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人生と生活に役立つトレンディな情報マガジン(愛称:人生トレマガ)

目次 電子書籍(本 自炊 著作権) 


番号

タイトル

情報番号

サブタイトル

発行年月日

286電子書籍化、スキャンスナップ、メンテナンス、DIY雑情報 (36-8)


電子書籍化(自炊)に欠かせないスキャンスナップのメンテナンス

2022年3月11日
  277スキャンスナップS1500、フィード/排出ローラーの交換、シリコンチューブ雑情報 (36-7)

スキャンスナップS1500のフィード/排出ローラー交換 (自分で簡単、安価にローラーを交換する方法)

追記2023年9月18日
2021年11月7日

93

電子書籍

著作権

雑情報 (36-6)

電子書籍化に関する最新情報&著作権

20101025

92

電子書籍

情報

雑情報 (36-5)

電子書籍化の最新情報

20101022

91

電子書籍

自炊 スキャン

雑情報 (36-4)

自炊(電子書籍化)の具体例、本のスキャン編

20101021

90

電子書籍

自炊 裁断

雑情報 (36-3)

自炊(電子書籍化)の具体例、本の裁断編

2010109

89

電子書籍

自炊

雑情報 (36-2)

本を自炊(断裁+スキャン)し電子書籍として読もう

2010917

88

電子書籍

雑情報 (36)

本から電子書籍への大変革が始まった

2010915

21

勉強

雑情報 (7)

竹中式マトリクス勉強法の概要

20081112


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  1. 2022年04月04日 15:51 |
  2. 電子書籍(自炊 著作権)

電子書籍化(自炊)に欠かせないスキャンスナップのメンテナンス

 2022311

雑情報 (36-8)

電子書籍化(自炊)に欠かせないスキャンスナップのメンテナンス 

要旨

1.スキャンスナップS1500について

* 11年間スキャンスナップを使い続けてきたことで、スキャンした書籍類の種類、スキャン枚数の履歴がある。

* 消耗品の購入履歴を追跡すると消耗品の交換頻度がわかる。

* 現在までほぼ1か月に1回の頻度で毎回1,000枚の書籍類をスキャンできるのは、スキャンスナップの本体(ハード)と付属のソフトが完成された製品の証。

* 高速で大量の書類をスキャンできるのはスキャンスナップのみ。 

2.スキャンスナップのメンテナンスに係るデータ

* スキャンスナップのスキャン枚数のカウンタ数と想定した書籍類などがほぼ一致していた。

* 11年間に340,000枚の書籍類をスキャンしたが、トラブルは1回もなかった。 

3.スキャンスナップの消耗品

* パッド(パッドユニット)はメーカ推奨の交換目安50,000枚の3倍、150,000枚に達した時に交換。

* 今までにパッドは2回交換した。

* ピックローラの交換はメーカ推奨100,000枚であるが340,000枚に達した時点でもまだトラブルなく使えている。

* ユーザが手軽にフィード/排出ローラーを交換する方法がわかり、自分で交換できるため消耗品リストに含めた。

* 11年目にメーカの消耗品には記載されていないフィード/排出ローラーをDIYで交換した。 

4.メンテナンス

* 機械を数十年間、トラブルなく稼働させる秘訣は運転員、点検員のメンテナンスにかかっており大変重要。

* スキャンスナップのメンテナンスは、メーカのマニュアルを基にする。

* 購入当初から長期間使えるよう自分なりのメンテナンスを怠らずにやってきた。

* 本体の清掃、クリーニングに純正品のクリーナ、ワイプ、ペーパーを使ったことはなく、代わりに軽く湿らせたティッシュペーパー、綿棒を使っている。

* ただし、軽く湿らせたティッシュペーパーでガラス面をきれいにする作業は、水滴が内部に入り込み故障の要因となりうるので、自己判断、自己責任で行ってほしい。

* 清掃はスキャンスナップが冷えてから行う(熱いとガラスが割れる)

ガラス面の汚れは軽く湿らせたティッシュペーパーで拭く

ガラス面以外の箇所も清掃する


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1.スキャンスナップS1500について

1)スキャンスナップの使用状況

20109月にスキャンスナップS1500(以降、スキャンスナップと呼ぶ)を購入し、手持ちの書籍類をスキャンし電子書籍化を行ってきた。 

並行して増え続ける購入した本、購読している雑誌、日常生活で受領する書類、冊子、年賀状及び新聞スクラップをスキャンしている。

 画像1 スキャンスナップ

画像1 富士通製 スキャンスナップ S1500の外観 


2)メンテナンスに役立つデータ、履歴がある

11年間スキャンスナップを使い続けてきたことで、スキャンした書籍類の種類、スキャン枚数のデータがパソコンに残されている。また、消耗品の購入履歴も追跡できるので、それらのデータを基に消耗品の交換頻度がわかる。 

