発生した当初の状況が少しずつ公表され始めた。
東電は4月18日に工程表を発表し、進行状況を毎日発表するようになったことにより以前と比較すると施設内の情況がよりわかりやすくなった。
5月に入り施設の情況が落ち着いてきたことから、東電、保安院、政府は、もうこれ以上の事態の悪化はないと考え、今後はいかにして原子炉を安全な状態にまで持っていけるかに注力すればすむこととなった。
特に、1~3号機とも圧力容器内の燃料棒はメルトダウンしているが、現状のままの冷却を継続すれば再臨界の可能性は少ないことが決定的な安心感となっている。
もちろん、事故はなぜ起こったか、事故後の対応に問題はなかったか、情報の公開の仕方、内容、関連する原発関係機関の組織の問題など、今後、明らかにすべきことがらはたくさんある。それらについての検証や意見が出始めたこと事態、やっと原発が悪い状態ながらも落ち着いてきた証拠であろう。
工程表は1ヶ月経過した5月18日に見直しが行われた。日程に変更はなかったが、原発施設内の復旧工事には大幅な変更が行われた。今後も工程表に基づき作業を実施していく過程で、甘い想定、予期せぬ情況の発生などにより日程、内容を変更する事態が多々起きるであろうが、もう、これ以上悪いことは起きないとの安心、安堵感、原発慣れが出てきたのは事実である。
2) 万一の事態
今後、最悪の事態を引き起こすきっかけとなる万一の事態を是非とも避けたい。
万一の事態とは、復旧工事の途中での大きな余震、ちょっとした作業ミスや予期せぬことがらにより、圧力容器内のメルトダウンした燃料棒及び使用済み燃料棒プールにおいて再臨界が起きることである。
それらは、
① 1~3号機の圧力容器内においてメルトダウンした燃料棒の熱、圧力容器の材料の劣化などにより圧力容器の底の孔が広がり、水を注入している配管系統で何らかの理由により水が送られなくなりメルトダウンした燃料棒の冷却が不能となる。
② 4号機の使用済み燃料棒プールに貯めている水が、コンクリート壁の破損により一挙に無くなり、使用済み燃料棒の冷却が不能となる。
1~3号機の燃料棒プールは注水が行えており、燃料棒プールのコンクリート壁も健全なので大きなトラブルはなさそうである。
特に4号機の燃料棒プールは支えている柱と壁が水素爆発により大きく損傷しており、余震によりコンクリート壁が一瞬に崩壊して溜めていた水が流れ出すともう手がつけられなくなる可能性がある。
4号機の燃料棒プールは7月末までに柱や壁の補強工事を完了するとのことなので、それまで、地震などにより燃料棒プールの破損がないことを祈るばかりである。
最悪の事態は、上記の情況が1~3号機のどこか1箇所の圧力容器内あるいは4号機の燃料棒プールで起こると、施設内の作業員は全員撤退せざるをえないので、もうお手上げである。無人となった施設内では時間経過とともに着実にすべての圧力容器、燃料棒プール内で次々と再臨界が起こり、放射能を発生し、放射性物質が周囲に拡散する。もはや誰も止められない。その結果、福島県内のみならず東京都内に人は長期間住めなくなる。現在進行中の人口減に起因した日本の衰退が一挙に加速し、国家財政破綻、超円安、ハイパーインフレが日本を襲い国家の存亡すら危うくなる。
2. 個別施設の情況
1) 1号機
1号機の原子炉は地震発生後。直ちに燃料制御棒が燃料棒に挿入されたが、非常用冷却水の稼動が運転員の手順に則った操作により10分後には停止されたため、燃料棒への冷却ができなくなり6時間後には2,800℃の高熱によりすべての燃料棒がメルトダウンした。その結果、溶融した燃料棒が圧力容器の下部に溜まった状態となったが、海水や水の注入によりメルトダウンした燃料棒はなんとか冷やされ続け150℃程度の温度で2ヶ月間半維持できている。
原子炉内での核分裂反応は燃料棒などの配置などが適切な場合に起きるが、事故により燃料棒がメルトダウンしたため、はからずも核分裂反応が起きる状態ではなくなり再臨界は起きないようである。ただし、燃料棒からは数年間以上にわたって熱を発生し続けるため、現状の冷却作業を止めることはできない。
当初の工程表では、1号機、圧力容器内の燃料棒を冷やすため、圧力容器を覆っている格納容器に水を満たして冷やす、いわゆる水棺(NHKなどのマスコミは当初水棺と読んでいたが途中から冠水方式と名称を変更。政府の圧力か?)方式を示し、その準備をしていた。
しかし、1号機の状況がしだいに明らかになるにつれ、圧力容器、格納容器ともに孔が開き、そこから冷却水が地下室へ漏れ出していることが判明したため、水棺方式を断念した。
現在、1号機へは水を注入し続けているため圧力容器内のメルトダウンした燃料棒は一応の安定した状態で維持できており、今後も冷やし続ければこれ以上の状況の悪化は避けることができる。
しかし、水の注入により高濃度の放射能汚染水が毎日着実に増え続けている。対策として地下室に溜まった汚染水を放射能除去装置により放射能を低減(除染)させ、その汚染水を再度圧力容器の冷却水として再使用することにより、新たな追加水の補給をやめることができる。
1号機ではこの方法を実施するための作業に取り掛かっており、2,3号機でも同様な方法をおこなうべく段取りが行われている。
2) 2号機
2号機は1~4号機と並んで立っている建屋の中で、唯一1m厚さのコンクリートの外壁がそのまま残っている。しかし、2号機の海側の壁面(横5m×縦5m)の壁面の1箇所が破損し、そこから常時水蒸気が拡散している。
2号機には1ヶ月ほど前にロボットが入り建屋内の調査が行われた結果、40℃の高温と100%近い湿度のため、人が入るのは難しいとのことであった。
5月18日、初めて2号機の原子炉建屋内に作業員が入り、内部の放射線量や温度などを測定した。室内の放射能レベルは10~50mSv/時とそれほど高くないが、温度は40℃程度で湿度が高いため、作業員のめがねがくもり、かつ防護服を着たままでは高温のため、長時間居ることさえ難しい状況であった。
調査により、建屋内の高温、高い湿度は使用済み燃料棒プールから発生している水蒸気が原因であることがわかったため、最初に燃料棒プールの水を新規に設置する熱交換器により冷やし燃料棒プールを安定化させることとした。
現在、熱交換器の設置が行われており、5月中に完了すれば、現在の燃料棒プール内の水温70~80℃が1ヶ月後には41℃で安定する見込みである。
燃料棒プールからの水蒸気の発生が止まれば、原子炉建屋内で各種復旧作業を行うことが可能となる。
復旧工事は1号機と同様に圧力容器、格納容器を冷やすこととなる。
しかし、2号機は格納容器下部のサプレッションプールが水素爆発により損傷しているため、破損箇所を修理するのは難しく、結局、1号機と同様に地下室に溜まった汚染水を放射能除去装置により浄化した後、圧力容器への冷却水として循環使用する方法を採用することとした。
3)3 号機
今回事故が発生した施設の中で、5月半ば頃まで一番危険な状態にあったのは3号機である。
3号機が水素爆発した時の衝撃と黒煙の昇り具合は、1号機とは比べものにならないほど強烈で、爆発時には原子炉建屋の5倍ほどまで黒煙が垂直に上昇した。
ユーチューブに公開されているドイツ放送局における放映映像を参照。
日本では政府の報道規制のせいかどうか不明であるが、3号機が水素爆破した時の映像は再放映されていない。
(2013年2月7日追記)
3号機の水素爆発のテレビ放送は事故当日を除いて長い間、放送規制により封印されていたが、最近になり、原発事故を振り返る番組で映像を流していた。
(2001年9月11日、アメリカ同時多発テロの一環としてNY、世界貿易センタービルへ突入した2機のジェット機の映像は、事件発生当時は何度も繰り返し放送されたが、その後、表向きは被害者のフラッシュバック、同様なテロの再発防止などのために再放映禁止となっている)
水素爆発により建屋上部のコンクリート壁はまったく陰も形もなくなり、鉄骨の一部が無残にへし曲がって残っており、一部は施設外へ吹き飛ばされた。
5月21日には3号機建屋の近傍で、水素爆発により飛散した1,000mSv/時を越える放射能を発生しているガレキが見つかり、撤去作業を行っている。
3号機は、4月下旬から圧力容器内の温度が徐々に上昇し5月15日には運転温度302℃を超え330℃となった。毎日冷却水を注入し、その量を増やしているにも係わらず温度が上昇しているのは、冷却水がうまく圧力容器内に入っていないと想定されたため、注水量を12t/時から15t/時と増やしたら圧力容器内の上部の温度は200℃と低下した。
一応圧力容器内の温度上昇は止まったが、安定的に冷却水を注入するため新たに圧力容器へつながっている冷却水注入用の配管から冷却水を注入するように対応中である。
3号機内の圧力容器内の情況について、5月23日になり、東電は1号機と同様にメルトダウンしており燃料棒は圧力容器の下部に溜まっていると発表した。メルトダウンのいかんに係わらず、今後、熱交換器を設置し冷却をこのまま継続できれば安定的に冷却できそうである。
懸念されるのは、3号機では普通のウラン燃料と混ぜてプルトニウムを5%程混入したMOX燃料を使っているため、万一、再臨界、水素爆発などで圧力容器が破損すると、プルトニウムが拡散し人体へ危険が及ぶ可能性がある。
5月10日、3号機の使用済み燃料棒プールの画像が公開された。燃料棒の上には水素爆発時の残骸が若干積もっているが水で満たされ冷却ができているのがわかった。
3号機燃料棒プールの冷却については2号機と同様に外部に熱交換器を設置し安定的に冷却することで対応中である。
4) 4号機
3月15日、4号機で爆発があり、東電、政府は事故後に火災が発生し原因は不明としていた。5月15日になり東電は4号機の爆発の原因は3号機の水素爆発を避けるために行った施設内の空気を煙突へ通して排除する作業を行った結果、3,4号機の配管がつながっているため、3号機から一部の水素ガスが煙突へ流れずに4号機の建屋内に流れ、その結果、4号機において水素爆発が起こったと結論づけた。
4月30日、4号機の使用済み燃料棒プールの画像が公開された。燃料棒プールの状況は3号機と比較するとガレキはほとんどなく、燃料棒が水中に整然と並んでおり問題なさそうである。
しかし、画像では見ることができない燃料棒プールを支える柱や壁は相当損傷している模様で、今後、地震、爆発などにより一気に燃料棒プールが崩壊し貯留している水がなくなると、使用済み燃料棒が加熱、再臨界して危険な状況となりうる可能性がある。
特に4号機の使用済み燃料棒の本数は1,524本と多い上に、使用途上の燃料棒も点検のため、燃料棒プールで冷やしている情況のため、万一の事態があれば大変危険である。
3. 原発情報の伝達
1) 大本営発表はいつまで続く
事故後2ヶ月が経過し、震災当初の状況、現在の原子炉その他の状況がやっと明らかとなってきたが、新たな情報はいずれも、いままで断片的に発表されてきた内容より、はるかに悪い状況が続いてきたことを示していた。
東電、保安院、設計&維持管理を行っている下請け業者や最新の生のデータを随時入手できる立場にあった学者などは、事故発生当初からメルトダウンを含む事故の状況を知っていたため、それなりの見解、対応方法を知っていたはずである。なぜ、本当のことを知りうる立場にいたこれらの関係者は国民に迅速に本当のことを発表しないのだろうか?
それ以外の東電、保安院、政府から発表される情況やデータから、メルトダウンしているのでは?4号機は火災ではなく水素爆発、3号機はMOXなので一番危ない、災害のレベルが7は一部のマスコミ、御用学者以外の専門家などからネット上のブログや2ちゃんねるの書き込みは記載され話題となってきた。
このように、国民は断片的な大本営発表から類推しほぼ実際の情況を把握していた。
政府は結局、事態が落ち着き、国民もなんとなく原発事故慣れしてたいしたことには驚かなくなった頃を見計らったかのように、5月16日に第1号機の炉心は事故発生後数時間後にはメルトダウンしていたと述べ始めた
情報ツールが少なく、国民が各種情報を入手できる機会が限られていたり、国民の情報に関した知識が少ない、理解できない場合には、国民の混乱を避ける意味で情報をすべて流さないことは必要かもしれないが、今の時代、知りたい情報はいかようにでも入手でき、かつ調べれば情報の裏をとったり、わからないことを調べることできる。その上、国民の半数が大学へ進学するほど高学歴で高等教育を受けているため、自分で情報を入手し、調べることができる能力を持っている。
いつまでも、政治家や中央官庁の役人だけが何でも知っているので国民はそのとおり従えば良いとの考えは通用しない。
情報は極力、迅速に公開し、その上で東電、政府が行おうとしている事故対策、放射能からの避難対策、放射能汚染の暫定規制値などは非常事態なので止む無く行っている。そのため、対象者はいつ頃までに避難して欲しい、野菜などの摂取は避けるようにと指示すればよいのに・・・
政府が明確な理由も伝えずに、「放射能は直ちに健康に害を与えないが避難して欲しい」「暫定基準値を超えたので出荷禁止」などでは、国民は混乱するばかりである。
昔の自民党政権と同じように、政治家が決めたことに国民は黙って従えば良いとの手法が民主党政権となっても、いまだに続いている。
一時代前の政治家は、本人よりも国家のために尽くしてきたようであるが、今の政治家は、国民のために議員になったというより、議員になり権力、名誉、金がころがりこんでくる親の後姿を見続けてきた二世議員ばかりである。世襲議員には知力、意欲がないのが当たり前で、念頭にあるのは次の選挙で自分が当選することばかりに腐心しており、なさけない。
2) 原発事故の原因究明と今後の原発行政
a) 事故の原因究明
現在マスコミの報道、国会では、地震発生後の1号機の運転操作について、海水の注入が再臨界を起こす可能性があるとことで海水の注入が50分間中断した、水素爆発を避けるためのベントを開く操作が東電の手順書どおり行われていなかった、東電菅首相の原発視察が急遽決まったのでベント操作が遅れた等、重大事故の原因究明が始まった。
事実を明確にして、今後の原子炉の設計、運転、維持管理、非常事態の対応など今後の全世界の原発の計画、建設、運転に対し更なる安全対策になるべく、調査、分析して欲しいものである。
原発の事故調査・検証委員会の委員長に「失敗学」の畑村氏が就任したことにより、第三者的な技術者の目から事故が検証できるため喜ばしい。
(2013年2月7日追記)
★畑中洋太郎 失敗学の法則 文春文庫 467円
「失敗学の法則」は2005年6月10日に発行され、P.230に「内閣府に設置されている原子力安全委員会、経済産業省にある原子力安全・保安院でも、失敗について真剣に取り組みがおこなわれるようになりました。・・・」と失敗学を勉強し、実践したと書かれています。
それにも係わらず、原発事故の発生は、その当事者である原子力安全委員会、保安院の名前だけのトップ、形骸化した組織体系、担当者の無能ぶりを世間にさらけ出した。彼らは失敗学を単に知識として習得し、格好だけの対応をしていただけでした。
どのような素晴らしい考え、やり方であっても、それの本質や使い方を知らないと猫に小判。
b) 今後の原子力発電の進め方
原発事故は従来の原子力の施設、放射能被曝などの法律、規制、組織を根本から立て直す良い機会となった。
原発事故の1ヶ月ほど前に原発に関する日本独自の安全規制を世界標準に変えようとの論説が掲載された。
3) 原発事故の責任
日本の役所や会社ではトラブルが発生した祭、大半が責任をあいまいにして誰も責任をとらないのが普通である。世論の目があり止むを得ない場合にのみ、一人だけに責任をおしつけることにより、既存の組織、仲間の温存を図るのが慣例となっている。
なあなあで対応する日本社会の縮図であるが、もはや狭い日本社会の習慣を維持し続けていては国際社会において生き残れないことを身にしみ始めた日本人にとって、責任の所在を明確にしきちんとした対処を行うことが必要であろう。
原発事故に関しては、日本のみならず世界の人々が大きな関心を持ってニュースなどを見ているため、全体責任で誰も責任をとらない、あるいは、とかげのシッポ切りは許されない。最低でも東電、保安院、原子力安全委員会のトップや本件に関係した部門の上層部はそっくり入れ替えるべきであろう。
責任者の筆頭として病気を理由に逃げ回った東電の清水社長が辞任するのは当然である。同様に辞任する東電の武藤副社長は重要な会見時に説明していたが、なんでこのようなおじいちゃんが技術系の副社長と感じた国民は多かっただろう。
また、保安院の西山審議官は連日テレビに顔を出し続けたが、東電からの情報をそのまま流すだけで的確な受け答えができずいらいらの連続であった。
あまり顔を出さないが保安院トップの寺坂院長と技術の総責任者の西山審議官はお引取り願うのが筋であろう。
今回事故の最大の責任者は原発事故に対し最も重要な位置と権限を持っている内閣府、原子力安全委員会の斑目(まだらめ)委員長である。
事故が発生するとすぐに陣頭指揮をとり事態の早期解決のため東電、保安院を指揮して対応しなくてはいけないのに、事故当初からまったく存在があることすら忘れられたようにダンマリを決め込んでいた。
斑目委員長のなさけない対応は事故当初からしばしば見受けられた。1号機への海水注入は再臨界の恐れありと言った、言わない、放射能で汚染された水の対応はわからないなど、まったくもって原子力技術の最高峰の椅子に座るものとして、本当にこの人は原子力のことを知っているのと疑うばかりである。
形骸化した組織を作り、ボケたような年寄りを任命した自民党政権及びそのまま維持し続けてきた民主党政権、いずれも大きな責任がある。
菅総理も当初は国民に対して直接伝えることを避け続け、落ち着いた頃になってやっとメッセージを発表したが、国民への対話力の不足、大臣、官僚をうまく使いこなしきれなかったなどで相当不満がある。
その中で、いつも「直ちに健康に影響はない」といい続けた枝野官房長官は事故発生直後から、東電の受け売りながらも自分で技術的な内容を理解し、あとで問題とならないように言葉を選んで説明や記者会見に臨んでいた。説明内容は政治家ならそのように発言するより仕方がないかもと思われる言葉で説明を繰り返しており、さすが弁護士上がりの官房長官と評価される。
原発事故当初から1ヶ月間は記者会見をしない、姿をあまり見せない菅総理、菅政権というより枝野政権のような様相を呈していた。
(2013年2月7日追加)追加分の開始
今回の原発事故の責任は、政治家のみならず、必要かつ的確な科学的判断、基準の出さなかった/出せなかった科学者、技術者にもある。彼らの無作為、黙って事態を見過ごしてきた体質を根本から変えなければならない。
科学者、技術者が政治家、官僚、企業家の御用学者として仕えてきた悪しき習慣を正していかないと、国民に信頼されなくなる。
その前に、今回事故の原因究明を行い、その上で東電、原子力安全委員会、保安院、政治家、関係する委員会、諮問会、計画書などに関与した科学、技術者の責任追及をおろそかにしてはいけない。
日本的な、誰もが複雑に関係しているので、結局、全体責任とされ誰も処罰されない事態はとるべきではない。
不祥事が起こるといつものごとく、
① 道義的責任=何も責任をとったことにならない
② 責任は現在のトップや担当者だけの責任=本当に責任があるのは計画、建設当時の政治家、官僚、企業のトップやや担当者
原発事故の原因究明、責任追及を徹底的に行い、きちんとした処罰を行うことが日本人に与えられた責務である。
世界中が、原発事故の責任を日本政府がどのように対処するのかを見守っており、日本基準でない世界が納得できる厳正な処罰が求められている。
末尾に載せている参考資料は、著作権の関係でネット上に公開できないが、読むことが可能ならぜひ読んでほしい。
(2013年2月7日追加)追加分の終わり
4. 原発の外部電源喪失(事故発生の最大要因)
1) 外部電源は地震で喪失
福島第一原発は、3月11日に発生した東日本大地震直後の津波により外部電源がすべて失われた結果、緊急冷却装置が使用不能となり大惨事となったと報道されてきた。
しかし、実際は原発へ外部電源を供給している鉄塔が地震で倒壊、すべての外部電源が使えなくなった。すぐに1号機の非常用電源が稼動したが、津波が非常用電源を押し流し使用不能となり今回の事態を招いた。
この事実は衆議院、経済産業委員会において共産党の追求の結果判明したものであるが、マスコミはこの件を一切報道してなく、ネット上に小さくこの件が掲載されただけである。
もし、今回の地震(原発設置場所で震度6強)により、原発へ外部電源を供給している鉄塔が倒壊していなければ、事故は起きなかった可能性が高い。ただし、地震に伴いこの地域全体に停電が発生したため、まったく事故が発生しなかったかどうかは不明であるが、現在のような最悪の事態はなかったであろう。
従来、東電や政府が言い続けてきた「原発は地震には耐えたが未曾有の津波により大災害を招いた」との見解に疑問を投げかける事態である。
今後、外部電源喪失の状況を明らかにし、今後の原発建設、運転に反映させることが必要となろうが、闇に葬られる可能性が高い。
2) 非常用電源の確保
原発事故後、全国の原発において非常用電源設備が適切に設置されているかのチェックが行われた。しかし、いずれの原発でも、備えている非常用電源の容量は中央操作室内の計器用電力を維持できる数百kW程度の小容量でかつ短時間分しかなかった。今回の事故のように同時に何基もの原発への外部電源の供給が途絶えると、同様な大災害が発生することが予想される。
原発は外部電源の供給が途絶えないことが第一であるが、万一の場合に備え、最低でも圧力容器内と使用済み燃料棒プールの冷却水を循環するための1,000kW以上の電気容量を持つ非常用電源設備が必要となる。更に地震や津波対策として、非常用電源装置を安全な場所に設置する、移動車両とすることが求められている。
3) 自然、人的災害のリスクと費用
原発事故をきっかけに、今後の災害にどのように対応するかが問われている。
地震、津波、台風、竜巻、豪雨、洪水、雷、火事などの自然、人的災害のリスクをどの程度想定し、費用対効果、費用対安全の割合をどの程度見込むかは今後の重要な課題となっている。
人間は物事を行う場合、費用と効果を秤りにかけ行動してきた。
国も国民も限られた資金の中で物事を行わざるを得ず、やはり、どの程度のリスクまで許容するか、どの程度までお金を費やすかの判断が求められる。
その上、ふところ具合と物事の優先度も勘案せねばならないため、最終的にはトップや当事者の判断により決めざるを得ない。これらに対し、関係者は総論賛成、各論反対が世の常である。
4) 大震災の教訓と今後の対応
今回の大震災の教訓として、
① 災害に対し絶対安全なものはないことを再認識させられた。
② 災害のリスク(発生場所、頻度、大きさなど)に対して、想定外の災害が発生した場合には、従来の対策(建屋の強度、防波堤の高さなど)だけでは防げない。
③ 想定外の災害が発生した際の対応法を準備しておくことにより被害を少なくできる。
日本では、災害に対しハード(建物の強度を増す、防波堤を強く、高くするなど)により災害を食い止めようとしてきた。海外では災害は起こりうるものとして、避難対策などソフトの対応方法も同時に準備していた。
10年程度の頻度で発生する小、中規模の災害ならハードの対策で十分対応可能であるが、百年に1回程度発生するような想定外の大災害にはハードだけでは対応できない。想定外の災害発生時の情報伝達、災害の及ぶ範囲の予想、避難方法、避難場所などソフト面での対応方法を準備しておくことが必要であろう。
何事も、想定外の非常事態が有りうるとの事で心構えをし、物品の準備、避難場所を知っておくだけでも、いざという時に役立つ。
心構えと事前の準備があれば、実際の災害発生時にはパニックにならずに冷静に行動でき、被害を最小限に抑えることができる。
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌などの出典元、年月日、タイトルを載せる。
1.原発の情況
★日本経済新聞 2011年4月25日 福島第一原発の圧力容器 専門家の見方
「再臨界の可能性低く」
溶融燃料、冷えて砂状に
3.原発情報の伝達
★日本経済新聞 2011年4月17日 中外時評 鏡に映ったニッポン
外国だけが情報不足なのか
★日本経済新聞 2011年5月4日 新しい日本へ 第1部 危機からの再出発
「知らせない」が不信増幅
情報共有こそ社会の強さ
★読売新聞 2011年4月16日 「考えたくない事態」想定せよ 畑村洋太郎
★日本経済新聞 2011年5月14日 原発事故究明は独立機関で
★読売新聞 2011年2月13日 中外時評 原子力もガラパゴス
安全規制を世界標準に
★日本経済新聞 2011年5月9日 核心 国策民営でゆがむ安全
原発の法規制見直しの時
その他、原子力に係わる科学者の対応、原子力関係者の責任などを紹介する。
日本経済新聞、2011年4月8日の「編集長が迫る」に登場した元原子力安全委員長、松浦詳次郎氏の原発開発者の責任は、引退して何でも自由に言える立場となった第三者的な意見であり、当事者なら絶対にこのようなことは言わなかっただろう。
引退しても、その当時の責任は決してなくなるわけではない。
★日本経済新聞 2011年5月9日 核心 国策民営でゆがむ安全
原発の法規制見直しの時
★日本経済新聞 2011年4月8日 編集委員が迫る
崩壊した安全神話
原発開発世代の責任
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- 2013年02月07日 13:53 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
-
-
2011年5月13日
原発情報 (5)
福島第一原子力発電所の事故について
その5、放射線被曝のリスク
第1種放射線取扱主任者
要旨
1. 原発事故で拡散した放射性物質 * 福島第一原発の事故により大気、海水中へさまざまな放射性物質が拡散した。 * 検出された放射性物質の種類や放射能の強さなどを調べることにより原子炉圧力容器内で燃料棒が溶融したのか、どの程度破損したのか、核分裂反応の状況などを想定することができる。 2. 核分裂生成物の性状と被曝の影響 1) 良く聞く核分裂生成物(ヨウ素131、セシウム137) 2) 核分裂生成物の性状と被曝の影響 * ヨウ素131、セシウム137は生成されやすく、半減期が短いため検出されやすい。 * 放射性物質の経口摂取と吸入摂取とでは人体への影響が異なる。 3) 計算例 * 暫定基準値を超えたホウレンソウなどが出回ったのは3週間程度で、現在、野菜などの放射線レベルは相当低くなっており食べても人体への影響はほとんどない。 3. 放射線による被曝のリスク 1) 放射線被曝の影響 ① 100mSv/生涯までは健康に影響を与えないが、それを超えると放射線障害が発生する(確定的影響)。 ② 放射線は浴びた分に比例して障害が発生する(確率的影響)が100mSv/生涯以下では影響は明確には確認できない。 2) 放射線による発がんリスク * 100mSv/生涯の被曝による発がんリスクは受動喫煙・野菜不足と同程度。 * 通常の生活をしていれば放射線被曝による発がんの増加を心配すう必要はまったくない。それよりも、喫煙を止め、飲酒を控え、やせすぎ、肥満にならないような体調維持を心がける方がよほどがんの予防になる。 3) 放射線による発ガンリスクの検討 * 放射線を100mSv/生涯を受けた場合、将来がんにかかる確率は0.5%増加する。 4) たばこと放射線のリスクの検証 * 日本では1年間に100万人が死亡し、そのうちガンによる死亡率は30%。 * タバコと食事・肥満がそれぞれガンの原因の30% * タバコ、食事、肥満、自殺は自分の意思で変えることができる。 * 放射線の被曝は不可抗力であるが可能な限り不必要な被曝は避けたい。
4. 福島市内の住民の被曝 1) 福島市の外部被曝量 * 3月13~15日にかけ、原発第1,3号機において水素爆発が発生し大量の放射性物質が飛散したことにより周囲の放射線量が急激に上昇。 2) 福島市の累積放射線量 3) 被曝量の予測 a) 原発事故後1年経過した時の外部累積被曝量 * 1年間の累積放射線量は推定14.7mSv。 b) 内部被曝線量 * 福島市の住民は現時点において外部放射線のみで5mSvを被曝。 * 事故後2ヶ月経過した現在、土壌中のセシウム137による放射能を受けているが、野菜、飲料水、呼吸により体内へ入り込む放射性物質は事故当初と比較すると格段に少なくなっているため、その影響を心配する必要はない。 c) 遠い将来の被曝量 * 室内にいれば外部放射線量は半分程度。 * 大人が今の状態のまま20年程度住み続けると放射線による障害(発ガン率が0.5%増える)が発生するが、乳幼児、子供に対する放射線の障害は大人の数倍~10倍の影響がある。 * 乳幼児、子供、妊娠可能が女性、子供を作る可能性がある男性はリスクを避けるのが望ましい。 4) 福島市より更に放射線量が高い地域 * 福島県内には風向きや地形により放射性物質が降り注ぎやすいホットスポット、浪江町、飯館村などがある。 * 福島市の約5mSvと比較すると5倍以上も高い放射線量となっている。 * これらの地域に1年間住み続けると100mSv/生涯を超えそうで、もはや住民が生活することは難しい。 * これらの地域は現在、20 mSv/年を越えるため避難基準となっている。 * チェルノブイリの避難基準は事故後1年目は100 mSv/年、2年目は50mSv/年、3~4年目は30 mSv/年、5年目に5mSv/年。 * 国際放射線防護委員会(ICRP)の避難地域の勧告値20mSv/年なので、日本政府の避難基準は妥当であろう。 5. 低線量被曝を防ぐための具体策を(福島大学の提言) * 放射線による人体への被曝の影響について、確定的影響と確率的影響の両方を勘案して被曝対策を行うようにとの提言。 * 東電、保安院、政府、その他原発推進関係者の意見(確定的影響)ばかりが正論のようにマスコミなどで取り上げられていることに対する危惧を示している。 |
△ページトップへ戻る 1. 原発事故で拡散した放射性物質
福島第一原発の事故により大気、海水中へさまざまな放射性物質が拡散した。
今回、検出された放射性物質の種類や放射能の強さなどを調べることにより原子炉圧力容器内で燃料棒が溶融したのか、どの程度破損したのか、核分裂反応の状況などを想定することができる。
2. 核分裂生成物の性状と被曝の影響
1) 良く聞く核分裂生成物(ヨウ素131、セシウム137)
圧力容器内のウラン235の核分裂反応により核分裂生成物ができる。その中で良く聞くヨウ素131、セシウム137は核分裂生成物の中で生成される割合が大きいこと(収率が高い。収率は燃料棒の原料や原子炉の条件により異なる)及び半減期が比較的短い(放射性物質の半減期は核種により瞬間的なものから数万年に及ぶものまである)ため単位時間当たりの崩壊数、すなわち放射能が強いので検出されやすい。
このうちヨウ素131は揮発性があり大気中に拡散しやすいため、すぐに周辺地域のみならず全世界へ広がり、検出される。
表1の核分裂反応により生成される放射性物質の種類、性状及び被曝の影響を参照。
2) 核分裂生成物の性状と被曝の影響
放射能に汚染された野菜や飲料水などはベクレル(Bq/kg)で表されているが、それが人体に影響を及ぼす線量のシーベルト(Sv)に換算しないと影響の程度はわからない。
前記の表1は放射性物質の核種(種類)毎のベクレルとシーベルトの換算係数を用い被曝の影響を示したものである。
核種毎のベクレルとシーベルトの換算係数欄の経口摂取とは口から食べ物や水として体内に取り込まれる場合を示し、吸入摂取は口、鼻からの呼吸を通して肺へ取り込まれる場合を示す。経口摂取と吸入摂取とで人体に対する影響が異なる。
換算係数の値は、体内に取り込んだ核種が成人の場合は50年間、子供の場合は摂取して70歳になるまでに内部被曝した積算線量である。体内に摂取した放射性物質は半減期により減少するので、その減少分を考慮している。ただし、生物学的半減期*1) (人体に取り込まれたあと排出や代謝による減少分)は考慮していない。
*1) 放射性物質の半減期には通常使われる物理的半減期の他に人体に取り込まれた場合の生物学的半減期の2つがある。
生物学的半減期は、取り込まれた核種が排泄や代謝により体内から排出される減り方を表す。ヨウ素131は人体にたまりやすく生物学的半減期は140日、しかしセシウムは排出されやすく生物学的半減期は110日である。
表1 核分裂反応により生成される放射性物質の種類、性状及び被曝の影響
核分裂反応で生成される 放射性物質 | 収率 (%) | 半減期 ( )内は 生物学的半減期 | 核種毎のベクレルとシーベルトの換算係数、 | 被曝の影響 |
経口摂取 (Sv/Bq) | 吸入摂取(Sv/Bq) |
ヨウ素131 (I-131) | 2.89 | 8.04日 (140日) | 2.2×10-8 | 7.4×10-9 | ヨウ素は呼吸器により吸収されやすい。人体の甲状腺はわずか20gの重量しかないが摂取したヨウ素の30%を蓄積し成長ホルモンの役割をはたすため、幼児や子供には重要な成分。しかし、甲状腺は普通のヨウ素と放射性ヨウ素の区別がつかないため、放射性ヨウ素を甲状腺に取り込むとそこから放射線を放射し、甲状腺の機能低下や将来甲状腺ガンを発症する。 そのため、原発の事故が起こると、子供などの甲状腺に放射性ヨウ素を蓄積させないよう、事前にヨウ素剤を服用する。 |
セシウム137 (Cs-137) | 6.19 | 30.2年 (110日) | 1.3×10-8 | 3.9×10-8 | セシウム137は全身に分布、特に筋肉に蓄積し強いガンマ線を放射し続けるので危険である。白血病や不妊の原因となる。 |
セシウム134 (Cs-134) | 6.79 | 2.06年 | 1.9×10-8 | 2.0×10-8 | セシウム134は核爆発では生成せず、原子炉内の核分裂反応でのみ生成される。 セシウム134は体内へ摂取すると全身に分布しベータ線を放射し続ける。 |
コバルト60 (Co-60) | - | 5.27年 | 3.4×10-9 | 3.1×10-8 | 原子炉内の配管のサビが放射化して生成される。 肝臓、脾臓、下部消化器に蓄積され肝臓ガンの原因となる コバルト60はガンマ線の一線源として利用されている。また、放射線治療、ジャガイモの発芽防止に利用されている。 |
ストロンチウム90 (St-90) | 5.78 | 28.9年 (50年) | 2.8×10-8 | 1.6×10-7 | 体内においてカルシウムと同様な代謝を行うため骨への蓄積が多い。主に消化管から吸収され骨腫瘍、白血病の原因となる。 ストロンチウム90は分析に3週間程度かかるため、データの入手は遅れる。 |
ウラン238 (U-238) | 未反応分 | 44.7億年 | 4.5×10-8 | 1.1×10-4 | 腎臓、骨、肺に蓄積し骨腫瘍、肺ガン、白血病の原因となる |
プルトニウム239 (Pu-239) | - | 2.41万年 (50年) | 2.5×10-7 | 1.2×10-4 | 吸引摂取すると肺でアルファ線を放射し被曝しつづける。 口から摂取すると骨、肝臓、肺に蓄積し、白血病、骨腫瘍、肝臓ガン、肺ガンの原因となる。 |
a) ヨウ素131
ヨウ素131は半減期が8日と短いため、放射能の強さは8日経過すると1/2、16日で1/4、32日で1/8と急激に弱まり、2ヶ月も経過するとほとんど影響はなくなる。このため、原発事故当初の水素爆発により大気中に拡散したヨウ素131が野菜に付着、水道水に混入して大騒ぎとなった。その後、水素爆発など多量の放射性物質を拡散する事態が起こっていないため、ヨウ素131は急激に消失している。
b) セシウム137
原発事故によりヨウ素131と同程度生成されるセシウム137は、半減期が30年と長いため、拡散し地上に落下すると土壌表面で長年にわたり放射能を放出し続ける。
セシウム137は土壌の表面から1~2cmの深さまで堆積しているため、表土の入れ替えが必要となる。
学校の運動場での表土の取り除き、表土を50cm下方へ埋めることはセシウム137から放射される放射能を9割程度低減する効果がある。
しかし、セシウム137は福島県内全域に降り注いでおり、学校の運動場だけ表土の入れ替えなどを行っても、すぐ横の田畑、山林、道路にはセシウム137が残留しており効果は疑問である。
c) プルトニウム239
プルトニウム239の放射性の毒性が強いのは、吸入摂取時の放射能の強さがヨウ素131の16,000倍も強いことによる。
よって、プルトニウムを含んだ空気を吸引すると大変危険である。
3) 計算例
例として、野菜の暫定基準値であるヨウ素131を2,000Bq/kgのホウレンソウを100g食べた場合の人体への影響は?