今後は消耗品の交換年月の的確な予測ができるようになった。 


3)スキャンスナップは優秀な製品

現在までほぼ1か月に1回の頻度で毎回1,000枚の書籍類をスキャンできるのは、スキャンスナップの本体(ハード)と付属のソフトが完成された製品の証である。

スキャンスナップの場合、可動部分の紙送り、紙の排出機構の構造はすばらしく、これを超える製品は出てこないと思う。 

一般的に可動部分がある機械製品は、日常のメンテナンスと定期的な消耗品の交換を行わないと製品に損傷を与える、性能が低下する、製品の寿命が短くなるなどが起こる。 

スキャンする際にトラブルの発生が多いと、スキャンスナップを使用することをあきらめ、別の機種へ買い替えたことだろう。 


4)高速で大量の書類をスキャンできるのはスキャンスナップのみ

スキャナーとして、スキャンスナップ以外にキャノンのMG6330、エプソンのGT-X830を保有している。いずれもフラットベッド型のスキャナーなので、手差しでベッドに紙、写真などを並べなければならず、大量の書類を処理するスキャナーとして使えない。 

投影型のスキャナーも販売されているが、最初にフラットベッド上に本などを置き、スキャンが終わる度に本をめくる、名刺などを置きなおす必要があるためフラットベッド型とほぼ同様な仕組みである。

やはり、高速で大量の書類を処理できるのはスキャンスナップだけである。 

 

2.スキャンスナップのメンテナンスに係るデータ

スキャンスナップの購入時から現在までどのような書籍類をスキャンしたか、消耗品はいつ交換したのかをさかのぼって調べた。 


1)スキャンスナップの購入

スキャンスナップを購入したのは手持ちの本が本箱、段ボールにあふれていたため、自炊して電子書籍化し書籍類をなくすためである。 

人生と生活に役立つトレンディな情報マガジン 本を自炊(断裁+スキャン)し電子書籍として読もう (fc2.com)2010917 


2)スキャンスナップの消耗品の途中データ

スキャンスナップの消耗品の管理を見るとスキャンした枚数、消耗品交換の目安がわかる。消耗品のデータを見る方法は以下を参照。 

ScanSnap S1500 消耗品の管理(使用カウント表示) | にゃんと (nyanto.net)(2022310) 

2013618日にパッドを交換した際の消耗品のデータを画像2に示す。

 画像2 スキャンスナップ

画像2 スキャンスナップS1500のカウンタ 2013618 

この時に、初めてパッドを交換したがピックローラは交換していない。 

メーカが推奨するパッドの交換の目安は50,000枚なので、その4倍の枚数をスキャンし、ピックローラは交換の目安の100,000枚以上使っているがまだ使えそう。 


3)途中データ(
20136月)までにスキャンした書籍類など

スキャンスナップの使用開始(20109月)から20136月までにスキャンした書籍類、雑書類、新聞スクラップの頁、枚数を想定した。 

1 20109月~20136月にスキャンした書籍類、雑書類、新聞スクラップの頁、枚数の想定

 

種類

20109

手元の書籍類

2013年までの追加書籍類

 +の合計

 

 

 

 

 

 

書籍類

単行本

190

57,000

33

9900

223

66,900

文庫本

475

95,000

0

0

475

95,000

新書

180

36,000

99

13200

279

49,200

専門書(A4)

90

27,000

0

0

90

27,000

専門書(B5)

180

54,000

0

0

180

54,000

雑誌

95

19,000

66

13200

161

32,200

漫画

0

0

0

0

0

0

全集(文字主体)

90

36,000

0

0

90

36,000

全集(写真主体)

0

0

0

0

0

0

合計

1,300

324,000

198

36300

1,498

360,300

スキャン枚数()

 

162,000

 

18150

 

180,150

雑書類

冊子、メモなど

 

 

 

3250

 

3250

 

広告

 

 

 

1500

 

1500

 

はがき

 

 

 

200

 

200

 

合計

 

 

 

4950

 

4950

 

スキャン枚数()

 

 

 

2475

 

2475

 

新聞スクラップ

白黒スクラップ

 

 

 

11000

 

11000

 

カラースクラップ

 

 

 

5500

 

5500

 

合計

 

 

 

16500

 

16500

 

スキャン枚数()

 

 

 

16500

 

16500

 

  

2 20109月~20136月にスキャンした枚数の想定

種類

スキャンした枚数

備考

書籍類(本、雑誌、全集)

 

180,150

書籍類は両面に印刷されており、1枚スキャンすると2頁分になる

雑書類(冊子、メモ、広告、はがき)

 

2,475

雑書類の多くは両面に印刷されており1枚スキャンは2頁分

新聞スクラップ(白黒、カラー)

16,500

新聞スクラップは片面しか読まないので1枚のスキャンで1頁分

合計

199,125

 

 2の書籍類などをスキャンした枚数の想定は199,125枚、画像1の実際のカウンタの総スキャン枚数200,685枚とほぼ一致している。


4)
202110月のスキャンスナップの消耗品データ

2021114日に2回目のパッドを交換した際の消耗品のデータを画像3に示す。

 画像3 スキャンスナップ

画像3 スキャンスナップS1500のカウンタ 2021114 

この時に、2回目のパッドを交換したがピックローラは1回も交換していない。 

メーカが推奨するパッドの交換の目安は50,000枚なので、1回目のパッド交換後140,000枚スキャンできた。概略推奨期間の3倍長く使えている。

ピックローラは交換なして340,00枚使えており、交換の目安100,000枚の3倍以上の寿命がある。 

3 20109月~202111月にスキャンした枚数の想定

種類

スキャンした枚数

備考

書籍類(本、雑誌、全集)