これから、ヨウ素131(ヨウ素131の経口摂取での換算係数2.2×10-8Sv/Bq)が含まれたホウレンソウによる一生涯の被曝量は
2,000Bq/kg×0.1kg×0.0000044Sv=0.00=4.4μSv
日本人の被曝限度量*2)は1mSv/年なので、このホウレンソウだけを何回食べると許容限度量になるかを計算すると
1mSv=1,000μSv÷4.4μSv=227回
週に5日、暫定基準値のホウレンソウを食べると1年間の被曝限度を超えるが、あまり現実的ではない。
そのほか、今回はヨウ素131だけのデータで計算したが、この他にセシウム137、その他の放射性物質もホウレンソウには付着しているため、ホウレンソウを摂取するとヨウ素131から算出された被曝量より多い被曝をうけることとなる。
しかし、野菜の暫定基準値を超えたホウレンソウなどが出回ったのは3週間程度で、現在、野菜などの放射線レベルは相当低くなっていると思われるため東京近郊に住んでいる居住者にとって人体への影響はほとんどないといえる。
あとで述べる福島県内に居住する住民は現在でも空間線量が通常の数十倍(5月上旬の福島市の外部放射線線量は1.5μSv/時である。そのほか、今までに拡散されたセシウム137などの放射性物質が土壌に蓄積している。呼吸により放射性物質の吸引や地産地消(地元の農産物を地元で消費する)をし続けると農産物や飲料水からの被曝もあり、被曝量が増え続けるため人体への影響は直ちにでないが、将来影響がでてくる可能性がある。
3. 放射線による被曝のリスク
1) 放射線被曝の影響
放射線による被曝のリスクについては、
★原発情報 (3) 福島第一原発の事故について その3 (放射性物質の規制値)
1.人体に対する放射能の規制値 2)重要な規制値
に示すように、学会や学識者の間では確定的影響と確率的影響の考えが並立している。
① 100mSv /生涯までは健康に影響を与えないが、それを超えると放射線障害が発生する(確定的影響)。
② 放射線は浴びた分に比例して障害が発生する(確率的影響)が100mSv以下では影響は明確には確認できない。
2) 放射線による発がんリスク
国立がんセンターから、放射線による発ガンリスクと喫煙、飲酒、肥満、運動不足などと比較したデータが発表された(表2)。
この内容から、日本人が一生涯にあびる放射線量、100mSv程度による発がんのリスクは野菜不足、受動喫煙(たばこを吸う人の煙を間接的に吸い込むこと)による発がんのリスクと変わらない。
通常の生活をしていれば放射線被曝による発がんの増加を心配すう必要はまったくない。それよりも、喫煙を止め、飲酒を控え、やせすぎ、肥満にならないような体調維持を心がける方がよほどがんの予防になる。
表2 放射線被曝量、生活習慣によるがんになるリスク倍率
放射線の被曝 (mSv) | 生活習慣 | がんになる リスク倍率 |
1,000~2,000 | | 1.8 |
| 喫煙 | 1.6 |
| 毎日3合以上の飲酒 | 1.6 |
500~1,000 | | 1.4 |
| 毎日2合以上の飲酒 | 1.4 |
| やせすぎ BMI:19以下 | 1.29 |
| 肥満 BMI:30以上 | 1.22 |
| 運動不足 | 1.17 |
200~500 | | 1.19 |
| 高塩分食品の取りすぎ | 1.13 |
100~200 | | 1.08 |
| 野菜不足 | 1.06 |
| 受動喫煙(非喫煙女性) | 1.03 |
(発行元のサイトは削除されているが、グーグルで検索すると読むことができる)
3) 放射線による発ガンリスクの検討
上記の添付記事以外にも、良く引き合いにだされるのが確率的影響を示す事例の
「放射線を100mSV/生涯を受けた場合、将来がんにかかる確率は0.5%増加する」
がある。
放射線の確率的影響は受けた放射線量に比例するものとしているためガンにかかる確率は
100mSv/生涯 :0.5%増加
200mSv/生涯:1.0%増加
1,000mSv/生涯:5.0%増加
となる。
4) たばこと放射線のリスクの検証
原発関係者はたばこと放射線のリスクについて以下のような説明をしている。
たばこが原因でガンにかかり死亡する割合が30%あるため、放射線を100mSv/生涯受けた程度では死亡率がわずかに0.5%増え30.5%となるだけなので、放射線の影響はたいしたことはなく、タバコを止めたほうが効果的であると結論づけている。
この内容について検証してみる。
図1に日本人の死因別死亡者数を示す。日本では1年間に100万人が死亡しており、そのうちガン(悪性新生物)による死亡する割合は30%となっている。
図1 死因別死亡者数の割合
次に、ガンによる死亡する原因とその割合を図2に示す。古いデータしか入手できなかったが、タバコと食事・肥満がそれぞれガンの原因の30%を占めている。
図2 ガンの発生原因
このデータを日本の1年間の死亡者数100万人に当てはめると
1年間の総死亡者数:1,000,000人
ガンで死亡した割合:30%
ガンで死亡した人員の中でタバコに起因する割合:30%
1年間にガンで死亡した人数:1,000,000人×30%÷100=300,000人
1年間にタバコに起因しガンで死亡した人数=300,000人×30%÷100=90,000人
日本人全員が100mSv/生涯の放射線を受けた場合にガンで死亡する割合:
確率的影響から0.5%(200人に1人)
放射線の被曝によりガンで毎年死亡する人数:1,000,000人×0.5%÷100=5,000人
100万人の死亡者のうち確率的に運の悪い5,000人が放射線を100mSv/生涯受けたことにより死亡する。この数を多いとみなすか、たいしたことはないと考えるかは各自の判断による。
現在、日本では1年間に交通事故による死亡者は5,000人/年、自殺による死亡者は30,000人/年である。
タバコ、食事、肥満、自殺は自分の意思で変えることができる。
しかし、原発事故により、浴びる必要がない100mSvの放射線を被曝しガンにより毎年5,000名が死亡する(原発事故により日本国民全員が100mSvを被曝すると仮定する)が、原発事故がなければ死亡することはなかったはずなので可能な限り不必要な被曝は避けたい。
4. 福島市内の住民の被曝
1) 福島市の外部被曝量
原発事故後、福島市で測定した外部放射線量の数値から事故後2ヶ月経過した5月11日時点の累積被曝量を計算する。
3月13~15日にかけて原発第1,3号機において水素爆発が発生し大量の放射性物質が飛散したため周囲の放射線量が急激に上昇した。
図3に3月10日~4月24日の期間の福島市その他の地域での外部放射線量を示す。福島市(青色の線)において3月15日に放射線量として24μSv/時が測定されたが、その後原発において大きな事故の発生がなかったことから4月24日には放射線量は1.69μSv/時へ下がった。
それ以降も放射線量は徐々に減少し5月11日現在、放射線量は1.55μSv/時となった。この数週間はこの水準のまま推移している。
図3 福島県内の外部放射線量(3月10日~4月24日) 青色:福島市、赤色:郡山市
2) 福島市の累積放射線量
福島市で測定された外部放射線量は1時間当たりの数値なので、それを累積した放射線量のデータを図4に示す。
図4から4月24日時点の累積放射線量は3,900μSv=3.9mSvとなっている。
図4 福島県内の累積外部放射線量 (3月10日~4月24日)
青色:福島市、赤色:郡山市
3) 被曝量の予測
a) 原発事故後1年経過した時の外部累積被曝量
原発において今後、新たに水素爆発などが発生しないと仮定した場合、事故発生後1年間の累積放射線量を推定する。
将来予測に当たり、放射性物質のうち半減期が8日と短いヨウ素131はほとんど消滅し、現在残存している放射性物質は半減期30年のセシウム137が大半だと想定される。セシウム137は1年経過してだけではほとんど消滅しない。
よって、外部放射線量は現在のまま推移するものとする
事故後4月24日までの累積放射線量:3.9mSv
今後10ヶ月の累積放射線量:
1.5μSv/時×24時間/日×10ヵ月×30日/月=10,800μSv=10.8mSv
合計の累積放射線量:3.9 mSv+10.8mSv=14.7mSv
b) 内部被曝線量
今回の原発事故により、福島市の住民は現時点において外部放射線のみで5mSvを被爆した。
そのほか、事故発生直後から2週間程度は飛散した放射性物質が付着した野菜や含まれた飲料水の摂取、放射性物質を呼吸により体内に取り込んで内部被曝をしている。
その期間、野菜、飲料水、呼吸により外部放射線の2~3倍の内部被曝をしていた。
しかし、事故後2ヶ月経過した現在、土壌中のセシウム137による放射能を受けているが、野菜、飲料水、呼吸により体内へ入り込む放射性物質は事故当初と比較すると格段に少なくなっているため、その影響を心配する必要はない。
c) 遠い将来の被曝量
福島市では事故発生後1年後の累積放射線量として14.7mSvとなった。
1年経過後もすぐには土壌中のセシウム137のような半減期の長い放射性物質はなくならないためその後も余分な放射線を受けながら生活することとなる。
2年目以降は1.3μSv/時の外部放射線を受けると仮定すると、1年間で受ける放射線量は
1.3μSv/時×24時間/日×365日/年=11,400μSv/年=11.4mSv/年
1年間に11.4mSv/年なので放射線被曝の影響があらわれる100mSv/生涯を越えるのは
100mSv/生涯÷11.4mSv/年=8.7年
だいたい、8年以上、福島市内で生活すると限度を超える。
ただし、上記の前提は、屋外に1日中いた場合なので、室内にいれば外部放射線量は半分程度となるため、20年程度福島市内に住むと限度越えとなろう。
この想定から、少なくとも、大人が今の状態のまま20年程度住み続けると放射線による障害(発ガン率が0.5%増える)が発生するが、乳幼児、子供に対する放射線の障害は大人の数倍~10倍の影響があると情報もある。
このため、乳幼児、子供、妊娠可能が女性、子供を作る可能性がある男性はリスクを避けるのが望ましい。
4) 福島市より更に放射線量が高い地域
放射線量の将来予測は福島市のデータをもとに行ったが、福島県内には風向きや地形により放射性物質が降り注ぎやすいホットスポットがある。それに該当する浪江(なみえ)町では累積放射線量が27.4mSv、飯館(いいたて)村で15.6mSv(いずれも3月23日から5月11日までのデータ)となっており、福島市の約5mSvと比較すると5倍以上も高い放射線量となっている。
これらの地域に1年間住み続けると100mSv/生涯を超えそうであり、もはや住民が生活することは難しい。
これらの地域は現在、20mSv/年を越えるため避難基準となっているが、放射線は急には下がらないため、避難住民が地元へ戻るのはいつになるやら・・・
日本の避難基準20mSv/年はチェルノブイリの避難基準5mSv/年の4倍。
(2013年2月6日追加)
チェルノブイリの避難基準は事故後1年目は100 mSv/年、2年目は50mSv/年、3~4年目は30mSv/年、5年目に5mSv/年とした。
国際放射線防護委員会(ICRP)の避難地域の勧告値20mSv/年なので、日本政府の避難基準は妥当であろう。
5. 低線量被曝を防ぐための具体策を(福島大学の提言)
5月11日福島大学の教員らが提言を行った。
放射線による人体への被曝の影響について、確定的影響と確率的影響の両方を勘案して被曝対策を行うようにとのことである。
まさに、東電、保安院、政府、その他原発推進関係者の意見(確定的影響)ばかりが正論のようにマスコミなどで取り上げられていることに対する危惧を示している。
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌などの出典元、年月日、タイトルを載せる。
2.核分裂生成物の性状と被曝の影響
★日本経済新聞 2011年4月24日 ナゾ謎かがく
放射性物質の「半減期」って?
生体内外で違い、不明点多く
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- 2013年02月07日 00:08 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
-
-
2011年5月7日
原発情報 (4)
福島第一原子力発電所の事故について
その4、放射線による被曝
第1種放射線取扱主任者
要旨
1 . 原発事故により被曝量が増えた * 今回の原発事故により、原発周辺や関東地域の住民は事故に起因して外部放射線のみならず、呼吸や食物摂取により放射線を受ける量(被曝量)が増加した。 2. 人間が受ける放射線の被曝量 1) 被曝量の内訳 * 放射線には自然放射線と人工放射線の2種類。 * 放射線の被曝の仕方には、身体の外部から受ける外部被曝と身体の中に放射性物質を取り込み体内で被曝する内部被曝の2つ。 2) 日本及び世界の人間が受ける被曝量 * 日本人が受ける自然放射線の被曝量は1.48mSv/年と世界平均の2.40mSv/年より少ない。 * 日本人が受ける全体の放射線被曝量は、医療用が2.25mSv/年と世界平均より4倍も多いため3.75mSv/年。 3. 医療被曝 1) 医療被曝の種類 * 医療用放射線被曝は病気予防のための検査用被曝と治療用被曝の2つ。 2) 検査被曝の実情 * 世界保健機構(WTO)から“日本人は被曝好き”といわれている。 a) 歯科検査時の被曝 * 歯科検査時のX線被曝量は歯科用CTを除き被曝を恐れることはない。 b) 乳がんのマンモグラフィー検査時の被曝 * 乳がん検査の際、マンモグラフィー検査を受けると0.05~0.15 mSv/回のX線被曝。
(参考)放射線被曝量の比較 * 医療分野ではX線の被曝を少しでも低減することに最大限の配慮。 * 今回事故に対する政府の報道は恣意的な内容、安全軽視の姿勢のため理解し難い。
3) 医療被曝の原則 * 放射線は利益と危険の二面性を持っており患者が医療被曝を受ける場合、被曝を受ける患者にとってプラスにならなければならないとの大原則がある。 * 医療被曝の3原則は正当化、最適化、線量限度。 4) 医療被曝の低減 * 医療検査時のわずかな被曝であっても、放射線を受けることによりガンにかかる可能性が増えるため、不必要なX線検査は避けることが望ましい。 a)アメリカ、日本の実情 * アメリカでは、医療用放射線による人体への影響を重要視しており、効果対リスクを勘案してX線検査を行っている。 * 日本では、あまりにも安易に健康診断の名目でX線検査が続けられてきた。 b)日本でのX線被曝低減策 * 日本ではX線被曝低減のため、法律改正により2010年4月から胸部X線検査の対象者が限定された。 |
△ページトップへ戻る 1. 原発事故により被曝量が増えた
人間は日々、放射線を受けて生活している。
今回の原発事故により、原発周辺や関東地域の住民は事故に起因して空間線量(外部放射線)のみならず、呼吸や食物摂取により放射線を受ける量(被曝量)が増加した。
事故により人間が新たに受ける放射線量は、従来から受けてきた放射線量と比較してどの程度かを知ると、政府の放射線被曝に対する安全との説明、マスコミの報道が真実か?本当のことを伝えているのか?一部を隠しているのでは?などへの判断材料となる。
2. 人間が受ける放射線の被曝量
1) 被曝量の内訳
表1、2に人間が1年間に受ける放射線の被曝量を示す。
a) 放射線には自然放射線と人工放射線の2種類がある。
前者の自然放射線は人間が日々生活しているうちに自然界などから受けるもの、後者の人工放射線は健康診断時の医療放射線、核実験(フォールアウト)、原発事故などにより人工的に発生させた放射線を受けるものである。
b) 放射線の被曝の仕方には、身体の外部から受ける外部被曝と身体の中に放射性物質を取り込み体内で被曝する内部被曝の2つがある。
自然放射線の中の、呼吸と食物摂取以外は外部被曝である。
2) 日本及び世界の人間が受ける被曝量
表1、2から日本人が受ける自然放射線の被曝量は1.48mSv/年と世界平均の2.40mSv/年より少ない。しかし、日本人が受ける人工放射線を含めた全体としての放射線被曝量は、医療用が2.25mSv/年と世界平均より4倍も多いため3.75mSv/年となっている。
この結果、日本では世界と比較すると人工放射線と自然放射線との比率が逆転しており、医療分野で受ける放射線の低減が求められている。
表1 自然、人工放射線により1年間に人体が受ける被曝量 mSv/年
被曝の要因 | 日本*1) | 世界*2) | 補足説明 |
自然放射線 | 宇宙放射線 | 0.29 | 0.39 | 宇宙から地球に降り注ぐ放射線。 海面から高い、緯度が高いと大きい。 |
大地放射線 | 0.38 | 0.48 | 地質の中に含まれている天然放射性物質による。土壌と建物の材質に依存する。地域により10mSv/年の地域もある*3)。 |
呼吸 | 0.40 | 1.26 | ウラン、トリウム系列の放射線を日々呼吸する時に被曝。大半は屋内のラドンとその娘核種の濃度に依存する。 |
食物摂取 | 0.41 | 0.29 | カリウム40(K40)、ウラン、トリウム系列の放射線を食品、水を摂取することにより被曝。 |
小計 | 1.48 | 2.40 | |
人工放射線 | 医療被曝 | 2.25 | 0.60 | 放射線を使った医療検査(治療を除く)は方法、回数により異なる。 |
核実験*4) | 0.012 | 0.005 | 最高値は1963年の0.11mSv/年。 |
職業被曝 | 0.001 | 0.005 | |
原発 | 0.0000086 | 0.0002 | |
チェルノブイリ事故*5) | - | 0.002 | 最高値は北半球で1986年の0.04mSv/年 |
放射能を含む製品 | 0.00005 | - | 夜行時計、自動ドアのセンサー、カメラのレンズなどに含まれる。 |
航空機利用 | 0.0046 | - | |
小計 | 2.27 | 0.60 | |
合 計 | 3.75 | 3.00 | |
*3) 大地の自然放射線が強い地域として毎回取り上げられるのはブラジル南海岸のガラパリ地域である。この地域では放射性物質のウラン、トリウムが含まれたモナザイト岩石地帯のため住民は10m Sv/年の被曝を受けている。 いずれの地域とも、住民に明らかな健康被害は発生していない。
*4) 1945~2005年における核実験による世界中の一人当たりの実効線量推定値から1/20以下に減少している。図1を参照
UNSCEAR2008年報告書Vol.1総会への報告第Ⅱ図から引用
*5) 1986年に発生したチェルノブイリ原発事故では30万人以上の事故復旧作業者は平均150mSvの線量、35万人以上のその他の個人は10mSv以上を被曝した。
{参考} 世界と日本の放射線の被曝量を円グラフ化したものを図2に示す。
前記した表1と若干数値が異なるがほぼ同じである。
図のため、被曝の割合が分かりやすい。
なお、この図2に表されているラドン・トロンは表1の呼吸と同じである。
図2 世界と日本の環境放射線の実態
表2 日本、世界の人間1人が1年間に放射線を受ける量及びその割合
項 目 | 日本 | 世界 |
自然放射線 mSv/年 | 1.48 | 2.40 |
人工放射線 mSv/年 | 2.27 | 0.60 |
合 計 mSv/年 | 3.75 | 3.00 |
人工放射線/自然放射線の割合 | 1.53 | 0.25 |
3. 医療被曝
1) 医療被曝の種類
医療用放射線被曝には2種類あり、ひとつは病気予防のための検査用被曝、もう一つは治療用被曝である。
2) 検査被曝の実情
日本では病気予防のための胸部X線撮影、胃のX線撮影など健康診断時に浴びる放射線量が世界の他の国の4倍ほど多いため世界保健機構(WTO)から“日本人は被曝好き”といわれている。
日本においては職場での健康診断が義務付けられていることによる。ヨーロッパでは健康診断は一般に行われてなく、病気になったら医者にかかり治療を受けるのが普通である。
表3にX線検査時、CT時の被曝量を示す。
なお、最近ではX線撮影装置の開発が進み少ないX線を照射しながら、鮮明な映像を映し出す装置が開発されており、装置により被曝量がかなり異なる。
表3 健康診断、診療時の被曝量
医療機器 | 撮影部位 | 被曝量 |
X線撮影 | 胸部撮影 | 0.2mSv/回 |
腹部撮影 | 1.0mSv/回 |
胃のX線検査 | 3-5mSv/回 |
胃(透視) | 10mSv/分(25秒-190秒 術者や被検者により差がある) |
CT(断層画像)*6) | 頭部 | 2.49 mSv |
胸部 | 5.90 mSv |
肝臓 | 3.60 mSv |
全腹部 | 6.80 mSv |
*6) CT(Computed tomography)はコンピュータを使った断層画像を示す。人体に様々な角度からX線を照射し、身体を輪切りにした断面を撮影できる装置。
CTにより受けるX線量はX線撮影の400倍と非常に多いため、CTによる検査頻度は年に数回以内となっている。
CTの写真は、以下のサイトを参照。
a) 歯科検査時の被曝
歯科医で歯の治療を受ける際、ひどい虫歯、親知らずの抜歯など前に歯の一部をX線撮影したり顎(あご)全体のパノラマ撮影を行うことがある。
また、最近はやりのインプラント治療の前には歯科用CT(X線撮影)が行われる。
歯科検査時のX線被曝量は歯科用CTを除き、通常の胸部X線撮影時の0.2mSv/枚より一桁小さいことから被曝を恐れることはない。
表4 歯科検査時のX線撮影の種類及び被曝量
撮影方法 | 被曝量 | 備 考*7) |
口内法 (小さなX線写真) | 001~0.03mSv/枚 | 治療する歯とその周辺のみのX線撮影 |
パノラマ法 (大きなX線写真) | 0.02~0.04mSv/枚 | 歯を含むあご全体の写真撮影 |
歯科用CT (コーンビームCT) | 0.1~0.4mSv/回 | インプラント治療前に撮影する3次元画像用 |
*7 ) 画像の参考となる内法、パノラマ法の写真は以下のサイトを参照。
b) 乳がんのマンモグラフィー検査時の被曝
乳がん検査の際、マンモグラフィー検査を受けると0.05~0.15mSv/回のX線被曝を受ける。
注意点として、マンモグラフィー検査時の被曝量はそれほど多くないが、妊娠あるいは妊娠しているかもしれない女性は胎児への影響を考え、避けた方が良い。また、受検する場合、2年に1回の頻度が望ましい。
(参考)放射線被曝量の比較
今回の原発事故での放射線の強さの比較として、日本での事故前の自然放射線を受ける数値1.5mSv/年を使わず、世界平均の値2.4mSv/年と比較する例が多い。
最近、やっと世界平均と併記して日本での自然放射線の数値を記載している。
また、被曝の比較例としてサラリーマンなら誰でも受けている胸部X線撮影時の
0.2mSv/回を示さずに、40歳以上の中高年しか受けない胃の集団X線撮影の0.6mSv/回やほとんどの国民が受けたことがないような胸部CT撮影時の6.9mSv/回を使っている。これらの医療被曝は全身ではなく、部分的に放射線を被曝するのみで、かつ受けるのは1回/年程度である。
医療被曝に関しては、X線検査によるメリットがX線被曝のデメリットより上回ることが必須条件となっているうえに、被曝を少しでも低減することに最大限の配慮が行われている。
人間の健康に配慮し、きちんとした安全管理体制の下で行われている医療用X線検査時の被曝と比較すると、今回事故に対する東電、政府、マスコミなどの報道は、通常時の数千倍、いやもっと多い被曝を国民が受けたり、いまだに受け続けているのにも係わらず、放射線の健康への影響についての資料は、ことさらたくさん浴びても問題ないような比較対象物を選んでいるように思える。また、「この程度の放射線を受けても直ちに人体に影響はありません」といい続けているのには理解に苦しむ。
3) 医療被曝の原則
放射線は利益と危険の二面性を持っており患者が医療被曝を受ける場合、被曝を受ける患者にとってプラスにならなければならないとの大原則がある。
X線検査の危険度は検査時の年齢、被曝箇所、被曝量により異なる。また、被曝の程度は乳幼児、子供のように若いほど被曝の影響を受けやすい。当然、被曝量が多いほど影響が大きい。
また、女性は卵巣、男性は精巣のような生殖線に被曝すると不妊、脊髄へ被曝すると造血機能、目の水晶体に被曝すると白内障の危険性が増すため、これらの部位への照射は避けている。
医療用放射線の利用について,国際放射線防護委員会(ICRP)の3つの原則がある。
① 正当化
放射線被ばくを伴う医療行為は,患者や社会にとって,プラスの利益を生むものでなければならない。
② 最適化
放射線を使う正当な理由がある場合でも,被曝量はできる限り低く制限しなければならない。
③ 線量限度
放射線の取扱者、一般人の被曝はICRPの勧告した線量以下に抑える。
(削除されて見ることができない)
4) 医療被曝の低減
たとえ、医療用検査時のわずかな被曝であっても、放射線を受けることによりガンにかかる可能性が増えるため、不必要なX線検査は避けることが望ましい。
a) アメリカ、日本の実情
アメリカでは、医療用放射線による人体への影響を重要視しており、効果対リスクを勘案してX線検査を行っている。
日本では、この点、あまりにも安易に健康診断の名目でX線検査が続けられてきたように思える。
ネットにより世界各国の様々な情報が専門家のみならず一般国民まで入手できるようになった現在、人間の健康、食品、安全などの基準や規格は世界で共通化されつつある。日本だけにしか通用しない、いわゆる「ガラパゴス化」した基準、規格、製品は世界標準に統一化されるであろう。
b) 日本でのX線被曝低減策
日本でもX線被曝低減のため、法律改正により2010年4月から胸部X線検査の対象者が限定された。
40歳未満に対しては胸部X線による肺結核、肺がんなどが見つかるよりのX線被曝の害の方が大きいため毎年実施している定期健康診断の必須項目からはずされた。
すでに筑波大学などでは、胸部X線検査を行うのは、大学、大学院へ入学した1年生のみとしている。
厚労省の定期健康診断時のX線検査の要綱は以下のサイトを参照。
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌などの出典元、年月日、タイトルを載せる。
2.人間が受ける放射線の被曝量
3.医療被曝
★朝日新聞 2008年1月27日 医療 検査での被曝
欠かせぬX線減らせリスク
怖がり過ぎず使い過ぎず
★日本経済新聞 2009年11月18日 乳がんX線検診
「40代勧めず」で論議沸騰
米政府内部会の見解変更
「非理論的」批判も
アメリカでは、結核診断時のエックス線検査は無意味。
乳がん検査用のマンモグラフィは40歳以下には勧められない。逆に放射線の影響で乳がんを引き起こす。
公的機関の検証資料を見ることができないが、いままでネットなどで報道されてきた内容を紹介している。
むやみに検査のため、放射線による医療被曝を避けるのが賢明。
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- 2013年02月06日 13:05 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
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2011年4月3日
原発情報 (3)
福島第一原子力発電所の事故について
その3、放射性物質の規制値
第1種放射線取扱主任者
要旨
1. 人体に対する放射能の規制値 1) 規制値の決め方 2) 重要な規制値 * 放射線が人体の健康になんらかの影響が現れる100mSv(100ミリシーベルト)が目安の規制値。 ① 100mSv/生涯までは健康に影響を与えないが、それを超えると放射線障害が発生する(確定的影響)。 ② 放射線は浴びた分に比例して障害が発生する(確率的影響)が100mSv以下では影響は明確には確認できない。 * 日本人は通常1.5mSv/年を受けており、生涯に医療用放射線などを除き100~150 mSv/生涯の放射線を受けている 3) 放射性物質の拡散とその影響 4) 日本の規制値は世界的にどの程度のレベルか * 原発事故が発生する前の日本の食品や水の基準値はWTOの基準より甘かった。その緩い基準値は原発事故後に更にあきれるほど緩くなり世界で類を見ない緩和された数値となった。 * 暫定基準値はあくまでも非常時の数値と考え、暫定基準値を多少下回ったからといって安全であると考えない方が良い。 * 野菜は購入後洗ったからといって公表された放射性物質の濃度が下がることはない。 5) 野菜の出荷停止の解除 * 法外に甘く、十分に検討する時間もないまま施行された野菜の暫定規制値2,000 Bq/kgを下回った程度で、安全ですと言ってよいのであろうか? * 野菜の件に限らず、原発事故の発生から現在まで政府の発表は本当のことを隠して伝えない、遅れて伝えるなど情報操作をしていることが、国民の疑心暗鬼を招いている。 2. 福島第一原発事故の経緯 福島第一原発情報 (3月29日~4月3日) |
△ページトップへ戻る (前書き)
福島第一原子力発電所の事故に関して
★原発情報 (1) 福島第一原発の事故 その1 (原発の概要と事故の状況)
★原発情報 (2) 福島第一原発の事故 その2 (放射線の影響)
に記載したが、その3では、今回の事故後に政府により放射性物質の規制値が大幅に変わったことなどを説明する。また、先週末までの原発での事故の経緯をまとめた資料及び適宜発信している原発情報を載せる。
1. 人体に対する放射能の規制値
1) 規制値の決め方
人体が受ける放射線の影響度が大きいかどうかを判断し、健康被害がでないようにするため規制値が決められている。
放射線が人体に与える影響の規制値を決めるにあたり、広島、長崎の原発による人体への被爆状況、他の放射線事故の事例、動物実験など、知見を持っている学識経験者の見解を基本としている。その他、原発を推進したい政府、東電などの原子力事業者、東芝、日立などの原発企業を含む業界団体の意向や反原発団体などの意見も考慮される。
最終的にはIAEA(国際原子力機関)の数値なども参考に決めている。
2) 重要な規制値
放射線が人体の健康になんらかの影響が現れる100mSv(100ミリシーベルト、100mSv=100,000μSv(100,000マイクロシーベルト))が目安の規制値となっている。
原子力、放射線、放射線医学、放射線災害防止など学会、協会において、人体に影響があるのは50 mSv以上、あるいは200mSv以上とかの議論があり、また、少量の放射線は浴びると細胞を活性化させるので放射線は多少は浴びたほうがよいとか、あるいは、放射線は浴びた分だけ障害がでるので極力少ない方が良いとかの議論が続いている。
しかし、学会の総論として
① 100mSv/生涯までは健康に影響を与えないが、それを超えると放射線障害が発生する(確定的影響)。
② 放射線は浴びた分に比例して障害が発生する(確率的影響)が100mSv以下では影響は明確には確認できない。
が現時点の見解である。
なお、日本人は通常1.5mSv/年を受けており、生涯に医療用放射線などを除き100~150 mSv/生涯の放射線を受けている。以下の計算による。
1.5mSv/年×80年/生涯=120 mSv/生涯
3) 放射性物質の拡散とその影響
原発の事故が発生した3月11日から数日間、放射線に関する報道は敷地内及び周辺地域の大気中の放射線量をμSv/時で発表していた。
しかし、事故が拡大し第1,
3号機建屋が水素爆発により崩壊したことにより多量の放射性物質が大気中に飛散した結果、原発がある福島県内のみならず東京を含む関東地域全域、時間経過とともにアメリカでも放射性物質が検出される事態となった。
水素爆発に伴いばらまかれた放射性物質は近隣の土壌、栽培している野菜に堆積、付着した。その結果、福島県産や近隣県の野菜に付着した放射性物質量が暫定基準値を超えたため出荷停止となった。また土壌表面や空気中に浮遊している放射性物質は雨により河川へ流れ、河川から取水している水道水へ混入したことから、3月20日以降、東京都など関東北部地域の水道水の放射性物質の濃度が乳幼児に適した水道水の暫定規制値を超えた。水道水が放射性物質により汚染されたとの報道をきっかけに、乳幼児への水道水摂取不可とのことで、各地でペットボトルの需要が急増し店頭から消えてしまった。
それでは、日本の飲食物や水道水の暫定規制値は他国と比較してどのようなレベルであろうか?
4) 日本の規制値は世界的にどの程度のレベルか
飲食物の規制値は Bq/kg (1kg当たりのベクレル)で表わされる。
水を含めた飲食物の規制値はWTO(世界保健機構)の基準は以下のとおり。
① 水 : 1 Bq/kg
② 野菜:10 Bq/kg
③ 餓死を避けるため緊急時に食べざるを得ない非常事態時:1,000 Bq/kg
表1 水を含む飲食物の各国の規制値
各国の規制値 Bq/kg | 規制国と内容 ( )内は種類 | 備 考 |
0.111 | アメリカの法令基準 (水) | |
0.5 | ドイツガス水道協会(水) | |
1 | WHO基準 (水) | |
10 | WHO基準 (野菜) | |
10 | 日本の3月16日までの基準値 (水) | |
100 | 日本の3月17日以降の乳児飲用に関する暫定基準値 (水) | |
100 | シンガポール、香港の輸入品の規制値 (食品) | 原発事故後、規制値を越えた日本製食品は輸入禁止処分 |
170 | アメリカの法令基準 (飲食物) | |
170 | アメリカの輸入品の差し止め基準(食品) | 原発事故後、規制値を越えた日本製食品は輸入禁止処分 |
300 | 日本の3月17日以降の暫定基準値 (水) | |
370 | 日本の3月16日までの基準値 (野菜) | |
370 | 日本が輸入する食品の基準値(食品) | |
1,000 | WHO基準 (餓死を避ける為に緊急時に食べざるを得ない非常事態時) | |
2,000 | 日本の3月17日以降の暫定基準値 (野菜) | 厚労省の3月17日の通達で、野菜の放射性物質の測定は、野菜は通常洗って食べること及び野菜に付着した土、ほこりの影響を避けるため洗った後の野菜を分析時の試料とすること。 |
この規制値を見て分かることは、原発事故が発生する前の日本の食品や水の基準値はWTOの基準より甘かった。その緩い基準値は原発事故後に更にあきれるほど緩くなり(たぶん、原発事故の状況から放射性物質の拡散がさらに広がることが予想され、基準値を大幅に緩和しておかないと、基準値越えの野菜や水道水の地域が続出、国民に混乱が起きる可能性がある)世界で類を見ない緩和された数値となった。
暫定基準値の水道水300 Bq/kg、野菜2,000 Bq/kgは今回限りの一時避難的なものであれば良いが、なし崩し的に長期間このまま暫定基準値が続く可能性があるかも?
各個人として、暫定基準値はあくまでも非常時の数値と考え、暫定基準値を多少下回ったからといって安全であると考えない方が良い。
また、野菜の放射性物質の測定に当たり、保健所などの分析機関においてどのように野菜を分析すればよいかと混乱が生じたため、厚労省の通達により野菜の放射性物質の分析は洗った野菜を使うことで統一された。よって、野菜は購入後洗ったからといって公表された放射性物質の濃度が下がることはない。
少なくとも水道水は3月16日より前の基準値10 Bq/kg、野菜などの食品は370 Bq/kgを下回るまで安全とは言いがたい。
参考:
3月20日:福島県飯舘村の水道水 965 Bq/kg
3月21日:茨城県のほうれんそう(水洗い後) 54,100 Bq/kg
3月23日:東京都金町浄水場の水道水 210 Bq/kg
5) 野菜の出荷停止の解除
福島県などの農家では、野菜の放射性物質量が暫定基準値を下回ったから安全です、おいしいので食べてくださいのキャンペーンをしているとの報道を見受ける。
すでに、福島県では野菜の出荷停止の解除へ向けて動き出し、政府の解除の条件設定のつめをしている。
しかし、法外に甘く、十分に検討する時間もないまま施行された野菜の暫定規制値2,000 Bq/kgを下回った程度で、安全ですと言ってよいのであろうか?
まだ3月16日の旧来の基準値370 Bq/kgを下回っているのなら堂々と安全宣言できるであろうが・・・安全というなら、今売っている野菜の放射性物質の量は○○Bq/kgで暫定基準値以下(ただし、水洗いした野菜)です。と消費者を惑わせることがない正しい情報と一緒に売るべきであろう。
野菜の件に限らず、原発事故の発生から現在まで政府の発表は本当のことを隠して伝えない、遅れて伝えるなど情報操作をしていることが、国民の疑心暗鬼を招いている。
政府は危機の状況を遅滞なく正しく伝え、その上で国や自治体、原発関係の機関及び東電などが現時点及び今後なすべき対策、国民が耐え忍ばなければならないこと、我慢しなくてはならないことを述べればよいのに、情報操作ばかりしていると、政府の安全、安心の言葉は国民には空言にしか聞こえない。
2. 福島第一原発事故の経緯(3月29日~4月3日)
第○回は、前回からの通し番号。
第20回 2011年3月29日AM10:44
福島第一原発の状況が一進一退のまま推移している間に遠隔地の野菜、水道水、土壌から放射性物質が検出され、かつ原発敷地内で高濃度の放射能汚染水があることがわかった。
原発の復旧に大きな障害となるこのような事態が次々に明らかとなったため、再度、福島第一原発情報を発行することとした。
配布先は福島第一原発、放射能に関しメールを受領したメンバのみとし、ある程度まとまったら、全メンバへメールする予定です。
★福島第一原発
福島第一原発の状況はますます悪化している。
原発の施設内では放射線の被曝を受ける原子炉建屋、タービン室は通常運転時にはほんの少しであるが放射能をあびるため放射線の管理区域として厳しく管理され、入る場合には線量計やフイルムバッジなどを携帯し、放射線をあびた場合でもどの程度あびたかがわかるように装備しないと簡単にはこれらの室内へは入ることができない。
その代わり、敷地内であっても、これらの建屋以外は放射線の管理区域外なので、放射能が検知されることはなく普通の場所とかわらないとされている。
今日、新たに分かったことは、タービン建屋へ電力ケーブルなどを引き込むトレンチ(巾2m、高さ3m、長さ70m)深さ10m程度が完全に水没し、1,000mSv以上(線量計が振り切れていたため実際は数1,000mSv)の高濃度の放射能で汚染されていた。
もはや、タービン室内に溜まった水、トレンチに溜まった水、いずれも原子炉内の燃料棒が高温になり核分裂を起こした時の放射性物質がそのまま冷却水に混入し系外へでてきたものである。
高濃度の放射性物質に汚染されているため、うかつに人は近づくことはできず、今後の作業に大きな障害となっている。
原発事故の状況は原子炉内のみならず、周辺の建屋においても放射能で汚染され、どうすればよいのか・・・
最終的には人海戦術で、多量の人員を動員して被曝ぎりぎりまで作業をしたら、新しい作業員と交代させながら、各種作業を行う必要がある。
今日のニュースでは、現在、施設内で作業をしている作業員、全部で600名ほど従事しているようであるが、は食事も水もろくに与えられず人質のようになって作業をしているようである。
早急に新たな作業員の動員体制を確立し、人を集めないと、今作業をしている作業員は、被曝限度を超え、現場から離れないといけなくなる。
しかし、東電、保安院、政府の対応の遅さ、お粗末さには目を覆うばかり。
現場に全体を統括できるリーダシップのある重役と有能な技術者が10名ほどを派遣し、現場内での情報収集と各号機間相互の情報交換、情報の共有、下請けへの情報、安全管理を徹底しないと、迅速な対応はできそうもない。
★指揮系統
菅総理は、これだけ重大事故が続いているのにほとんど顔をだしません。何をしているのでしょう?危機管理本部も人員だけは増やしたようであるが、責任体制もはっきりせず指揮系統があいまいなまま、なりゆきまかせで物事が進められている。
一番ひどいのが東電の対応である。
社長は病気とかでまったく顔を出さず、6人いる副社長で顔を出したのは2名だけ、技術系の副社長はなんと言っているか言葉が不明瞭で、よぼよぼのおじいちゃん。このようなどうしようもないものを副社長に据えているようではどうしようもない。
保安院の説明者も、単に東電の発表書類をそのまましゃべっているだけで、技術用語をそのまま伝えており、国民が理解できるとは思えない。もっと、若手のしゃべるのが上手な技術系社員を使えばよいのにと思う。
★野菜など
近くのスーパーでは野菜の産地を明示せずに野菜をならべているが、客は福島、群馬、栃木産(数量は従来の1/4以下しかないが)だと誰も買わないようで、売れ残っている。
また、数日前まで食パンは売り切れていたが、やっと出回るようになった。しかし、ペットボトルの水はスーパーもコンビにもどこにも見当たらない。
★放射性物質をあびた野菜、水
放射性物質を浴びた野菜、水などは、新たに放射性物質のヨウ素131が放出されていないようで、その半減期は8日と短いこともあり、急速に数値が下がっている。
しかし、雨が降ればまた増えるし、原発内で水蒸気爆発、新たな燃料棒の破損があれば放射性物質が飛散され、数値が増える。
第21回 2011年3月29日PM:13:19
★原発の状況
昨日、発見された第1~3号機のタービン室内海側にトレンチ(巾4m×高さ4m、長さ60m程度、トレンチ内はダクト、配管、電線ケーブルなどが通り、普通、水はまったくなく、人がそれらを点検できる)が3本設置されている。
現在、いずれのトレンチにも放射能で汚染された水で満たされ、各トレンチについて、第1号機分は地表面から10cm(溜まった汚染水は3,100t)、第2号機分は1m(溜まった汚染水は6,000t)、第3号機分は1.5m(溜まった汚染水は4,200t)、まで汚染水が溜まっている。合計すると13,300t(6m3の大型バキュームカー1,660台分)と膨大な量である。
特に第2号機のトレンチの水面の放射線量は1,000mSv以上と高く、うかつに近づくと多量の放射線をあびる。
このままの状態では、各号機の圧力容器内への注水により、トレンチ内の水が増えあふれだし、海へ流れ出る心配があるので、とりあえず第1号機のトレンチの周辺に土嚢を積む作業をしている。
土嚢を積むと、汚水がタービン室内にたまり、ポンプなどの機器、電気品が更に汚水に水没する。
トレンチの汚染水は、津波により海水が浸入したか、圧力容器や使用済み核燃料プールへの放水時の余剰水があふれて溜まったものであろう。
汚染水の放射線量が高いのは、圧力容器内において冷却ができない時期に燃料棒が加熱してジルコニウムの被覆管が破損し燃料棒が溶融し核分裂したヨウ素131、セシウム137が、圧力容器の接続配管の隙間から漏れでてきたようである。
圧力容器の冷却を続けることは更なる燃料棒の加熱、破損に伴う核分裂物質の生成を避けるためには必須の条件のため、冷却する必要はあるが、冷却水量を増やすと、トレンチ内の汚染水の量が増えるので、ジレンマに立たされている。
現在、圧力容器内への加水水量を押さえ、かつトレンチ内の水量が増えない危うい作業を行っている。
★トレンチの汚染水の除去
トレンチ内の汚染水をどこかへ移さないといけないが、これだけ多量の汚染水を貯めるスペースの確保が問題となっている。とりあえず、タービン室の復水タンクへいれようとしているが、一部の復水タンクは水で満杯。
移す場所の確保に苦慮している。
ただし、汚染水が増えなければ、とりあえず汚染水の放射能はトレンチで隔離されているので、トレンチの入口だけ蓋をすれば防げると思うが・・・
アメリカから圧力容器内へ送る水を船で運んでいるので、そこに仮に移すことも有りうるが、船自体が放射能で汚染されるので、ダメであろう。しかし、トレンチの水が急激に増えるようなら、そうも言っていられない。
★作業員
やはり、一番の問題は施設内で被曝を受けながら働いている作業員の確保であろう。
原発の事情を知っている他の原発の作業員を至急集め、今いるベテランの作業員は、被曝を極力さけ、それらの新規作業員を指導して復旧作業に当たらせないと、そのうちににっちもさっちも行かなくなりそう。
東電内では、正社員やの正社員の作業員を総動員して施設内で作業をなぜやらせないのだろうか?