249,250

書籍類は両面に印刷されており、1枚スキャンすると2頁分になる

雑書類(冊子、メモ、広告、はがき)

10,120

雑書類の多くは両面に印刷されており1枚スキャンは2頁分

新聞スクラップ(白黒、カラー)

67,500

新聞スクラップは片面しか読まないので1枚のスキャンで1

合計

326,870

 

 3の書籍類などをスキャン枚数の想定は326,870枚、画像2の実際のカウンタの総スキャン枚数、340,759枚とほぼ一致している。

 

3.スキャンスナップの消耗品

1)パッド、ピックローラ

メーカが推奨するスキャンスナップの消耗品はパッドとピックローラの2つ。 

ScanSnap 消耗品|PFUダイレクト (fujitsu.com)(2022310) 

ScanSnap S1500で消耗品を交換しないで10万枚スキャンしてみた - odd_hatchの読書ノート (hatenablog.jp)201194 


2)フィード/排出ローラー

メーカの消耗品リストには載っていないが、フィード/排出ローラーが経年変化によりべたついて紙の送りこみ、排出ができなくなる。

フィード/排出ローラーの交換はメーカへ依頼すれば可能であるが、10年も使っていればスキャンスナップ自体が老朽化しているため、多額の費用をかけてメーカに頼むのは費用対効果から止めたい。

費用対効果(コストパフォーマンス)を考慮するとおのずと方針が決まる。 

しかし、ユーザが手軽にフィード/排出ローラーを交換する方法がわかり、自分で交換できるため消耗品リストに含めた。

 人生と生活に役立つトレンディな情報マガジン  スキャンスナップS1500のフィード/排出ローラー交換 (自分で簡単、安価にローラーを交換する方法) (fc2.com)202235 

これらを基に消耗品のメーカ推奨の交換目安と実際の交換頻度、交換の判断を表4にまとめた。 

4 スキャンスナップの消耗品リスト

番号

消耗品の品名

推奨の交換目安

スキャン枚数

実際に交換した時のスキャン枚数

実際の交換時期から算出した交換の目安

交換の判断

1

パッド

50,000

200,000

140,000

150,000

紙が円滑に送られない

2

ピックローラ

100,000

340000枚後も交換無し

350,000

経験していないので不明

 

 

 

 

 

 

番号

消耗品の品名

推奨の交換目安

購入後の年月

実際に交換した時の購入後の年数

*1)

購入年月から算出した交換の目安

交換の判断

3

フィード/排出ローラー

無し

11年経過

810年経過

紙が送られなくなる

ローラーがべたついている

*1) ゴム製品は、まったく使用しなくても経年変化により性状が変化し機能を果たさなくなる。

 

4.メンテナンス

1)メンテナンス全般

機械設計に従事した経験から、機械を数十年間、トラブルなく稼働させる秘訣は運転員、点検員のメンテナンスにかかっており、大変重要である

メンテナンスがきちんと行われれば、耐用年数を超えて長期間運転をし続けることができる。 

メンテナンスは稼働前の機器の点検、運転中の運転員による異常の検知と対応、稼働後の点検が毎日行われる。

これ以外に点検員による週、月、年に1回の点検と整備が行われ機械の異常(発熱、異音、振動)、摩耗、腐食を事前に知り部品の交換、補修、整備を行うことで突然のトラブルを回避している。 


2)スキャンスナップのメンテナンス

スキャンスナップのメンテナンスはメーカのマニュアルを基にした。 

ScanSnap カタログ/マニュアル : 富士通 (fujitsu.com)、(2022310日) 


3)独自のメンテナンス

購入当初から、スキャンスナップを長期間使えるよう自分なりのメンテナンスを怠らずにやってきた。

11年間、1か月の頻度でメンテナンスを実施し、その結果として1回も故障に合ったことはなく、現在も使い続けられていることから、参考になると思う。 

スキャンスナップ購入時から、本体の清掃、クリーニング用に純正品のクリーナF1、クリーニングワイプ、クリーニングペーパーを使ったことはない。

その代わりに、ティッシュペーパーで清掃し、細かな場所を気令する際に綿棒を使っている。 

ただし、軽く湿らせたティッシュペーパーでガラス面をきれいにする作業は、気を付けないと水滴が内部に入り込み故障の要因となりうるので、あくまでも自己判断、自己責任で行ってほしい。 

なお、以下に記載のスキャンスナップの部品の名称は上記のカタログ/マニュアルを参照のこと。 

清掃はスキャンスナップが冷えてから

清掃はスキャンスナップを使い終わった後にするのが良いが、1,000枚の書籍をスキャンすると、ガラス面(2面)の表面温度は50を超えており、触れないくらい熱い。スキャンが終わったら、ガラス面を含む本体を自然冷却させるため、本体を開けて1時間程度放置している。 

ガラス面の汚れは軽く湿らせたティッシュペーパーで拭く

ガラス面が冷えた後、清掃を行う。熱いまま湿らせたティッシュペーパーで拭くとガラスが割れるおそれがある。

一番大事な、ガラス面の汚れは軽く湿らせ湿り気がある程度で良い。水がしたたり落ちるようでは、ガラス面の端から内部へ水が浸透しトラブルの恐れがある、また精密機器、電気製品なので水は原則厳禁)ティッシュペーパーで拭き、スキャンした際にガラス面に付着したインク、本の汚れ、接着剤のかすなどを取り除いた後、乾いたティッシュペーパーで水分などを完全に取り除いた。 

ガラス面以外の箇所も清掃する

回転するプラスチックローラーに汚れが残っていることが多いのでローラーも濡れたティッシュペーパーと乾燥したティッシュペーパーできれいにした。 

センサーがついている箇所のシートガイドを取り外し、ピックローラーが汚れていないかを確認し、汚れていたら湿らせたティッシュペーパーで拭いた。

ピックローラーは乾くのに数分かかるので、完全に乾燥するのを確認した後シートガイドを取り付けた。 

これらの作業の際、本体の表面についている特に紙紛が残っているので息を吹きかけてごみを飛ばした。後日100均で売っているキーボードなどを掃除するためのブローを購入し使ったこともある。 


4)スキャンスナップの消耗品の交換、メンテナンスにかかった費用(表
5

スキャンスナップを11年間使い続けた際の消耗品、メンテナンス費用 

5 スキャンスナップの消耗品の仕様及び11年間にかかった費用

番号

項目

メーカ名、品名など

個数

単価

合計

備考

1

パッド

富士通製パッドユニット

11年間に2回交換

2

1,800

3,600

価格は購入時期がことなるので平均

2

フィード/

排出ローラー

タイガーポリマー製シリコンチューブ6mm×12mm 長さ1m

使用したのは10cm

1

1,191

1,191

DIYで交換

3

ティッシュペーパー

市販品

 

4

綿棒

市販品

 

合 計

-

-

4,791

-

注)価格はすべて輸送費、税込金額

フィード/排出ローラーの交換方法は3.スキャンスナップの消耗品を参照。 

スキャンスナップは堅牢な事務用品なので、通常とおり使用、メンテナンスを欠かさずに行うと長期間故障することなく使うことができる。

11年間、340,000枚の書籍類をスキャンするのに要した消耗品などのランニングコストが、わずかに5,000円。

今後も、スキャンスナップを使い続けるつもりである。


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  1. 2022年03月11日 21:45 |
  2. 電子書籍(自炊 著作権)

スキャンスナップS1500のフィード/排出ローラー交換 (自分で簡単、安価にローラーを交換する方法)

 
追記 2023918
2021117

雑情報 (36-7)

スキャンスナップS1500のフィード/排出ローラー交換
(自分で簡単、安価にローラーを交換する方法)
 

要旨

1.スキャンスナップS1500用フィードローラー、排出ローラーの交換

1)フィード/排出ローラーが劣化した

* スキャンスナップS1500をトラブルなく11年間使い続けた。

* 最近、フィード/排出ローラーが劣化しべたついて紙送りができなくなった。

* 上下部のフィード/排出ローラーいずれも紙のインクで黒く変色。ローラー自体も劣化しべとつくほか、色も透明から黄色に変わっていた。

2)採用しなかったフィード/排出ローラーの交換方法

* スキャンスナップを相当程度分解した後、フィード/排出ローラーをはめ込む軸を取り外している。次にシリコンチューブを軸にはめ込み、歯車などの位置決め調整しながら再度組み立てる。

* 分解から再組立てまで4時間を要しており、歯車の位置調整、電気配線、コネクタの接続などの工程もあるので素人が容易に手出しするのは難しいと感じる。

3)採用したフィード/排出ローラーのみを交換する方法

* 最初に既存の劣化しベタベタしているローラーをカッターなどで取り除く。

* 次に、購入したシリコンチューブを所定の長さに輪切りした後、ローラーをフィード/排出ローラー軸にはめ込むため1か所に縦割りにカットを入れる。

* あとは、ローラーをフィード/排出ローラー軸へはめ込めば完成。

 

2.実施したフィード/排出ローラーのローラー交換

* ローラーに使用するシリコンチューブ6mm×12mm 長さ1mを購入

* 既存のローラーはローラー軸にくっついており、ドライバー、カッター、ニッパーなどで少しずつ除去。

* 除去の際にスキャナーの最重要部のガラス面、超音波センサーを傷つけないよう、事前にそれらをマスキングテープで保護しておくこと。

* 購入したシリコンチューブ(6mm×12mm)ローラー軸に合う寸法に輪切り

フィードローラー用:2.4cm×2個、排出ローラー用  :2.6cm×2

* 次にローラー軸にはめ込めるよう輪切りしたローラーに一か所切り込みを入れる。

* 最初、軸へのローラーのはめ込みはむずかしいが、数回やると要領がわかる。

* ローラーを取り付け後、スキャンスナップの電源を入れ、ADFカバーを開けた状態でScanボタンを押しローラーの回転状況などを確認する。

* 7Scanボタンを押すとローラーが1回転したことになるので、ローラーに異常がなければ完了。

* フィード/排出ローラーの交換に要した費用は1,200円、かかった時間は1時間。

 

3.フィード/排出ローラーを交換した後の作動状況と結論

* ローラー交換後、2回に分け2,000枚以上スキャンしたがトラブルは皆無。

* スキャンスナップのフィード/排出ローラーにシリコンチューブに切り込みを入れ軸にはめ込む方法は簡単、安価にできる交換方法。

* 自分で交換可能、かつ1,200円の費用と1時間でできるので試す価値がある。

4.ローラー交換後4か月経過したがトラブルは皆無(2022年3月5日追記)