東電の副社長、保安院の会見をみていると、他人行儀の話し方で当事者との意識がない。
★プルトニウム
やはりというか、プルトニウムが施設周辺の土壌から検出された。プルトニウムはウランの核分裂により発生するが、今回は、第3号機の燃料棒にプルトニウムを含んだMOX燃料を使っているため、燃料棒が破損して漏れ出したのであろう。
プルトニウムの毒性は強く、肺に蓄積されやすく、肺の中で一生涯アルファ線を出し続けるためガンになる可能性が高い。
プルトニウムが検出されたことは非常事態だと思うが、マスコミではそれほど問題視していない。
★第二ステージ
このように、福島第一原発の状況は、危険度が増した第二ステージに入ったようである。
今後、どのようなことになるかは、予測がつかない。
NHK以外のテレビでは、震災後2週間経過し、通常番組を放送しており、いつものお笑い芸人がバカなことをしゃべっているが・・・
能天気な国民性か・・・
原発の情報を常にウオッチしてリアルタイムで情報を発信するメディアがないといけないのに・・・
第22回 2011年3月30日AM11:43
★原発の状況
昨日(3月29日)の昼過ぎから新規の情報はない。
相変わらず、第1~3号機の放射線管理区域外のトレンチの溜まっている、たぶん津波の海水と原子炉内圧力容器、格納容器から漏れ出した放射性物質が含まれた汚染水が混じったものであろう。合計で13,300tもの汚染水をどうするかが問題となっている。
まず、タービン室内に0.4~1.5m溜まっている汚染水をまず排水しないと原子炉の冷却系ポンプなどが動かせないため、その排水が先決である。
しかし、タービン室内にポンプを設置したが水位は下がっておらず、対策に苦慮している。
タービン室内の汚染水を移送、貯水する方法を検討した結果、タービン室横の2,500t貯められる復水機貯留タンク、数百m離れた3,400t貯水の圧力抑制室用水タンクへ移す予定。
タービン室内の汚染水だけでも排水できれば、原子炉を安全に冷却するための機能を取り戻すことができるであろう。しかし、何をするにしても、周囲は放射性物質が飛散し放射能を浴び続けながらの作業となり困難を極める。
★AM11:00現在の最新情報
第1号機、タービン建屋の地下1Fに溜まっていた汚染水の深さは、復水機への移送により水位が20cmとなった。第1号機のトレンチの汚染水は地上から10cm下まできていたので、海面に近いトレンチの周囲に土嚢、コンクリート壁で囲い、周囲へ汚染水が漏れないようにし、かつ、トレンチ内の水位を今より1mほど低下させる作業を行う。
第2,3号機では汚染水の排水作業は今後行う。
第1,2号機の圧力容器の温度が上昇しているので、冷却水量を増やして圧力容器内の燃料棒がこれ以上熱により破損しないようにして冷却している。
★新規の対策
(削除されて見られない)
★官の原発情報
今回の原発事故に関し、内閣府直轄で原子力関係を統括している「原子力委員会」と「原子力安全委員会」及びその下で広報活動を含む強い権限を持っている通産省の「資源エネルギー庁(通称、エネ庁)」がまったく表に出てこない。資源エネルギー庁は原子力の推進を最も推進してきたし、省エネ関係の風力、太陽光などで最も企業や国民にとって一番関係があるのに、今回は音なしである。
このような時こそ、広報などに力を発揮すべき「原子力安全・保安院」は、東電を監督するというより、東電におんぶにだっこで東電の丸抱えにより情報を得ている外郭団体の役立たずの姿を露呈させ、力不足でどうしようもない。このような下位クラスの天下り官僚のたまり場の代わりに、優秀で豊富な人材を抱える「資源エネルギー庁」が自ら先頭にたち今回の件を国民へ説明すべきであろう。
「資源エネルギー庁」は都合の良いときだけ、国民への啓発事業、展示会、発表会、委員会の開催、会合への出席をして、電力の分野では一番大きな面をしており、自らすごい権限と人材を持つエリート機関だと誇示、宣伝しているのなら、このような時にも、権限と人材を発揮すべきであろう。
東電の会長、社長のように、多数の審議会、委員会の理事や委員となり大法螺をふいていたのが、社会的責任、犠牲的対応を発揮しなければならなくなると、とっとと逃げてしまって、表にでてこないのと同類では、公務員としてまったく業務をしているとは言いがたい。
しかし、東電の会長、社長はどこへ逃げているのか?菅総理も国民への説明を避けており、同類である。
★東電の株価
東電の株価は今日の前場、ストップ安をつけ、原発事故の2,100円代から466円と1/4以下に値下がりした。
商いのことわざには「半値、8掛け、2割引」が底値と言われ、合計すると元値の32%(100×0.5×0.8×0.8=0.32)となる。東電の株価はその底値を割っているが、今後どうなるか?
第23回 2011年3月30日PM9:09
★原発の状況
施設内では、第1,3号機の水素爆発により飛散した放射性物質をさらに拡散させないよう、栗田工業の飛散防止用の水溶性樹脂を散布し土壌などの表面を固める試験を行い、よければ敷地全体で行う予定。
樹脂を散布するのは遠隔操作が可能な無人の特殊車両。
また、原発内では大成建設の社員など50名が車両を使い施設内に飛散した瓦礫などの撤去を行っている。
また、ゼネコンの技術団体では無人車両を使ってこれらの撤去もする予定。
また、放射性物質で汚染された汚染水をろ過、処理して再度圧力容器内の冷却水として使用できるかどうかの検討を水処理会社が検討中。
原発の事故を契機に放射線処理に係わる各種業務を手伝うことで、その後の処理や復旧工事の受注を巡り各メーカが打診、実際に現地に乗り込んできた。
会社としては、放射能を浴びながらの調査、作業となるので競合他社が少なく、かつ非常時なので価格がない状況なので、ぼろもうけのチャンスと狙っているだろうが、現地に入り作業などを行う社員はたぶん、放射線の知識も恐ろしさもほとんど知らないまま仕事をすることとなり、被曝に対する安全管理がおろそかになり、いつのまにか多量の放射線をあびていることにもなりかねない。
非常時なので、現地に入った人間の放射線管理が(通常通り厳格に行われているのかどうか)厳格に行われるかどうかが非常に心配。
★東電会長の会見
今日、3時から病気で入院中の清水社長に代わり勝俣会長が記者会見した。
清水社長は、逃げの一手で、逮捕前の国会議員宜しく、当然のごとく計画入院を行った。日本を代表する企業の社長の職務は、会社を代表しての広報活動とトラブル時の謝罪会見が対外的な最も重要な業務なのに、それを放棄するとは・・・まったく、社長の器ではなく、普通のサラリーマンよりも程度が悪い。清水を社長にした勝俣会長も、心の底では無能社長にあとを継がせたと歯がゆいことだろう。会長は代表権をもっており、このようなこともあると考えたのかも・・・
しかし、会長の会見の内容は別にして、言葉も受け答えも明確で、やはりやり手の会長との印象。
会見では通常通りの話であったが、東電が一丸となり原発を安定に持っていくとの決意は見られず、政府などの意向を気にしている様子がある。
まずは、東電の役職を先頭に全社員が真っ先に技術、現場へ駆けつけ対応すると述べるのを今回の会見で期待したが、まったくあてはずれで、周辺の住民に迷惑をかけたなど、とぼけたことを言っていた。
一刻も早く、原子炉を冷やし安定化させることが緊急、最優先のことなのに、それについての話はなかった。
第24回 2011年3月31日PM0:34
★原発の状況
今日は目新しい状況はなく、施設内では第1~3号機のタービン室内の地下に溜まった汚染水を排水する作業が続いている。
タービン室内の汚染水の量は、各タービン室の床面積が約4,000m2、水位は第1号機40cmより1,600t、トレンチは津波で侵入した海水が大半の模様で汚染水は混入していない。
第2号機は床面から1mなので、4,000t、トレンチと汚染水が行き来しているようで放射線量が高く、容易に近づけない。
第3号機は床面から1.5mなので6,000t、2号機と同様トレンチと汚染水が行き来している。
汚染水を復水機貯留タンク、圧力抑制室用水タンクへ移す作業を行っているが、汚染水を貯めるこれらのタンク容量が小さく、別途、中古タンカー(原発の水深が4mと浅いため大型タンカーは接岸できない)施設内に簡易のプールやタンクを設置することなどを検討中。
しかし、第2号機横のトレンチ表面の放射能値が計測器の針が振り切れるとの報道から2日も経過するのに、最新情報が開示されてなく、情報隠しをしている。
放射線測定器は携帯型を持参すれば目視でその場所の放射能値がわかるので、測定していないはずはなく、測定しないと作業員が着用する防護服の種類やどの程度作業すれば安全との目安もたたない。
なぜ、情報を隠すのであろうか?
★データの開示
東電、保安院の会見時になぜ、重大な数値の追跡データはどうなっているのかと質問しないのか不思議?
やはり、政府、東電の意向を受けたマスコミの自主規制、あるいは報道規制により、本当のデータの中でやばいデータは測定していない、測定に時間がかかる(プルトニウムの測定値などは典型。東電は1週間測定にかかるとの発表であるが、民間会社では1日で測定している)などでデータ隠しが事故当初から相変わらず続いている。
★御用学者と規制値
テレビでも御用学者達が、規制値を越えても人体にほとんど影響がなく安全ですと相変わらず繰り返ししゃべっている。
それでは、今まで、御用学者が数十年にもわたり作成した規制値はどのような意味をもつのであろうか?
現在なら人体に問題なく、長期間であっても発ガンのリスクは1%以下とかを平気で述べている。それなら、自分の子供や孫を原発の30km離れた場所に住まわせ、規制値を超えた野菜などを食べ続けることができるか?御用学者本人は50歳以上だから、いまさら寿命が多少短くなっても誤差範囲であろうし、子供を今後つくることもないだろうから・・・それでも、原発に近づくことは避けるであろう。
そんなに安全なら、規制値を今の十倍、百倍の数値に変えればよいと思うが・・・、規制値を緩和すると、放射線障害にかかる率が格段に増加するため絶対に緩和できないからこそ、今の規制値になったはずであろう。
原発、放射能関係の御用学者はいってみれば、自分の報酬、研究予算を確保、学会発表、民間からの研究予算などで、国や東電から多額の補助金、研究予算を受けており、それらの意向に反することを述べたとたん、それらがカットされる運命にあり、本当のことが言えない。
マスコミも同様で、報道にかかわる各種官の規制があり、民放で官の規制に加えスポンサーからの圧力が大きく、原発反対、東電の悪口、放射能が危険であることは最低限とし、いつまでも放射能は漏れているが安全ですといい続けている。
★海洋汚染
昨日測定した原発の排水口近くでの放射能値が規制値の4,000倍を超えた。
学者どもは、この程度なら拡散されるため人体に影響はないし、魚の食物連鎖により放射性物質の濃縮も問題にならないと述べている。
原発の管理区域(建屋)から外へ放射性物質が規制値より1割でも超えれば、大問題で、通常なら、原子炉の停止、調査などすぐに行うべき大問題なのに、規制値の4,000倍も超えても、何も感じなくなっていることは本当に恐ろしい。
日本以外の全世界に汚染が広がっている状況を無視できないし、拡散による放射性物質が薄まるなど・・・
日本人だけよければ良いとの考えはおかしい。
(削除されて見られない)
第25回 2011年4月1日AM11:27
★原発の状況
施設内での作業は、第1~3号炉のタービン室内及びトレンチに汚染水が溜まっており、その排水作業が行われているが、汚染水が放射性物質で汚染されているため遅れ気味である。
今になり、第1,3号機の圧力容器は接続配管などが100本以上圧力容器に溶接されているが、燃料棒の加熱、海水などの注入により隙間ができ、そこから放射性物質があふれて注入水に混じって格納容器を経由して原子炉建屋、タービン建屋へ溜まった。
敷地内の土壌から放射性物質が検出されたのは、第1~3号機の圧力容器内の燃料棒の加熱、第4号機の使用済み燃料プールの燃料棒の加熱が生じているのに加え、第1,3号機の水素爆発により放射性物質が施設内に広く飛散し雨や放水により地下に浸透したのであろう。また、トレンチは原子炉建屋、タービン建屋ほどの耐震性もなく、コンクリートの厚みも厚くないと考えられ、コンクリートを打つ時の接続面から汚染水が漏れ出している可能性もある。
★作業環境
昨日、NHKが現場で働いていた作業員からの話として、放射線下の作業でありながら、各自の安全の要となりどの程度の被曝をうけたかを確認できる唯一の測定器、デジタルの線量計を各自身につけて作業をしていないことが発覚した。
放射性物質を取り扱っている部屋、すなわち管理区域へ立ち入る場合には各自線量計を携帯しないと入ることはできないのに、法律違反の危険なことが平然と行われていた。
今回の被災により5,000個あった線量計がわからなくなり500個しかないため、線量計を持つのは作業のグループ長だけだった。
法律無視、人間の安全を無視した東電、本社、現場の指揮者などはどう考えているのであろうか?
線量計は近くの女川原発などにはたくさんあるだろうし、すぐに取りよせれば1日で入手できる。
うがった見方をすると、被曝量が多いため線量計を携帯させずに作業を行わせていたのではとも考えられる。グループ長は初めだけ現場にいて、そのあとは控え室に帰り、作業員はものすごく被曝をうけたのに、線量計はたいした数値を示していないのでは?
社長が逃げ出し、本社からの応援部隊が大挙して駆けつけたとの情報もなく、現場では在来の作業員がタコ部屋のような中で、食事も寝るところも満足に与えられまま危険な作業をいつまでも行わせている東電は、まったくもってひどい会社である。
このような状況は1週間ほど前からマスコミでリークされており、食事は定期的に防護服を着て、出入り時に放射線の検査及び必要とあれば放射能の除染を行えば良いことで、難しいことではないのになぜやらないのであろうか。
緊急状態とはいえ、放射線の被曝が少ない場所に、きちんとした食事と寝床を提供するのが当然であろうが・・・
★御用学者が叫ぶ安全
海水中の放射性物質の値が基準値の4,335倍と報道されたり、敷地内の土壌中から放射性物質が基準値をはるかに超えて検出されたり、IAEAが飯館村の土壌の表面から避難の必要があるレベルの2倍の数値があったと発表したが、政府、御用学者に加えて今回初めて原子力安全委員会が会見をして日本の測定値、安全の考え方の方が的確なのでIAEAの見解は納得できないと拒否の姿勢。
日本政府はIAEAの言うことは正しいと声高に発表し、北朝鮮の核開発、イランの原子炉建設などではIAEAに賛同して強くこれらの国に抗議していたのに、今回の対応は二枚舌である。国際機関のIAEAの発表を認めない政府のいっていることは本当か?
IAEAの発表は避難地域から40km離れた地域のデータなので、IAEAの勧告に従うと30km圏内は避難指示地域としなくてはならず、避難指示にかかわり莫大な追加費用や手間がかかるため、なんとかこれ以上の避難指示区域の拡大を避けたい意向が見え見えである。
住民の安全や健康よりも、政府や東電、御用学者のメンツと経済的な問題が優先したようである。
すでに、今回の事故は発生してから、各種放射線の安全規制値をわからないように変更しており(後日、原発情報に掲載)、国民軽視の対応にあきれるばかりである。
御用学者はいつまでも安全、安全というばかり。
第26回 2011年4月3日AM11:32
★原発の情報
原発第1~3号機の原子炉建屋内では、引き続き圧力容器内へ海水から真水に変えて冷却水を注入しており、圧力容器内は一応危険な状態の一歩手前で安定している。しかし、それぞれの圧力容器内の燃料棒は5~数10%破損していているようあるが、アメリカエネルギー省では第1号機では7割破損との見解。破損した燃料棒はたぶん圧力容器内の下部に堆積しているのであろうが、核分裂反応を抑えるホウ素を多量に投入しているため再臨界はないと思われる。
また、圧力容器と格納容器とは密閉が壊れていること、圧力容器内へ毎日550t注入している水が原子炉内で発生している熱量(必要水量は150t程度)よりも多いため、余剰の放射性物質を含んだ水が圧力容器内→格納容器→(配管などの経由し)→原子炉建屋→タービン建屋→トレンチ→海面へ流出。
その他、第1,3号機での水素爆発により多量の放射性物質を含んだがれきが敷地内に堆積し、同時に福島、東京のみならず全世界に放射性物質を拡散した。
現在、原子炉建屋、タービン室建屋、トレンチ(配管用トンネル)、新たにピット(電源ケーブル用トンネルに接続)がつうつうになっており、圧力容器内へ注入したあとの高濃度の放射能汚染水が垂れ流しとなっている。
ピットは昨夜、コンクリートをピットに流し込んだが汚染水の流出は止まらず、今日、高分子凝集剤(ただし、塩分があれば効果は下がる)を入れて流出防止を図るようにしている。
しかし、汚染水は1箇所だけとは限らず、他にもたくさんの箇所から流出していると考えるのが当然であろう。もはや、建屋のコンクリートのひび割れ部分、コンクリートと配管の貫通部分などから土壌中のあちこちへ汚染水が染み出している。
現在、敷地の地面より下にある、原子炉建屋、タービン室建屋、配管用トンネル、電源ケーブル用トンネル内には汚染水が溜まっている。汚染水の放射線量は非常に強く、人間がうかつに近づくと被曝するため排水作業は困難を極めている。
圧力容器内への注入水量はこれ以上減らすと燃料棒が加熱し圧力容器の設計温度302度を超え危ないため注入水量は抑えられない。毎日数百トンもの余剰水が低いところへ溜まり流出している。
対策はあるのか?
もはや手詰まりかもしれない。
★海洋汚染
ピットから1,000mSvを超える汚染水が海へ流れ出していたことが、原発の排水口の南側330mの地点及び北側50mの地点での放射性物質の濃度が基準値の4,335倍であったことの原因となったようである。
今でもピット、その他の場所から汚染水の流出が続いていることから、相当長期間にわたり海洋汚染は続く。
相変わらず、御用学者はこの程度の海洋汚染であれば、魚を食べての健康への影響はないといい続けているが、いつまで言い続けられるか・・・
海底の地形、海流の影響により放射性物質は拡散されるからと・・・
ピットの汚染水、1,000mSvは、基準値の1,000万倍、それが、敷地建屋周辺の2重の防波堤を経て外洋へ流れ出し、1km程度離れた排水口近くまで拡散したと想定した場合、約1,000倍に希釈されたこととなる。
あまりに高濃度の汚染水のため、海の拡散効果もそれほどではないように思える。
一番の問題は、放射性物質を食べるプランクトン、プランクトンを食べる小魚、小魚を食べる大型魚、大型魚を食べる人間と、人間は食物連鎖の最上位にいるため、濃縮された放射性物質を摂取することとなる。
だれも、どの程度魚に放射性物質が濃縮されるかわからない。実験では100倍程度に濃縮されるとのデータもあるが・・・
数年前にマグロには高濃度の水銀が蓄積されており、多量にマグロを食べないことが必要との報道があった。
水俣病の有機水銀中毒において、これほど被害者が続出し社会問題化したのは、チッソ、国、東大の御用学者が有機水銀は水俣病の原因ではないと長期間いい続けてきた結果である。
同じようなことを起こさない知恵と経験を一人ひとりが自分で情報を入手し、本当、真実は何かを知り、その上で自分の判断で行動するしかないと思う。
今回の海洋汚染について、政府から発表があったころには、手遅れで、体内には魚を経由して放射性物質を取り込んでいる可能性がある。
汚染水の垂れ流しがこのまま止まれば、魚を食べてもまったく人体に影響はないであろうが、現在進行形で放射性物質が海洋へ流出している状況では、危険なものは避けるのが常等手段。
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌などの出典元、年月日、タイトルを載せる。
1.人体に対する放射能の規制値
★読売新聞 2011年4月3日 放射線健康にどんな影響
100ミリ・シーベルトでがん危険性0.5%増
部分的被曝なら被害少ない
微量は宇宙・地面から常に
★日本経済新聞 2011年4月3日 放射線と健康正しく知る
年1ミリ・シーベルトでも急性症状の1/1000
低い線量での発がん確証なく
規制値余裕持たせる
2.福島第一原発事故の経緯(3月29日~4月3日)
福島第一原発の事故の発生時からの経緯をまとめた資料
★日経ビジネス 2011年4月4日号 技術&トレンド
原子力発電事故(東京電力)
「水」への脆弱さを露呈
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- 2013年02月05日 18:01 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
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2011年3月27日
原発情報 (2)
福島第一原子力発電所の事故について
その2、放射線の影響
第1種放射線取扱主任者
要旨
1.全般 a) 被曝(ひばく) b) 義捐=義援(ぎえん)
2.原子炉 a) 核燃料(ウラン235) b) 核分裂反応 c) 核分裂生成物 * 原子炉内での核分裂反応に伴い各種核分裂生成物(放射性物質)ができる。 d)半減期
3.放射能、放射線、放射性物質 a) 放射線 b) 放射能 c) 放射性物質 d) 福島第一原発から発生している放射線
4.放射線 a) シーベルトとグレイ b) 時間当たりの放射線量と放射線量 c) シーベルトに関する総統閣下の見解
5.放射線障害 a) 人体へ障害を及ぼす放射線量 b) 確定的障害と確率的障害 ① 確定的影響 * 必ず影響が発生するが、その影響はしきい値(ある値以上で影響が現れるが、それ以下では影響がない境界)を超えないと発生しない。 ② 確率的影響 * しきい値はないが、被曝した放射線の量に比例し将来、白血病、ガンや遺伝的障害が増える。ただし、確率的影響は被曝量が100mSv以下では明確に発生するとの証拠はない。 c) 福島第一原発事故の被曝 d) 急性被曝と慢性被曝 e) 急性被曝の障害
6. 放射線の被爆防止 * 放射線からの被爆を少なくする方法は時間、距離、遮蔽の3つ。 a) 時間 b) 距離 c) 遮蔽 |
△ページトップへ戻る (前書き)
福島第一原子力発電所の事故に関して
★原発情報 (1) 福島第一原発の事故 その1 (原発の概要と事故の状況)
2011年3月25日発行
において紹介したが、ここでは、原発事故に伴い外部へ漏れ出した放射性物質及びその影響について説明する。
説明にあたり、普段聞きなれない言葉が多いため用語の解説も同時に行う。
1. 全般
a) 被曝(ひばく)
放射線や有害物質(化学薬品など)にさらされることを示す。
今回の原発事故は放射線にさらされているので被曝を使う。
なお、被曝の「曝」は当用漢字ではないため、被ばくと記載している報道も多い。
混同しやすい「被爆」は爆撃を受けることを指す。広島、長崎の原爆による被害は被爆を使う。
b) 義捐=義援(ぎえん)
慈善や被災者救済のためお金や物品を寄付することを示す。
義捐が正しい漢字であるが、義捐は当用漢字ではないため義援と書くことが多い。なお、義捐の「捐(えん)」は「損(そん)」に似ているがまったく別の漢字である。義捐よりもっぱら義援を使うのは、捐と損が似ているからかもしれない?