* ローラー交換後4,000枚スキャンしたが、スキャンスナップ本体、スキャンした画像いずれにもトラブルはまったくなかった。

* 2つ割りにカットしたローラーはスキャンスナップの延命化に寄与できる。

* ローラーの経年劣化によるべたつきでスキャンスナップが使えなくて困っているユーザは、この方法を試してみよう。

5.ローラー交換後、約2年経過したがトラブルなし2023918日追記)

*  2つ割りのローラーに交換したことにより購入後13年間、機器、電気品のトラブルなく使い続けている。

* 軸にはめ込んだローラーは手で触ると軽く回転でき、ローラーのカット部(スリット)が見える。カット部が広がる、軸から抜け落ちることはなかった。

* 今後もこのまま使い続けられるだろう。


画像18スキャンスナップ



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1.スキャンスナップS1500用フィードローラー、排出ローラーの交換

1)フィードローラーが劣化した

スキャンスナップS1500を本体、ソフト共にまったくトラブルなく11年使い続けてきた。 

人生と生活に役立つトレンディな情報マガジン 自炊(電子書籍化)の具体例、本のスキャン編 (fc2.com)20101021 

最近、消耗品リストに載っていないフィードローラーと排出ローラー(以降、フィード/排出ローラーと呼ぶ)が劣化しべたついて紙送りができなくなった。
 

 画像1スキャンスナップPA040270_R

画像1 富士通製 スキャンスナップ S1500の外観

  

 画像2スキャンスナップIMG_1319

      画像2 スキャンスナップS1500ADFカバーを開けた状態

         ADFカバーは持ち上げるとすぐに開けることができる


 画像3スキャンスナップIMG_1318

画像3 スキャンスナップ S1500を開けると上部にフィードローラー2個と下部に排出ローラー2個が見える。

 

 

 画像4スキャンスナップ211107スキャンスナップのローラー

画像4 スキャンスナップS1500ADFカバーを開けた外観図

       フィード/排出ローラーの設置場所、大きさがわかる

ScanSnapS1500 オペレーターガイド(取扱説明書)

P3PC-2432-05Z0 (fujitsu.com)

P.456から外観図を引用 

 

上下部のフィード/排出ローラーいずれも黒く変色していた。たぶん、多くの紙をスキャンしたためローラー表面に紙のインクが付いたもの。また、ローラー自体も劣化しておりべとつくほか、色も透明から黄色に変わっていた。 

オペレーターガイドにはフィード/排出ローラーの交換の記載はなく、メーカへ修理、交換を依頼しないとできない。 

次に自分でフィード/排出ローラーを交換できないかをネットで探した。

 

2)採用しなかったフィード/排出ローラーの交換方法

ネット上からスキャンスナップ(機種は様々)のフィード/排出ローラーを交換した例を見つけた。 

多くはスキャンスナップを相当程度分解した後、フィード/排出ローラーをはめ込むステンレス製の軸を取り外している。次に購入した純正品に類似したシリコンチューブを軸にはめ込み、歯車などの位置決め調整しながら再度組み立てていた。 

分解から再組立てまで4時間を要しており、歯車の位置調整、電気配線、コネクタの接続などの工程もあるので素人が容易に手出しするのは難しいように感じる。 

ScanSnap S500のフィードローラーの交換-p--q2019728 

ScanSnap S1500ローラー交換 : まごころせいじつ堂 (livedoor.jp)、(2021116日) 

ScanSnap S500のフィードローラーを交換しました|シロさん居ますか|note2021723 

自炊生活は楽しい♪  >> 5年後、ローラーがダメになったので交換 - FUJITSU スキャンスナップ FI-S500のレビュー | ジグソー | レビューメディア (zigsow.jp)2020621 

しかし、上記事例はフィード/排出ローラー部の構造、ローラーの寸法、材質などの仕様がわかり、実際にフィード/排出ローラーを交換する際に大いに役に立った。 

スキャンスナップを分解せずにローラーのみを交換できる方法はないかと更にネットを検索したら、素人でもうまくいけそうなサイトを探し当てた。

 

3)採用したフィード/排出ローラーのみを交換する方法

サイトに記載してある内容の概要は、

フィード/排出ローラー軸はそれぞれの左右にローラー(シリコンチューブ)が1個ずつ取り付けられており、ローラーの個数は合計4個。 

最初に既存の劣化しベタベタしているローラーをカッターで取り除く。

次に、購入した純正品のローラーと同等のシリコンゴムチューブを所定の長さに輪切りにして4個作る。ローラーをフィード/排出ローラー軸にはめ込むため1か所に縦割りにカットを入れる。

あとは、ローラーをフィード/排出ローラー軸へはめ込めば完成。 

富士通Scansnap S510ローラー交換・修理した件 - 練馬区工務店ワンオペ営業日記 (hatenablog.com)202172 

はめ込んだローラーは1か所をカットしているため、スキャン中にローラーが軸からずれる、外れることが懸念された。やってみないとわからないがたぶんうまくいきそう。

 

2.実施したフィード/排出ローラーのローラー交換

1)ローラーに使用するシリコンチューブの入手

ネット情報を参考にスキャンスナップS1500に適合するローラーとしてシリコンチューブを見つけたのでアマゾンから入手した。

ブランド:タイガーポリマー製シリコンチューブ6mm×12mm 長さ1mを購入した


 画像5スキャンスナップIMG_1333

画像5 シリコンチューブ6mm×12mm 長さ1m 

万一、シリコンチューブがフィード/排出ローラー軸からずれたり、はがれたりした場合を想定し、専用の接着剤をチューブと一緒にアマゾンから購入した。 

Amazon | セメダイン ポリエチレン ポリプロピレン シリコーンゴム 専用接着剤 PPX 6gセット CA-522 | 瞬間接着剤 | 文房具・オフィス用品 

実際、シリコンチューブはなにもしなくてもフィード/排出ローラーに密着して巻き付き、はがれることはなかったので接着剤を使うことはなかった。

実績から、接着剤は購入不要である。

 

画像6スキャンスナップ5IMG_1350  

画像6 シリコンチューブ用の接着剤(購入は不要)

セメダイン製ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコンゴム専用接着剤 PPX 6g

 

2)既存のフィード/排出ローラーをステンレス製の軸から除去

べたついたローラーはローラー軸にくっついており、そのままでははがれないので、ドライバー、カッター、ニッパーなどで少しずつ除去した。 

ローラーの除去はスキャナーの最重要部のガラス面、超音波センサーの近くでの作業になる。ガラス面を傷つけるとスキャン時に線が入ったりするなどの不都合が起こるので、ガラス面、超音波センサーをマスキングテープで保護してから行うことにした。


 画像7スキャンスナップIMG_1336

画像7 当初、ローラーをニッパーではがしている。

作業途中で工具がガラス面を傷つけると思い、すぐにガラス面、超音波センサーにマスキングテープを張り付けた

 

画像8スキャンスナップIMG_1338  

画像8 ガラス面、超音波センサーにマスキングテープを張り付け保護

 

 画像9スキャンスナップIMG_1340

画像9 フィードローラー軸のローラーをはがしている途中

 

 画像10スキャンスナップIMG_1342

画像10 フィード/排出ローラー軸共、既存ローラーの除去を完了

フィードローラー軸はローラーを取り付ける部分がフラットであるが、排出ローラー軸は一部に段差がある。 

ローラーはかなりべとついており、4カ所をはがし終えるのに15分かかった。 

 

 画像11IスキャンスナップMG_1344

画像11 はがしたローラーの破片

 経年変化により劣化し透明から黄に変色しべたついている 

 

3)新規シリコンチューブの加工

購入したシリコンチューブをフィード/排出ローラー軸にはめ込めるように加工した。

最初にローラー軸に合う寸法に輪切り、次にローラー軸にはめ込めるように輪切りしたローラーに一か所に切り込みを入れる。 

シリコンチューブの輪切り

輪切りにする長さは、ネットを調べたがどこにも記載がなく、以下の寸法でカットした。

フィードローラー2.2cm×2 

実際の取り付け状況から0.2cm長い2.4cmにするのがよい

     排出ローラー  :2.4cm×2 

実際の取り付け状況から0.2cm長い2.6cmにするのがよい

 画像12スキャンスナップIMG_1345

画像12 シリコンチューブをローラーに合わせてカット

上部:残ったシリコンチューブ

下部右:フィードローラー用のシリコンチューブ

下部左:排出ローラー用のシリコンチューブ 

輪切りしたシリコンチューブに切り込みを入れる

 画像13スキャンスナップIMG_1347

画像13 ローラーそれぞれにカッターで1か所切り込みを入れた
 

4)加工したシリコンチューブを軸に取り付け

 画像14スキャンスナップIMG_1348

画像14 カットしたローラーをフィード/排出ローラー軸へはめ込んだ

 

最初は、切り込みがあるローラーを軸へはめ込む作業がうまくいかないが、数回やると要領がわかり、ローラーをローラー軸へはめ込むことができた。 

ローラーの左右方向の位置は、規定と1mm程度違うが、いったんはめ込んだローラーを左右に移動させるのは難しいので、ずれたままでよしとした。 

その後 スキャンスナップの電源を入れ、ADFカバーを開けた状態でScanボタンを押すとフィードローラー2個、排出ローラー2個が少し回転する。 

Scanボタンを少し押してはフィード/排出ローラー軸からローラーが浮いていないか、ずれていなかを確認した。

7Scanボタンを押すとローラーが1回転したことになるので、ローラーに異常がなければ完了。 

ScanSnapのお手入れ | ScanSnapヘルプ (fujitsu.com)

Dcansnaps1500の部品の名称、清掃の方法などを説明。

 

5)フィード/排出ローラーの交換に要した費用など(表1 

1 フィード/排出ローラー交換の際に入手した物品の仕様、価格

番号

項目

メーカ名、品名など

個数

単価

合計

備考

1

フィード/排出ローラー

タイガーポリマー製シリコンチューブ6mm×12mm 長さ1m

1

1,191

1,191

アマゾン

 

2

接着剤

セメダイン製ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコンゴム専用接着剤PPX 6g

1

918

918

アマゾン使用せず

合 計

-

-

2,096

-

注)価格はすべて輸送費、税込金額 

 