2. 原子炉
a) 核燃料(ウラン235)
原子炉では、核分裂反応を起こすウラン235を核燃料として使用している。
ウラン鉱石には核分裂を起こさないウラン238がほとんどでウラン235は0,72%しか含まれていないため、遠心分離法などによりウラン235の濃度を3~5%に濃縮し原子炉の燃料としている。
b) 核分裂反応
原子炉の中で核分裂反応に伴うウラン235の核分裂によりアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線が発生し同時に莫大な熱が発生する。原発はこの熱を電気に変え利用している。
c) 核分裂生成物
原子炉内での核分裂反応に伴い各種核分裂生成物(放射性物質)ができる。
そのうち半減期が短いものはすぐに消失するが半減期が長いセシウム137(半減期30年)、ヨウ素131(半減期8日)が残る。また、ヨウ素131はガス化しているため放出、拡散しやすく遠隔地でもヨウ素131がすぐに検知される。
今回の事故で大気、土壌、海水中でヨウ素131、セシウム137が検出されたのは圧力容器内に封じ込められている核分裂生成物が漏洩したと想定される。
d) 半減期
放射性物質は放射線を出しながら安定的な物質に変わっていく。当初の放射性物質の量が半分になるまでの期間を半減期と呼ぶ。
ヨウ素131の半減期は8日のため、放射線の強さは8日後には1/2、16日後には1/4、32日後には1/8、64日後には1/16となる。
半減期の短いヨウ素1311ヵ月後には当初の1/8の放射線の強さとなるため時間が経過すれば影響はかなり小さくなる。時間を待てばヨウ素131は次第に減ってくる。
しかし、セシウム137は半減期が30年と長いため、放射線の強さはいつまでたっても当初と変わらなく放射線を出し続ける。
3. 放射能、放射線、放射性物質
a) 放射線
物質を透過する能力をもつ光に似たもの。
アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線などの種類があり、種類により物質を通り抜ける能力に違いがある。これらの放射能は核分裂反応により発生する。なお、ガンマ線と同類のX線は医療用機器の胸部のレントゲン、胃のX線撮影、乳房のマンモグラフィ、X線CT(コンピューター断層撮影)はいずれもX線の医療分野の利用である。
b) 放射能
放射線を出す能力。
c) 放射性物質
放射能を持つ物質のことで、ウラン235、プルトニウムのような核燃料物質及び核反応により生成された核分裂生成物、すなわち今回の事故で原発周辺に拡散しているヨウ素131、セシウム137など。
放射線と放射能、放射線の種類と透過力については以下のサイトを参照。
(放射能、放射線、放射性物質の違い)
d) 福島第一原発から発生している放射線
原発からアルファ線はでていない。万一外へ出ても前記の放射線の種類と透過力に示したように、紙でも遮蔽(しゃへい)できるため外部被曝は考慮する必要はない。
ベータ線は今回の核分裂性生物のセシウム137から放射されているが、アルミニウムなどの薄い金属板で遮蔽できるため、室内にいれば問題ない。ただし、3月25日に関電工の作業員3人がタービン室内で被曝したのは各種放射性物質が含まれている水に足が浸かったまま作業を行ったことによるベータ線被曝。
ガンマ線は今回の事故で最も発生している。ガンマ線は鉛や厚い鉄の板でないと遮蔽できないため、施設内での機器、電気品の復旧に携わる作業員の活動の障害となっている。
また、万一の場合、原子炉内の燃料棒が臨界状態となると中性子線が発生する。東電によると、今までに何回か中性子線を捕らえているので、原子炉内で一時的に臨界状態に陥っていた可能性もある。
4. 放射線
a) シーベルトとグレイ
人体が受ける放射線の被曝の大きさを示す単位がシーベルト(Sv)である。
物質が放射線の照射を受けた場合の物質の吸収線量の単位はグレイ(Gy)。
人体が放射線を受けた場合の影響は放射線の種類により異なるため、グレイに放射線の種類別に決められた荷重係数をかけてシーベルトとしている。
表1 放射線の荷重係数
種 類 | 荷重係数 |
アルファ線 | 20 |
ベータ線 | 1 |
ガンマ線、X線 | 1 |
この荷重係数からアルファ線はガンマ線、X線の20倍ものダメージを人体に与えることがわかる。
ベータ線とガンマ線の人体に与える影響は同じ。
b) 時間当たりの放射線量と放射線量
i) 通常使われている被曝の大きさは1時間当りの放射線量を示している。
放射線量:(マイクロシーベルト/時あるいは毎時シーベルト)
ii) 人体が放射線を受けた被曝量を示すのは
放射線量:(マイクロシーベルト)
例:200μSv/時の場所に4時間いた場合の被曝量は
200μSv/時×4時間=800μSv
すなわち、800μSvの放射線量を受けたことを示す。
今回の原発事故当初、μSv/時を表現すると長くなるため省略して単にμSvと示したことから、その場所での放射線量と人体が受けた被曝量がごっちゃになり混乱していた。
最近の報道ではμSv/時とμSvときちんと区別している。
c) シーベルトに関する総統閣下の見解
上記の件に関し、ユーチューブに「シーベルトに関する総統閣下の見解」が投稿された。この中ではパロディ化したヒトラー総統が分かりやすくシーベルトについて説明している。 (削除されて見られない)
2011年3月24日現在、投稿されたこの画像はユーチューブの利用規約違反により削除された。たぶん、オリジナルの映画をパロディ化しているので著作権違反の疑いにより映画制作会社あるいは日本政府(東電、保安院など)の回し者がユーチューブへ削除を依頼したのであろう。
このユーチューブ私の説明よりも、格段に分かりやすく説明しており一見の価値あり。
画像中の言葉について、追記とコメントを示す。
① μSv/時とμSvの違い
“お姉ちゃんの店で2,000円と書いてあっても”
“1分ではおっぱいもみもみもできないではないか?”
(解説)2000円で1分楽しめるのか1時間楽しめるのかがはっきりしないと、人により違いを生じることをおもしろおかしく示している。
② ミリシーベルト(mSv)とシーベルト(Sv)の説明
“1,000ミリシーベルトは1シーベルト”
(解説)ミリシーベルトはシーベルトの1/1,000、マイクロシーベルトはミリシーベルトの1/1,000
すなわち、1Sv=1,000mSv=1,000,000μSv
5. 放射線障害
a) 人体へ障害を及ぼす放射線量
放射線の人体に与える影響については、以下のサイトを参照。
日本人が日常の生活であびている放射線量は1年間に0.38mSvである。世界平均では2.4mSv。(医療行為によるあびる放射線量は考慮していない。日本人は医療用放射線を受ける量が多い。これらについては、次に説明する)
1年間に200mSv以下の被曝なら健康に問題がないとされている。
b) 確定的障害と確率的障害
放射線障害には確定的影響と確率的影響の2つがある。
① 確定的影響
必ず影響が発生(確定)するが、その影響はしきい値(ある値以上で影響が現れるが、それ以下では影響がない境界)を超えないと発生しない。
確定的影響には、急性障害として直後から発生する脱毛、不妊、2年以上経過してから発生する白内障などがある。
② 確率的影響
しきい値はないが、被曝した放射線の量に比例して障害の発生(確率)が増えることを示し、放射線を受けた分だけ将来、白血病、ガンや遺伝的障害が増えることを意味する。ただし、確率的影響は被曝量が100mSv以下では明確に発生するとの証拠はない。
c) 福島第一原発事故の被曝
マスコミによる今回の放射線障害についてのコメントは「直ちに健康に影響はなく心配ありません」と口を揃えて言っているが、これは確定的影響について、現在はしきい値以下のため問題ないと説明しているだけであり、将来発生する可能性がある確率的影響を完全に無視している。
放射線を受けたことによる確率的障害、すなわち将来ガンの発症率が上がる、遺伝的影響があることは、被曝量にかかわらず放射線を被曝すればするほど増える。
現在、マスコミは確定的影響のみを報道しているが、確率的影響を無視するのではなく正しく伝えるべきであろう。「将来、ガンの発症率が増えたり、遺伝的影響がある可能性があります。ただし、被曝量が100mSv以下では問題ないとされています」と報道すれば国民も安心する。
d) 急性被曝と慢性被曝
被曝により受けた細胞の損傷は細胞の修復作用により元の細胞にもどることがあり、この効果は急性被曝よりも慢性被曝のほうが大きい。
e) 急性被曝の障害
放射線を短期間に全身被曝(身体の一部ではない)を受けた場合の致死放射線量を表2に示す。
表2 急性被曝の致死放射線量
致死放射線量 | 実効線量(Sv) | 説 明 |
5% | 2Sv=2,000mSv | 確率的に5%の人間が死亡する |
50% | 4Sv=4,000MSv | 確率的に半分の人間が死亡する |
100% | 7Sv=7,000mSv | 被曝した全員が死亡する |
前出のユーチューブ「シーベルトに関する総統閣下の見解」に急性被曝での死亡確率の場面があったので細く説明する。
③ 致死線量
“5%致死量が2Svだから、100mSv/毎時の4号機脇に20時間いると5%の人間が死ぬんだろう”
(解説)表2の2Svの放射線を被曝した場合、確率的に5%の死亡率となることをわかりやすく紹介している。
2Svの放射線を100人が被曝すると、その中の5%すなわち
100人×5%÷100%=5人
が確率的に死亡する。
6. 放射線の被爆防止
放射線からの被爆を少なくする方法は時間、距離、遮蔽の3つ。
a) 時間
放射線が発生している場所にいる時間を少なくする。
福島第一原発の施設内で作業をしている作業員などは少しでも被爆を避けるために短時間しか施設内にとどまらないことが行われている。
b) 距離
放射能の強さは距離の二乗に反比例するため、放射能を出している放射性物質の発生場所からの距離が2倍となると放射線量は1÷22=1/4 すなわち4分の1の放射線量となる。距離が10倍なら1/100の放射線量。
例として 福島第一原発の放射性物質のある建屋から50m離れている箇所の放射線量が30mSv/時(30,000μSv/時)の場合、900m離れた原発の出入口での放射線量を推定すると
30,000μSv/時×(50/900)2=93μSv/時
となる。
ちなみに、平常時の西側入口部の敷地境界での放射線量は0.04μSv/時
この放射線量は平常時よりどの程度高いのかは
93μSv/時÷0.04μSv/時=2,300倍
高いこととなる。
c) 遮蔽
放射性物質から発生する放射能は、前出の放射線の種類と透過力に示すように遮蔽を行うことで封じ込めることができる。
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- 2013年02月05日 16:09 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
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2011年3月25日
原発情報 (1)
福島第一原子力発電所の事故について
原発の概要と事故の状況
第1種放射線取扱主任者
要旨
1. 福島第一原子力発電所の事故 1) 地震、津波、原発事故 * 2011年3月11日、東北関東大震災による地震と津波の被害を受け東電の福島第一原発はすべての電源が失われた。 * 運転中の第1~3号機、運転停止中の第4~6号機いずれもコントロール不能となり次々と甚大な事故が発生し、現在でも復旧の行方は不透明。 2) 原子力発電所の概要 * 今回の事故に係わるマスコミの報道は分かりやすいとは言いがたい。 2. 原子力発電所の機種 * 原子力発電所の機種は、福島第一原発で採用されている沸騰水型と加圧水型の2つがメイン。 * 沸騰水型は圧力容器内で発生した蒸気を直接タービンへ送り発電するタイプ。 3. 福島第一原発の設備の概要 1) 設備の内容 a)出力 b 耐用年数 * 原発の法定耐用年数は16年。その後、耐用年数を40年以上に延長。 c)東京電力 d)施工メーカ e)燃料 * 第1~6号機の燃料はウラン。第3号機のみ、MOXとよばれるプルトニウムをウラン燃料棒に混入している疑い。プルトニウムは最も放射性の毒性が強い。 2) 設備の構造、配置など 4. 福島第一原発事故の状況 1) 事故の経緯 a)原子炉本体 b)使用済み燃料プール c)その後の経緯 d)将来どうなるか? * 施設内において放射性物質を完全に封じ込めないといつまでも放射性物質が飛散し放射能を拡散し続ける。 * 最優先の行うことは原子炉を冷却し続け、圧力容器内の燃料棒及び核燃料プール内の使用済み燃料棒の破損、それに伴う水素爆発をなくすことが最も重要 * 第二のチェルノブイリになるかも? * 今回の事故は、今後の原発の計画、建設、運転及び原子力の平和利用をどうするべきかを日本及び世界の人々へ突きつけた。 5. 参考(事故発生以降、原発に関するメルマガの内容) |
△ページトップへ戻る 1. 福島第一原子力発電所の事故
1. 福島第一原子力発電所の事故
1) 地震、津波、原発事故
2011年3月11日(金)PM2:45の東北関東大震災による地震と津波の被害を受けた東京電力(以降、東電と呼ぶ)の福島第一原子力発電所(以降、福島第一原発と呼ぶ)では、誰も想定していなかった規模の津波の襲来により通常電源、ジーゼル発電機による非常用電源共にすべて失われた。
このため、運転中の第1~3号機、運転停止中の第4~6号機いずれも、コントロール不能となり次々と甚大な事故が発生し、現在でも復旧の行方は不透明である。
2) 原子力発電所の概要
福島第一原発の事故以来、今日(2011年3月25日現在)2週間経過したが、まだ事故が収束するのか、あるいは拡大するのか予断を許さない状況である。
新聞、テレビでは毎日のように福島第一原発の状況を報道している。小生、事故発生時からテレビ、新聞、ネットの情報を収集し全体の概要を理解しようとしたが、どうもマスコミの報道は分かりやすいとは言いがたい。
今後も当分福島第一原発の報道が続きそうなため、状況を正しく理解し判断できるような資料を提供することとした。
状況を知るためには、まず、福島第一原発の原子力発電所とはどのようなものか?を知っておくと、理解しやすいので、その概要を載せる。
2. 原子力発電所の機種
原子力発電所の機種は、福島第一原発で採用されている沸騰水型(BWR Boiling Water Reactor)と加圧水型(PWR, Pressurized Water Reactor)の2つがメインである。
沸騰水型は原子炉圧力容器(以降、圧力容器と呼ぶ)内で発生した蒸気を直接タービンへ送り発電するタイプ。
加圧水型は圧力容器内で圧力をかけた高温高圧水を蒸気発生器へ送りそこで熱交換を行い蒸気を発生させタービンで発電するタイプ。
表1 沸騰水型と加圧水型それぞれの運転時の機器の圧力と温度
項 目 | 沸騰水型 | 加圧水型 |
圧力容器内の圧力 | 71kgf/cm2 | 157kgf/cm2 |
圧力容器内の温度 | 290℃ | 320℃ |
タービンへ供給する時の圧力 | 71kgf/cm2 | 60kgf/cm2 |
タービンへ供給する時の温度 | 290℃ | 270℃ |
これらから、沸騰水型の運転時の圧力容器内の圧力は71kgf/cm2、温度は290℃である。
3. 福島第一原発の設備の概要
1) 設備の内容
福島第一原発の第1~6号機の設備概要は以下のサイトを参照。
a) 出力
通常発電容量は電気出力で表し、
第1号機は46万kW(キロワット)=460MW(メガワット)=460,000W
マスコミにより発電所の出力を○万kWと呼んだり、○MWと呼んだりしており、これらになじみのない一般人は混乱しがちである。
b) 耐用年数
福島第一原発の第1号機は運転開始後40年経過している。原発の法定耐用年数は16年であったが、新規原発の設置がなかなか進まない、原発の経済性を火力、水力発電所と比較すると原発の優位がなくなることから、その後耐用年数を40年に延長したが、2011年の2月7日更に延長できるように原子力安全・保安院(以降、保安院と呼ぶ)が東電へ承認した。
c) 東京電力
正社員数:36,000人
系列会社社員数(連結会社):17,000人
d) 施工メーカ
福島第一原発の施工メーカは第1号機:アメリカのGE、第2、6機:GE+東芝、第3、5号機:東芝、第4号機:日立。
現場の運転、日々のメンテナンス、定期転換などは東電系列の関連会社(いわゆる子会社、孫会社)から施工メーカへ発注され、施工メーカからまたその下請け会社へ発注されている。
e) 燃料
第1~6号機の燃料はウラン(5%に濃縮したウラン235)を使用している。
しかし、第3号機のみ、ウラン燃料の有効利用を図るためMOX(Mixed-oxide fuel)とよばれるプルトニウムをウラン燃料棒に混入されているとの疑いがある。
政府、東電ともにMOXの存在をあいまいにしているが?