3.フィード/排出ローラーを交換した後の作動状況と結論

1)ローラー交換後のスキャンスナップの状況

ローラーを交換した直後のスキャン

フィード/排出ローラーを交換した後、すぐに雑誌200枚、新聞スクラップ800枚ほどをスキャンした。

使用時のスキャンスナップの設定は以前と同じ条件とした。 

スキャン時の紙送り、紙が重なってスキャン、スキャン後の画像の抜け、ゆがみ、線が入るなどの異常などはなかった。 

スキャン後、フィード/排出ローラーの状態を調べたが、ローラーの切り込みが広がっていることはなく、ローラー軸からローラーがはずれる様子も見られなかった。 

ローラーを交換後1か月経過した際のスキャン

ローラーを交換してから1か月後に、約1,500枚をスキャンしたが、従来と同様のスキャンスピードで行え、紙送り、ダブってスキャンされるなどのトラブルもなかった。

スキャン後の画像なども従来と変わらなかった。
 

 画像15スキャンスナップIMG_1747

画像15 ローラー交換後2,500枚スキャンした後のフィード/排出ローラーの状況 

フィード/排出ローラーともローラーを軸へはめ込むための切り込みの隙間が見える。隙間はローラー交換時とかわっていない。
 

2)結論

スキャンスナップS1500のフィード/排出ローラーに互換品のシリコンチューブに切り込みを入れフィード/排出ローラー軸にはめ込む方法は簡単、安価にできる交換方法である。 

長年スキャンスナップを使い続け、ローラーの劣化により使うことができなくなった場合であっても、互換ローラー(シリコンチューブ)を入手し、ローラー軸にはめ込むだけでスキャンスナップが復活できる。 

古いスキャンスナップのローラー交換に10,000円以上の費用を払うなら廃棄することを選ぶユーザが多いだろう。

代わりに自分で交換可能、かつ1,200円の費用と1時間でできるのなら試す価値はある。


4.ローラー交換後4か月経過したがトラブルは皆無(2022年3月5日追記)

ローラー交換後のスキャン枚数

ローラー交換後、従来とおり本、雑誌、新聞スクラップなどを今日まで月1回の頻度でスキャンしてきた。

1回のスキャンに処理した書籍類は、平均本2冊(300枚)、雑誌2冊(250枚)、新聞スクラップ(500枚)の合計1,050枚。

この4か月間に4回スキャンしたので

  スキャンした書類の合計枚数は 4か月×1,050枚=4,200 

ローラー交換後のスキャン状況

ローラーを交換後、約4,000枚の書籍類をスキャンしたが、スキャン時の紙の巻き込み、送り、排出などのトラブルは一度もなく、またスキャンした画像の曲がりなどもなく、今まで通りOCR化も行えた。

2つ割りローラーは使用に耐えうる

上記の結果から、2つ割りにカットしたローラーを取り付けることによりスキャンスナップを使い続けられるようになった。

2つ割りのローラーに交換することは、メーカの取扱説明書、消耗品リスト、メンテナンスリストにも載っていないが、素人でもできる方法なのでスキャンスナップの延命化に寄与できる。  

今まで、ローラーの経年劣化によるべたつきでスキャンスナップが使えなくて困っているユーザは、この方法を試してみよう。



5.ローラー交換後、約2年経過したがトラブルなし2023918日追記)

1)スキャンスナップの総スキャン枚数

ローラー交換時の2021114日の総スキャン枚数340,759

現在、2023918日の総スキャン枚数354690 

この期間に139,310枚をスキャンしていた。

354690枚-340,759枚=13,931

月平均:13,931÷20カ月=696/
 

 画像16スキャンスナップ

画像16 スキャンスナップS1500の消耗品カウンター

2021114日の総スキャン枚数:340,759

 

 画像17スキャンスナップ











画像17 スキャンスナップS1500の消耗品カウンター

2023918日時点の総スキャン枚数:354,690


スキャン回数は前回の想定より少ないが、2つ割りのローラーに交換したことにより購入後13年間、機器、電気品のトラブルなく使い続けている。

 

 画像18スキャンスナップ

画像18 スキャンスナップS1500の交換した2つ割りのローラー。4

2つ割りしたローラーの状況は、色が少し黒くなっている。新聞紙をスキャンした際にインクが付着したためである。

軸にはめ込んだローラーは手で触ると軽く回転でき、ローラーのカット部が見える。カット部が広がる、軸から抜け落ちることはなかった。 

今後もこのまま使い続けられるだろう。

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  1. 2021年11月08日 15:22 |
  2. 電子書籍(自炊 著作権)

電子書籍化に関する最新情報&著作権

20101025
雑情報 (36-6)
    電子書籍化に関する最新情報&著作権
 
要旨
1. 電子書籍の情報
1.1 電子書籍市場は着実に拡大
アメリカでは急速に電子書籍市場の拡大が続いており、日本でもこの流れに乗り遅れまいとして様々な業種の会社が電子書籍の分野に参入。
 
1.2  出版業界の対応
1)電子書籍と本の共存
出版業界は衰退する書籍の出版ビジネスからの電子書籍の分野へ転換中。
2)電子書籍化に反対
ムック本が大当たりした「宝島社」は電子書籍に反対。
 