プルトニウムは放射性物質の中でも最も放射性の毒性が強くウラニウムの200万倍とも言われているため恐れられている。もし、プルトニウムが燃料棒の破損などで拡散するとプルトニウムから発生するアルファ線により被曝を受ける。特に肺に吸入された場合半減期が24,000年と長いため、一生被曝を受け続ける。
2) 設備の構造、配置など
福島第一原発の原子炉の構造、場所、配置図、圧力容器内の燃料棒の構造は以下のサイトを参照。
(削除されて見られない)
(削除されて見られない)
4. 福島第一原発事故の状況
1) 事故の経緯
a) 原子炉本体
地震直後、運転中の第1~3号機の圧力容器内に設置されている燃料棒(長さ4m)にすぐに燃料制御棒が挿入され核反応は停止した。しかし、直前まで核物質反応により圧力容器(圧力容器内の運転圧力は71kg/cm2、温度290℃、圧力容器の鋼板の厚さ16cm、内側に0.5cmのステンレス張り)、内の温度は高くなっているため、圧力容器内の水を循環して冷やさないと燃料棒が水面から露出する。その結果、燃料棒内に入っているペレット(溶点2,800℃)の温度が上昇しペレットを保護しているジルコニウム(融点1,200℃)管が溶けジルコニウムが水蒸気と反応して水素が発生する。圧力容器内には水と水蒸気のみで酸素がないため水素爆発の心配はないが、発生した水素は軽いため各種微細な隙間から漏洩し、原子炉格納容器(以降、格納容器と呼ぶ)を通り抜け、原子炉建屋(以降、建屋と呼ぶ)の上部に充満する。
事故発生後、第1号機、第3号機は、圧力容器内の燃料棒への冷却水の水位が燃料棒の上部から半分程度露出した状態が続き、その結果、ジルコニウムの融解、水素が発生し、漏れ出した水素が建屋の天井部に蓄積しついには水素爆発により建屋上部が崩壊した。
建屋はコンクリート厚さが1~2mもあるのに、水素爆発の威力はものすごくコンクリートを壊し、鉄骨だけの残骸だけとなった。
幸いなことに、水素爆発にもかかわらず、格納容器(運転圧力4kg/cm2、鋼板の厚さ3.0cm)の損傷はほとんどないようである。
しかし、第3号機では格納容器の下部に設置された水を貯める圧力抑制室が一部破損し、格納容器内の圧力が1kg/cm2へ低下した。
b) 使用済み燃料プール
当初、原発のトラブルは地震時に運転中であった第1~3号機だけと思われていたが、数日後に、いやもっと大きな問題は運転中、停止中を問わず各号機の建屋の中間部に設置されている使用済み核燃料プール(以降、核燃料プールと呼ぶ)の温度が、電源の供給が停止されたため上昇、水が蒸発、使用済み燃料棒が露出、その結果、今まで放射線をさえぎっていた水が無くなり、直接放射能が外部へ放射し始めた。更に水がないまま放置されたままだと、燃料棒の温度が1,200℃を超えジルコニウムが破損し、圧力容器内での燃料棒の高温化と同様な現象が起こり、水素が発生し水素爆発を引き起こす。
これについては、東電も保安院も原子炉に関係していた下請けの設計者なども予知できたはずなのに、結局、燃料棒が露出し、放射能が周囲に広がった後から報告があったため、うかつに建屋などへ近づけない状況へ陥った。
核燃料プールは巾16m×10mm×水深10m=1,600m3
燃料棒は先端から4mの深さまで水に覆われていると外部へ放射能は出ない。(原子力施設を見学した人は、放射性物質が水深4mより下方に置かれ、放射性物質からほのかに青いチェレンコフ光を見たことがあるかもしれない。また、北朝鮮の放射性物質の保存場所の写真を見ると水の中に丸い燃料棒容器が沈んでいるのが見える)。
結果として、核燃料プールの水位が低下し、使用済み燃料棒が露出、水素が発生したことにより第4号機で水素爆発が発生しているようで、しばしば黒煙が上がったりしている。
c) その後の経緯
上記は事故後、10日経過時点迄の出来事であるが、第1~3号機の圧力容器内への海水注入の継続、第3、4号機の使用済み核燃料プールへの自衛隊、消防による海水の放水によりなんとかこれ以上の危機は避けられたようである。
並行して各号機への外部電源の接続、中央制御室への電源供給などが続けられているが、施設内の放射線量は強く、遮蔽や防護服などの放射線対策を十分に行わないと施設内に立ち入れない状況である。
また、圧力容器内で燃料棒が高温になったことによる燃料棒の破損、格納容器の圧力が上がったことによる内部の空気の外部放出、核燃料プールの水位低下による使用済み燃料棒の破損、水素爆発による原子炉建屋内に封じ込められていた放射性物質の大気中への飛散、加えて、放水や降雨により放射性物質の敷地、周辺の土壌や海への拡散が広がっている。
d) 将来どうなるか?
まだ、施設内からは放射性物質による強い放射能が発生し続けている。
施設内においてこれらの放射性物質を完全に封じ込めることを行わないといつまでも放射性物質が飛散し放射能を拡散し続けることとなる。
今はしかし、原子炉を冷却し続け、圧力容器内の燃料棒及び核燃料プール内の使用済み燃料棒の破損、それに伴う水素爆発をなくすことが最も重要なことである。
原発の事故は通常の工場の火災や爆発事故とは異なり、事故に伴う放射性物質の飛散を伴っているため、その影響は途方もなく大きい。
拡散した放射性物質からはいつまでも放射能を放射し続ける。
福島第一原発からどの程度範囲がチェルノブイリと同様、立入り禁止区域になるのであろうか?
今回の事故は、今後の原発の計画、建設、運転及び原子力の平和利用をどうするべきかを日本及び世界の人々へ突きつけた。
5.参考(事故発生以降、原発に関するメール)
福島第一原発事故の発生後、情報メルマガの数人のメンバからこの件に関するメールを受け取ったため、そのメンバへは、逐次原発に係わる新しい情報を流し続けた。
その時に送信したメールを順に添付する。
なお、宛名など、個人名を特定できる箇所は省くか、◎◎などに代えた。
第1回 2011年3月12日12:59 福島原発は大変なことになっている
まだ余震は続いているが、峠をこえたか?
今一番の懸念は福島第一原発、第二原発とも、炉心を冷却するための電源が作動せず、放射能濃度が施設内で上昇している。中央制御室のレベルは通常の1,000倍を超えた。周囲の住民の避難指示が出ており、今後は予断を許さない。一つの炉では炉心の冷却水レベルが燃料棒より下がり予想もできない事態になる恐れもある。
政府の発表は、安全だとばかり言っているが、原発周辺のモニタリングポストの放射能の値は、施設正門で通常値の8倍となってから発表をしなくなった。
ネットで最新データを入手し続けているが、政府の大本営発表は信じられず、チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故の再来となるかもしれない・・・
ことさら煽る必要はないが、最新の本当の情報を隠さずに発表しないと、だれも政府や役人を信用しなくなる。
第2回 2011年3月12日14:19 福島原発第一号機で炉心溶融が起きている
12日PM2:11原子力安全・保安院が福島原発第一号機で炉心溶融が起きている可能性が高いと発表した。大変な事態になりつつある。
先を見越した報道が必要であるが、いつも結果だけ・・・
第3回 2011年3月12日18:07 福島第一原発で爆発が発生
★福島原発
福島原発は第一号機の原子炉建屋がたぶん水蒸気爆発だと思うが、爆発と共に吹き飛び、相当な放射能が外部へ流出した。画像を見たが、ほんとうに瞬時に建物が爆発しなくなっていた。
敷地境界での放射能レベルは1,000マイクロシーベルトで人間が1年に浴びる放射線を1時間で浴びる量に匹敵する。
敷地境界は原子炉施設から1.5km離れているので、施設内はものすごい放射線量であろう。
放射能のレベルは距離の二乗で減衰する。
これで当分、福島第一原発付近は放射能で汚染され立入り禁止となるだろう。
一般人の批難をしているが、今後自宅に戻れるかどうかは今後の対処しだい。まだ、燃料棒の冷却は不十分なままだし、放射能を止める手段は人力での対応だろうが、一号機付近では人が近づけないほど高い放射能レベルなのでもうお手上げ?
どうなることやら・・・
チェルノブイリと同じで、周囲○○km以内は立入り禁止で、福島第一原発は使えなくなり、関東地方の電力事情は低下し、最悪の事態になりそう。
ごてごての東電、政府の対応が今回の事態を招いたようである。早めに冷却水や電源の確保をしておれば、違った結果になったであろうが・・・
第4回 2011年3月13日12:37 原発は大変な事態が続いている
★地震&津波
余震も少なくなり、大きさも小さくなり鎮静化してきた。
テレビでは被害地の現状を映し始めているが、行方不明者が10,000人以上いるようで、今後明らかになるだろう。海岸線沿いの地域では、地震に伴う地盤沈下により30~70cm沈下し、津波の海水が引かないので、市街地へ近づけない状況。
自衛隊が10万名(総数は60万人)を動員して被災地で活動を始めた。すぐに、行方不明者の捜索、遺体の収容作業を最初に行い、次に、道路の復旧、救援物資の輸送などを行うので次第に現状が明らかになるだろう。
★原子力発電所
福島第一原発の一号機は海水を注入し冷却しているので、なんとか収まった感じ。
その代わり、3号機が今度は冷却水の供給が止まり、炉内の冷却水量が減少し、第一号機と同様な現象になりつつある。
対策をとっているようであるが・・・
第5回 2011年3月13日23:42 原子炉は制御不能
★地震&津波
地震の被害は甚大で、10,000人規模の死者がでるようである。被災地が広範囲にわたり、自衛隊、警察、消防などが現地へ入れない状況。
それでも、次第に状況が確認でき様子がわかってくるので、経緯を見守るしかない。
★原発
福島第一原発、1、3号機とも、海水を原子炉内に注入しているにも係わらず、燃料棒、長さ4mのうち1~2mが水に浸かっていない状況が続いており、炉心溶融が起こっている可能性があると東電が発表。
施設の中央制御室、敷地境界での放射能測定値の発表もなく、原子炉はどうなっているのか不明。
原子炉の冷却が不能となり、次第に大変な事態になりつつあるようである。
東電の何とか原子炉を使い続けたいとの意向が強く働き、初期の抜本的な対策、すぐに海水を注入するとか、外部電源車の手配などもっと初期の段階に行っておけばこのような事態までならなかったであろうが・・・
東電の社長は釈明、説明にはまったく出てこないし、どうしようもない役人同様の会社である。
★計画停電
東電の原子力発電所の停止による電力不足のため、東電の管轄で計画停電をすると発表。
第6回 2011年3月14日0:48 大地震の消息情報 (情報メルマガの全員へメール)
各位
今回の大地震により、親戚、友人などの消息が分からない場合、消息情報を提供したい場合には、添付の消息情報で調べることができます。
グーグルが提供している、消息情報(person Finder)を使ってみてはどうでしょうか。
http://japan.person-finder.appspot.com/?lang=ja
○○
第7回 2011年3月14日1:14 原子炉の炉心溶融
★炉心溶融
福島第一原発の第1号機、3号機に続き、運転していて停止した2号機も冷却がうまくいかなくなり、海水を冷却用に使用することとした。
第1号機、3号機とも燃料棒が2m程度冷却水(海水)に浸かってない状況なので、炉心溶融が始まっていると思われる。
海水を高温の燃料棒へ入れると、海水が蒸発して塩が燃料棒へ付着し、そのうちに原子炉の中が塩で埋まってしまい、冷却ができず炉心溶融が加速されるかも?
重大な事態になりつつあり、どうなるか予断を許さない。
制御室の運転員は防護服を着て作業をしていると思うが、それでも放射能を相当浴びているだろうから、あとが心配。放射線を浴びると、数十年後にガンの発生率が上がり、長生きできなくなる。
女性、子供、今後子供を作る可能性がある男性は、放射線障害により子供に障害が起こるリスクが高まるので、真っ先に逃げるべき対象者。
東電の社員は、一般従業員より高給をもらっており、官僚的な仕事しかしてなく、実際の現場での運転管理は下請け会社や建設した東芝の社員や子会社、孫受け会社の従業員がほとんどのため、これらの従業員が被爆にさらされている。
東電の正社員はたぶん、運悪く事故時に現地にいた運転員以外は近づかないで逃げているのだろう?
社長や東電の技術責任の重役、部長クラスが陣頭指揮により現地で対処しておればまだ救えるが?どうかな?
東電の重役には通産省の天下り官僚ばかりで、今回の事態が起こっても会見に顔もださないし、原子力安全保安院(通産官僚)の会見は要領を得ないし、どうしようもない。
上層部のだらしない官僚体質が事態をますますダメにしていったのであろう。
もはや、政府も保安員も東電もどうしてよいか分からず、現地の一部の運転員と下請け業者とで状況を把握し、東電本社、政府へ許可を得て、それから行動しているようにも見える。行動を起こすのが遅く、その間に事態はますます悪化している。
★計画停電
計画停電の除外地域は東京都内、横浜市中区の政治、経済の中枢地域である。
★インフラ
計画停電があっても、電車、飛行機、新幹線、地下鉄は通常通り動いている。
ただし、東北地方へは道路が寸断され、今後救援物資の移動優先のため、行くことはできない。
計画停電では、都内は除外されたので、レストランもホテルも支障なく使える。
第8回 2011年3月14日18:13 友人の◎◎さん無事、原発制御不能
★津波
津波による災害状況が分かるにつれ、人的被害がものすごいことがわかってきた。死亡者は数万人に上るであろう。
★◎◎さん
一緒に仕事をしてきた◎◎さんへ、昨日安否メールをいれていた。○月○日から実家に住んでいるお母さんの介護のために〇〇へ行っていた。
昨日は連絡がなかったが、今日(3月14日)の昼過ぎにメールが入っていて安心した。
◎◎さんからの携帯メールを添付する。
*******************************
△△様こんにちは
今日午前、メール受信しました。
三月上旬、〇〇の実家に来ました。家は高い場所にあり、津波被災なく、母、私そして身内並びに家も無事です。
本日零時に電気復旧し、ありがたみを感じました。水、ガスはまだです。
○○港の太平洋側に○○町があり、○○駅で2メールの津波でした。木造家屋も流されていません。(その先の海側は不明)
市は約50年前のチリ地震津波の経験から、地震直後から避難サイレンと広報が鳴り響きました。市の張り紙では市内死者○○名、学校等避難者○○名とのこと。
先程お昼頃も避難サイレンが鳴っていましたが、津波は誤報だったようです。
大変なこといろいろありますが、万一、実家に来ていなければ、心配するだけなので、こちらに来ていてよかったです。
では、また。
(携帯の圏外表示時間帯多し)
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★原発
福島第一原発の3号機の建屋が11時1分に水蒸気爆発を起こした。1号機とは、異なり2回の爆発と垂直にものすごく爆発し、直後にちょっと黒煙が上がった。また、建屋に備え付けの点検&据付用クレーンと思われるものが落下するのが見えた。
何十トンもの重量を持つ炉心の鋼鉄製の蓋を持ち上げるためのクレーンを吹き飛ばすほどのものすごい水素爆発である。3号機では建屋の骨組みも相当破損し、内部の配管、機器類も相当損傷していると思われる。
東電、政府の発表では、原子炉容器には被害はなく、放射能レベルも上がっていないとの事であるが・・・
爆発に伴い、水素ガスと一緒に、燃料棒の溶融、1,200度以上により生成した放射性物質のセシウム(半減期30年)などの、たぶんそれほどの濃度ではないと思われるが大気中に飛散している。それでも、周囲に拡散しているので、数十年間、周囲は汚染されたままであろう。
第1号機、3号機ともに海水を注入しているが、注入している海水は全量蒸発しているのであろうが・・・
第2号機も冷却系統がストップし、原子炉格納容器内の圧力が上昇し始めたため、政府では海水の注入を準備し始めた。また、水素爆発により建屋などの破損を防ぐために建屋に孔を空ける準備を始めた。
第1号機が原子炉格納容器内の圧力増(通常運転圧力4kg/cm2が8kg/cm2)となった。通常の設計圧力の倍の圧力がかかっており、長時間圧力が高いまま継続すると原子炉格納容器が破損の恐れがあるので、内部の圧力を下げた。そうすると、原子炉圧力容器内から水蒸気の蒸発が高まり、圧力は下がるが、同時に水がなくなる。
その結果、多量の冷却水を投入しないといけないが、水を供給するポンプの能力不足から燃料棒の上に通常3.5mほど貯まっている水が蒸発してなくなり、燃料棒がむき出しとなる。第1号機、第3号機とも燃料棒4mの長さのうち2mが露出したままの状態が続き、燃料棒を収めている保護間が溶け出し、同時に水素が発生し、その水素が圧力容器から漏れ出し原子炉格納容器から建屋へ漏れ、ついに建屋の天井部にたまり、酸素と一緒になり水素爆発を起こした。
(水素、原子番号1、水素分子2は軽い物質でかつ漏れやすく、すこしずつ目に見えない隙間から漏れ出す性質を持っている。ちなみに酸素は原子番号16、酸素分子は32)
東電も政府も第1号機において、原子炉格納容器の圧力低下作業、水の供給などを行うと、燃料棒が露出し、水素が発生し、その水素を抜かないと爆発するのはわかっていたはずだし、想定していなくとも、第1号機の水素爆発により経験したはずなのに、第3号機で同様な爆発を起こし、また、第2号機でも第1、第3号機と同じ道を歩んでいる。
まったく、学習効果がない。予想できることを事前に対策をしておけば、被害を少なくできるはずなのに、何もしていないようである。
現場に東電の社員がいないのなら、総動員体制で必要な人員や機材をすぐに送り、先を見越して手を打つべきなのに・・・
東電、保安院などの社長を含めた上層部が情報を隠蔽し、悪いことは伝えない、安全です、被爆の程度は通常程度とかの説明ばかり。素人は騙せても、ちょっと放射能や原子力の勉強をした技術者には、ほんとうのことを言っていないことは明白である。
NHKの昼のニュースでは第3号機の爆発時の映像は放映せずに、爆発後の水蒸気が立ち上っている画像しか出してなかった。民放は爆発のすさまじい状況を放映しており、NHKへ、悪いことを出さないように指示している政府の意向は情報の隠蔽そのものである。
放射線に関する限り、浴びてしまったあとではまったく手遅れ。放射線を出さないことが大前提。それが、今回の事故で完全に崩壊した。
もう、放射線を浴びないようにするしかなく、そのためには原子炉から少しでも遠くへ離れることが一番の予防。
東電、保安院の説明者のいい加減な発表。逃げ回っている菅総理、東電の社長はひどい。
その点、枝野官房長官は弁護士出身なのに、原子力のことを即理解し答弁している。ほとんど寝ていないようであり、かわいそうなくらい、1人で頑張っている。
ダメ菅と首をすげ替えたいくらいである。
また、現場の東電の下請けの作業員、自衛隊員などは、防護服を着ていても、相当被爆していると思うが、その実体やデータは公表されるのであろうか?
東電の社長や通産省の天下りの副社長などは、のうのうと安全なところで過ごしていると思うと情けない。陣頭指揮をすべき自体であろう。社長の代替はいくらでもいるので、人柱と成るくらいの意気込みで対処すべきであろうが・・・
第9回 2011年3月15日11:57 福島原発の続報
★福島原発
福島第一原発の第2号機で朝6時ごろ爆発が有り、場所は原子炉格納容器の下部にある圧力抑制室。この結果、原子炉内の放射性物質が外へ流出し周囲の放射線量が急激に増加し、300mシーベルト(今まではマイクロシーベルトで1ミリシーべルト=1,000マイクロシーベルト)となり、放射線量が一挙に100倍以上となった。
これにより、原発内での作業は、防御服を着ていても人体に危険なレベルに突入し、一時作業中止となった。
そのほか、運転停止中の第4号機の建屋が燃えており、貯蓄している使用済みの核燃料棒が発熱している?
もう、福島第一原発は1,2,3号機とも海水を注入しているが、冷却の度合いは不明で、施設内の放射能レベルは危険な度合いまで上がっており、もう、作業員は迅速に動けないと思う。作業員の被爆が増えるにつれ、作業してよい許容限度をこえているかもしれない。
このような時こそ、東電の技術責任取締役、副社長クラスを現地に派遣し、正社員を東京から呼び寄せ、対応策をやらせればよいのに、現地にいる下っ端の社員にまかせっぱなしとなっているのであろう。現場も放射線をあびているし、やけっぱちのような感じがする。下請けも、もうこうなると作業をしなくなる、逃げる可能性が高い。
昨日の第2号機の冷却ポンプの燃料切れは、作業をする場所にいると被爆するため、点検などが遅れたことのように思える。だれもが、被爆する場所へ近づくのは避けたいのは当たり前。
だれもが逃げ出したくなる雰囲気かもしれない。
トップが陣頭指揮をすると、まるっきり現場の対応が違ってくると思うが・・・
東電の社員が放射線を浴びる現地にいく社員はいないであろう。このままなら東電の高給取りはすべて首、社長以下すべて入れ替えだろう。
★今後
もう、放射能レベルが上がり、今後ますます悪化するばかりなので、現場へ近づくことすら危険になる。もうすぐすると、作業員や運転員の被爆が増えて危ないとのことで作業を中止して撤退がありうるかも?
そうなると、もう手はつけられず、炉心溶融が拡大し、メルトダウンが始まるどうなるか予想もつかない。
初期の段階で東電が40年も使った福島原発1,2,3号炉を復旧して使おうと考えたことが間違いだった。
初期に、海水を注入する措置を準備してポンプ車をすぐに現地に派遣し、準備し、注入の判断をしていたら、このような大事には至らなかっただろう。
もはや、手遅れ・・・
★放射能拡散
炉心溶融や原子炉から水蒸気、排水などが漏れており、放射性物質が拡散しつつある。
粒子は大気にのって拡散するので、屋外へ出ないなどの対策が必要。
ただし、距離があるほど、濃度が薄まるので、東京ではこの程度ではまったく心配はない。
第10回 2011年3月15日11:57 福島第一原発、次々に難題発生
福島第一原発がますますコントロール不能となってきた。
★第2号
海水を注入しているが水位が不安定で燃料棒の上部2m(全長4m)が水面上。燃料棒の被覆管のジルコニウムが1,200度で溶けて水と反応し水素が発生している。水素は軽いので原子炉圧力容器、原子炉格納容器の隙間などから漏れて原子炉建屋へ拡散するが、2号炉では3号炉の水素爆発により、運よく建屋に孔があいているので水素爆発はないと思われる。
しかし、早朝の原子炉圧力容器の下部にある圧力抑制室付近での爆発により孔があき、放射能を帯びた水などが漏れている可能性が高い。
そのため、周囲の放射能の値が非常に高くなっている。
★第1~3号機
いずれも海水を原子炉圧力容器へ注入し燃料棒を冷やしているが、海水なので塩分が燃料棒、その他の配管へこびりつき冷却性能がおちてくるはずである。
当面は燃料棒を冷やせても、次第に原子炉圧力容器へ海水を注入しても、燃料棒の部分すべてが塩に覆われどうなることやら?
★第4号機
福島第一原発の第4~6号機は運転停止中だったので、原子炉内では燃料棒は入っているがまったく問題ない。
その代わり、使い終わった燃料棒を一時的に冷却するための冷却用のプール(深さ8m、たぶん前回の運転で使い終わった燃料棒4m長さの全本数の1/4を貯留している)の水温は通常25℃に保つためプールの水を循環、冷却塔で循環した水を冷やしている。
この循環するポンプを動かすための電源が使えないため、燃料棒はそのままプールに置いたままである。
電源がなくなり、4日経過と共に、プールの水温が84℃まで上昇した。今後、このままではプールの水温が100度を超え、水蒸気となり蒸発してしまう。
早急にプールに水を供給しないと、使い終わった燃料棒が加熱し、一部が高熱となりジルコニウムの被覆管を破損し水素が発生、同時に放射能が飛散する。
そのため、今朝、第4号機の建屋が火事になった。日本では消火をすることができず、どうしようもなく、米軍の処理班が出動して鎮火させた。
東電、自衛隊まったく非常事態への対応が遅くどうしようもない。米軍に感謝!!
4,5,6号機いずれも同じ状況なので、水を供給しないと危なくなる。
また、プールは屋根しかないので、水が4mの深さがあれば放射線は外へ出ないが、燃料棒が露出すると即、放射能が外部へ放射されだれも近づけなくなる。早急にプールの水位を4mに保つことが必須の事項。第1~3号機は燃料棒への水の供給がなくても、原子炉圧力容器の中にあるため放射能が外部へ出ないが、4~6号機では、水位が下がると即、放射能が外部へ出る危険な状態。
★東電、保安院
東電、保安院などは電源がだめになると停止している施設でも、このような状況になるのは、はっきりしていたはずになのに、なぜ、事態が悪化しどうしようもなくならないと報道しないのであろうか?
冷却プールで保管している燃料棒のほうがもっと危険と、2チャンネルでは記載が何度もあった。
このように、福島第一原発の状況は、時間経過と共に悪くなっており、目処はまったく立っていない状況。
対処療法ばかりである。現地の指揮をとる人間が全体を見て指揮をしていないのだろうし、東電本社の技術陣は現地にいないため、的確な状況がすぐにはわからず、情報が不明確なこともあり判断できないことも大きいと思う。政府の意向もあるのだろう。
やはり、このようなときには、東電の原子炉のプロが現地に入り全体をみて、今起きていることが他にも波及することを念頭に先を見越した陣頭指揮が必須なのに・・・
東電の上層部、たぶんもう子供を作る男性はいないので、被爆するのは覚悟の上で現地へ入るだけの技術者が誰もいないのだろうか?
官僚体質の自己保身ばかりの社員ばかりで構成された東電は、これで終わりだろう。
事故が収拾したら、通産の天下りの副社長や顔を出さない社長、技術系の役員はすべて首!東京本社の担当技術者も左遷は必須である。
現地で防護服を着て連日対処している、東電の運転員やたくさんの下請け、孫請けはもうやぶれかぶれで対応していると思う。彼らの健闘に期待したいが、バックアップしている東電の首脳陣、技術陣の対応がお粗末なので嫌気がさしているはずである。
現地の運転員や作業員の犠牲の上でしか、原発は守れないが・・・どうなるかな?
第11回 2011年3月15日11:57 静岡の地震&原発の人手がなくなってきた、人柱が必要か?
★地震
10:30頃、静岡を震源とした地震があり、○○でも震度○でかなり揺れた。
東北関東大地震は3回の地震の連続だったが、次第に別の地震が長野、静岡で発生しており、次はどこか分からない。静岡の地震ではどこも被害はない。
★福島第一原発
原発の作業員は全部で800名いる。たぶん3直4交代制なので、稼働中の3つの原子炉それぞれに200名が従事し、通常50名が運転や維持管理を行っていた想定できる。
今回の事故で、運転員や作業員は、放射能にさらされ続けており、許容被爆線量が厚生省の労働基準を超え、法律上、作業をしてはいけなくなるので、急遽、東電が政府にお願いして許容値をあげたものだろう。
東電には50,000人の社員がおり、今必要なのは、技術者よりも現場でバルブを閉めたりする作業が主体なので、誰でも良いと思われるため、東電の50代以上の社員を投入すれば、今既に被爆して将来発ガンの恐れがある運転員の代わりにすればよいのに・・・
どうして、このような分かりきったことをしないで、現場の運転員や作業員に人柱として、危険な作業にいつまでの従事させるのか?
それなら、東電の副社長クラスと技術系役員は現地で陣頭指揮、東京への情報伝達をするべきであろう。
★読売新聞ネット、2011年3月15日22時31分、
被曝線量の限度引き上げ…福島第一の作業員限定
テレビでわけのわからないことをしゃべっている東電の役員クラス、報道担当は現地から報道すればよいのに・・・
もう人員の不足は目に見えており、このままでは人力不足で原子炉は崩壊?
★原発の状況
さすがに4日目となり、くたびれてきたようで情報が少なくなってきた。
第4号炉においてあるプールの使用済み燃料棒が加熱してきて危険な状態になりつつあり、注水のためヘリコプターを使う案を検討中とか?
もはや、地上の消火部隊ではどうしようもないのかも?
数時間前に原発の30km以内?はすべて空を含めて立ち入り禁止区域としたと聞いたが、ヘリコプターは大丈夫なのか?
米軍の救援部隊の数名が被爆したとのニュースもある。
第12回 2011年3月16日18:11 福島第一原発、もう手がないかも・・・
原発はもう手の施しようがない状態。
福島第一原発の第1~3号機は運転中だったため運転停止後、圧力容器内へ海水を注入しているが、いずれも燃料棒4mの長さのうち2mは露出したままとなっている。1号機では計器の故障で水のレベル測定が不能。海水を注入しても一向に水位が上がらないのは、海水供給用のポンプの能力不足か、配管のあちこちに塩の塊ができ海水の投入ができなくなってきているかも?
塩分の主体の塩化ナトリウムの融点は700℃、沸点は1,400℃なので、燃料棒の近傍では塩は付着していないだろうが、温度が低くなるとすぐにあちこちに析出して固体となる。配管や容器の内側にびっしり付着しているのではと想像する。
今朝、第3号機と4号機の建屋の写真が公開されたが、建物は残骸となっており、格納容器は無事であろうが、その周囲の機器、電気設備類はまったく破損して使えないと思われる。第4号機は昨日の発表では8m角の穴が水素爆発で開いたといっていたが、写真を見ると天井部はかなり抜け落ち、壁も8mどころではなく、惨憺たる状況。
ちなみに、建物の壁圧は放射性物質や放射能を遮蔽するため1~2mのコンクリート厚さがあり、それが、一瞬にして破戒させる水素爆発の威力はすさまじい。
今のところ、第1~3号機の原子炉圧力容器内の燃料棒は半分むき出しであるが、なんとか安定しており、このままたぶん数週間維持できればなんとかなりそう。
問題は第3、4号機の建屋の中間部に設置されている使用済み燃料棒のプールの水温が水を循環し冷却できないため、温度が上昇していることである。
平時の水温は40℃で水素爆発があった第4号のプールではたぶん沸騰し水位が下がっていると思われる。水位が下がると、直接放射性物質や放射能が外部へでてくるため、昨日から敷地内や入口部の放射線レベルが急激に上昇している。
入口部で6.4ミリシーベルト(=6,400マイクロシーベルト、平時はわずか0.04マイクロシーベルト)と格段に大きな値となっており、一般人が1年間に浴びる放射線をわずか15分入口部にいるだけで浴びてしまう。
ただし、放射能のレベルは常に変化し、それ以降低下しているが・・・
第3、第4号機のプールにいかに水を供給するかが最大の課題。
敷地周辺の放射線レベルが高いため、作業員は防護服を着てもせいぜい10分程度の作業しかできず、どうしようもない。
新たに、新規の作業員を多量に動員したとの情報はなく、現場の作業員は被爆し続けながら必死の作業をしており、なんとか助けてあげたいが・・・
やっぱりというか、原発から5kmの場所にあった保安院の事務所の関係者は被爆を恐れて早々と逃げ出し、安全な場所に保安院の現場事務所を移した。これにより、施設と保安院との連絡がうまくとれなくなり、情報の共有がますます困難となった。
保安院、東電上層部、社員の自らの保身と、現場任せの対応には怒りを感じる。
また、危ないことを自衛隊に押し付ける対応も疑問がある。
東電、保安院の社員なども一緒に対応すべきであろうが・・・
なお、地上からの給水が難しいため自衛隊のヘリコプターによるプールへの給水を検討し、そのため、施設上空の放射能レベルの調査をしたが、あまりに放射能が強く断念した。
ただし、ヘリコプターによる給水は、給水容器8m3しかなく、海水を積める実際の量は半分の4m3程度。プールの保有推量から考えると、相当の回数海水を注入する必要があり、できるのかとの疑問もあるが、やらないと一刻一刻、事態が悪化する。
もう、作業員はばてばて、被爆限度を超えているだろうし、東電社員の現地への派遣しか手はないのに、社長命令でもしないと誰も現地へ行かないのだろう。
社長が自ら現地へ入れば、止む無く幹部クラスの社員は付いていくだろうが、社長命令程度なら、平社員では会社を辞めるのが相当いそうである。
第13回 2011年3月17日9:53 第3号炉への水の投入を開始
福島第一原発へは機動隊が4m3の放水車で放水の準備を始め、放射能の濃度を確認しながら第3号機の使用済み燃料棒プールへ注入する予定。また、並行して自衛隊によるヘリコプターによる上空から8m3の海水を入れるため準備している。
地上と空の両方から対策を行う手はず。
燃料棒プールは縦横それぞれ20m、深さ10m、燃料棒の長さ4mなので、概略20×20×4=1,600m3の水が必要。プールの水が高温になった使用済み燃料棒により沸騰しているため、最低でも数百m3を入れればとりあえず沸騰は収まるだろう。
早くしなくてはいけないが・・・
AM9:45 ヘリコプターから水が第3号炉へ投下された。もう一機のヘリコプターも値被いているので投下される予定。
アメリカの無人偵察機が1万5,000m上空から、福島原発の状況を常時観察して写真やその他の情報を提供することとなった。
日本だけでは対処できないが、他国の支援は大変助かり、感謝!!
韓国も中性子の発生を抑えるホウ素を多量に支援するとのこと。感謝!!
第14回 2011年3月17日17:47 日本で政府の報道規制が強化された
★福島第一原発の状況
現在PM5:30
30分ほど前までNHKで一番あぶない第3号機の使用済み燃料棒を冷却しているプールの水位が下がり放射性物質が外部へでているため、午前中に自衛隊のヘリコプター4機による給水が行われたが、必要水量、たぶん数百m3なのに、たったの8m3×4=24m3。それも一部が第3号機へ投入できただけで、ほとんど効果はなかったようである。
そのため、昼頃から警視庁機動隊の放水車による放水を行うこととした。
何が何でも水をプールに入れないといけないのでもう最後の手段と思われる。決死隊でもなんでもよいから早くやらないと手遅れになる。
現地の放射能のレベル調査、やり方などの事前準備に時間がかかり、やっとPM5時から放水とのことで放映していた。
また、自衛隊の放水車11台も待機し、警視庁とは別に放水する準備をし、幕僚長の記者会見も行われた。
会見は、明確かつ具体的で、今までのわけの分からない、ほとんど顔を出さない菅総理や、東電、保安院の不明確、不明朗な発言とはまったく違っており、これなら任せられるとの感じを受けた。
すぐに放水が始まるかとNHKを見ていたら、急に現地からの放映をやめ、津波の被害状況の画像ばかり始めた。民法もまったく同じである。
完全な政府による言論統制、放送統制がかかっている。
災害時に、国民のだれもが一番の関心事をまったく知らせないのは最悪の政権。
社会主義国、中国や北朝鮮とまったく同じ行動を日本政府が取るとは・・・
開いた口がふさがらない。
今ごろ、警視庁は放水しているのか、その結果は?
NHKや民放のヘリコプターは間違いなく、その状況を見て、録画しているはずであるが・・・
このような大事なことを知らせない政府は、まったく信頼できない。
結果は、どうせすぐにわかるのに、・・・
これで、民主党も終わり・・・といって自民党はまったくダメで元に戻ることはありえない。
当分、漂流する日本、このまま停滞し日本の没落が急速になりそう。
第15回 2011年3月17日18:09 放水はまで実施されていない
6時になって、NHKが再度、現場からの中継を始めた。
警視庁の放水は6時からとか、予定より1時間遅れている。
それでも、放映が行われており、ちょっと安心。
報道局や政府に相当な抗議があったためか?
それまで、まったく放水の報道はどうなるとかは言明しないまま、現地からの中継が終わったので、誰もが不信感を持ったが・・・
放送では、放水が遅れた理由が、水の放水により水蒸気爆発の恐れで破片が飛び散る、東電職員の避難に時間がかかっているとか?
今日昼ごろから地上放水の話はでており、どうなっているのか?
夜間になり、30km離れたNHKのヘリコプターの現場の映像は暗くてわかりにくくなった。
報道関係に現場の事情を知られたくないために遅らせていると勘ぐられてもしかたがない。
なぜ、周囲が見えない、夜になって放水するのか良く分からない。昼間の明るい時にやれば、警視庁の機動隊も自衛隊員も周囲がよくわかり安全であるし、どうなったかが一目瞭然とわかるのに、まったく理解に苦しむ。
第16回 2011年3月18日14:46 第3号機のプールに水を入れている
★福島第一原発
今日(3月18日)PM1:50から、自衛隊の放水車7台による合計50m3の水を第3号機の使用済み燃料プールへ投入する作業を開始した。
昨日は夜間のため、様子が分からなかったが、今日は昼間でかつNHKが中継しているので様子が良く分かる。
高圧放水車でプールへ放水しておりかなりの水がプールに入っているようである。
昨日のヘリコプターによる散水はせいぜい投下水量(30m3)の1割程度しか入っていなかったようであるが・・・
使用済み燃料プールの場所、サイズなどは示されてない(今までどの新聞、報道でもこれら及び建屋に寸法、設備の設置場所)などは概略しか発表されず、非常事態にもかかわらず、国民へ必要な情報が的確に伝えられていない。
余計なことは知らせない、国民は何もしらない、知る必要はないとの見解か?
しかし、プールからの水の蒸発量が1日平均50m3なので、今回の放水分がはいれば、今日蒸発する水だけは補給できる。
ただし、水量が減ったプールの水を増やすにはまったく足りない。
プールの縦横は大体20m×15m程度なので、1m水深を高くするためには300m3の水が必要となる。
やはり、放水車1台(5m3~10m3)に頼るのではなく、海水あるいは上水を常時プールに供給できるように、放水車をつなぐか、ホースを連結して水を供給できるようにしないと、そのうちに、作業員の被爆量が増え、作業に加われなくなる。わかっているけれど、いまは少しでもプールに水を入れることが必須の条件であることはわかっているが・・・
当面は、作業に従事する作業員をたくさん確保し、1人1人の被爆量を減らして対応するしかない。
現在、第2号機へ電源を供給する作業が行われており、少しでも早く電気が使えるようになると、冷却水ポンプなどが使え、非常事態を回避できる。
しかし、電源の供給、地震や水素爆発などで壊れているかもしれない機器類、モータ類が稼動するかどうかを確認するためには電気、機械の作業員は放射能レベルが高いところで作業を行う必要がある。被爆を抑えるためには、たくさんの作業員が分担した10分程度、場所によっては1分程度の作業となり、効率が悪い。
しかし、誰かが、絶対にやらないと、いつまでたっても暫定的な放水作業を長々と行うことはできないため、或る程度無理をしてでもやる必要がある。
このような時こそ、東電の正社員の作業員が行い、同時に現場に向かうのは設計、管理職が放射能の監視をやるのが筋であろう。
東電の役員などは東京でのうのうと説明しているではまったく世間の応援をうけることはできない。
東電の社長や保安院のトップ及び菅総理は雲隠れして姿もみせず、逃げておりまったくひどい。
第17回 2011年3月19日11:37 グローバルホークの映像
★毎日新聞ネット、2011年3月19日、
東日本大震災:福島第1原発事故 米軍無人機の映像、日本政府が公開に慎重
(削除されて見られない)
第18回 2011年3月19日23:52 落ち着いてきたので、ちょっと休憩
今日は、福島第一原発に大きな変化がないから、この関係のメールはない。
地震、津波が発生してから原発情報にはらはらする毎日だったが、やっと、悪いながらも落ち着いてきたので、ちょっと休憩。
第19回 2011年3月20日0:28 東北関東大震災&福島第一原発(情報メルマガの全メンバ)
各位
★東北関東大震災
3月11日の3時前に発生した東北関東大震災に関し、家族や友人などは大丈夫だったでしょうか?
津波による被害からの復興には、相当日数がかかりそうです。日本国民の1人として、関東、東北地方在住者は、計画停電に協力すると共に、無駄な電気を使わない、必要箇所のみ電気を使う、不要不急の日用品を買い込まないことで協力しましょう。
★寄付、義捐金
そのほか、物品の寄贈、寄付などが始まっていますが、被災地で必要な物は地域によりかなり異なりますので、寄付するのなら現金による義捐金が一番使い勝手がよさそうです。
しかし、寄付、義捐金をめぐる詐欺行為も発生しており、十分注意して寄付、義捐金を行ってください。
一番間違いないのが、日本赤十字社への義捐金です。
ユニセフへの義捐金は一部がアフリカの子供達への義捐に使われる、経費として中間搾取されているとの情報もあり、本当に津波の被害者へ届いているのか疑問です。
★福島第一原発
福島第一原発の原子炉格納容器の損傷、燃料棒破損、水素爆発など、地震、津波の発生による災害よりも原子力発電所の事故が日本の命運を左右する事態となっています。
誰もが、原発の情報にクギ付けとなり不安に駆られて過ごしてきたことでしょう。
それも、やっと1週間経過し悪いながらもこれ以上の炉心溶融、水蒸気爆発などは押さえられたようです。放水車による海水の注入、通常電源の引き込み開始により第1~6号機まですべて安定してきました。
これにより今日一日、安心してテレビの放送を見ることができたことでしょう。
各人、原子炉の事故により、原子炉、放射線にかかわり相当な専門用語を耳にし、理解してきたことと思います。
そのなかで、勘違いしやすい放射線の強さのレベルを示すシーベルトについて、わかりやすい映像を入手しましたので紹介します。
海外の情報メルマガのメンバからつい先ほど入手したものです。
ユーチューブの映像にシーベルトについて大変分かりやすく、かつ日本の事情に精通した翻訳がされておりびっくりです。
ぜひ、見てください。
http://www.youtube.com/watch?v=K_-Vgp-zck8
(削除されて見られない)
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- 2013年02月05日 14:07 |
- 福島原発事故(規制 被曝)
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