1.3 作家の対応
1)電子書籍化を推進
作家の村上龍、瀬戸内寂聴は電子書籍を積極的に推進。
2)電子書籍化に消極的
素人が書籍を出版するにはハードルが高いが、一旦作家として認められると業界は限られた数の作家しかいないため居心地が良いため、電子書籍化に反対している作家もいる。
どの社会にも名声、地位、資格などの既得権を得たものが、その既得権を傘に着て行動し、自分の存在を脅かすものを敵視するのは世の常。
3)本の印税
本の印税は作家と出版社の間で出版前に決められ、本の定価の815%、一般的に10%が相場1年に10万部以上売れる本(印税1,000万円)は少ない。
 
2.電子書籍と著作権
2.1 海賊版の電子書籍
1)海賊版の電子書籍が現れる
*  “アップストアに海賊版の村上春樹の「1Q84」、東野圭吾の「白夜行」、渡辺淳一の「失楽園」などの中国語版、村上春樹の小説集のロシア語版が販売されていた。
2)アップストアとは
アップストアでは電子書籍の出展者が販売価格を自由に決められ、取り分は出展者が70%、アップルが30%。
3)海賊版退治の方法
著作権者でないものが勝手に他人の本や電子書籍のコンテンツを公開する、販売することは許されるべきことではなく、早急な対策が必要。

2.2 自炊(手持ちの書籍の書籍電子化)の著作権
1)自炊に関する著作権
自炊、自炊の代行、自炊し裁断した書籍の処分、自炊した電子書籍のスキャンデータの取り扱いについては著作権法上、判例がなく、新たに裁判所においてこれらの内容に関する判決が出る、法的な判断基準が公布されるまではグレーゾーンのまま推移。
弁護士や学者などの専門家の見解はあくまでも、専門家の一般的な意向を示したもので、裁判所が判断した、法律で決められたものではない。
2) 事例の対応
a) 自分で自炊
趣味として保有している書籍を自分で裁断、スキャニングして電子書籍化するのは法律上まったく問題がない。
専門家の見解:手持ちの書籍の自炊であっても仕事目的なら違法となるかもしれない。
b) 自炊の代行業者を利用
ネット上には自炊代行業者が1冊当たり、裁断+スキャニング+PDF化を200円前後で引き受け。
専門家の見解:著作権法上、自炊代行業者へ自炊を依頼することは違法の可能性が高い。
c) 自炊し裁断した書籍の処分
ネット上のオークション、自炊本の処分サイトには裁断した書籍を販売しているが販売価格はたいへん安く手間賃にもならない。
専門家の見解:裁断した書籍を売る、逆に裁断された書籍を買うのは違法ではない。
d) スキャンデータの取り扱い
自炊したスキャンデータを家族で共有するには、通常家庭にある書籍を家族が読むことと同じのため法律上問題はない。
専門家の見解:スキャンデータを知人に譲り渡す場合は、書籍の貸し借りが行われていることを考慮すると良いとも言えるし、ダメともいえる。

結論:自炊に対する専門家の見解は、それぞれ異なり統一見解はないため、自分で対処するしかない。

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1. 電子書籍の情報
1.1 電子書籍市場は着実に拡大
日本で電子書籍が話題になった今年の初め頃、出版社、書店、家電メーカなどはまだ様子見気分であったが、アメリカでは急速に電子書籍市場の拡大が続いていることから、日本でもこの流れに乗り遅れまいとして様々な業種の会社が電子書籍の分野に参入しはじめた。
 
出版社、印刷会社、書籍取次業者は既存の本、雑誌の販売減の代替策、家電メーカは新たに創出された電子書籍端末の市場開拓を目指している。
 
 
1.2 出版業界の対応
1)  電子書籍と本の共存
出版業界は電子書籍の流れは避けられないとのことで、衰退する書籍の出版ビジネスからの転換し新たな生き残りをかけた戦いに打って出たようである。
 
2)  電子書籍化に反対
低迷が続く出版業界の中にあって、アクセサリー、ポーチなどのおまけをつけた女性誌のムック本*1)が大当たりし現在の状況が続くことを望んでいる出版社の「宝島社」は大々的に電子書籍反対のキャンペーンを始めている。
 
*1) ムック本:雑誌的な要素をとりいれて出版した本。旅行雑誌のように単行本より薄く、カラー写真が多用され、安い。売り切れても重版をしないのが特徴。
 
宝島社        20101120日  日刊 アメーバニュース
                                  「電子書籍に反対」と宣言
             http://news.ameba.jp/webhon/2010/11/90395.html
(発行元のサイトは削除されているが、グーグルで検索すると、このサイトを引用したブログなどから内容を知ることができる)
 
 
1.3 作家の対応
1)  電子書籍化を推進
作家の村上龍、瀬戸内寂聴などの著名な作家は電子書籍を積極的に推進している。
 
2)  電子書籍化に消極的
著名作家には電子書籍化に反対しているものもいる。
 
素人が本を出版するには印刷、製本などのコストが本代の3割を占め、出版社のリスクが高いため、ハードルが高く、誰でも簡単に作家になれる環境ではなかった。いきおい、直木賞、芥川賞、本屋大賞などの有名な文学、推理小説などの受賞者でないと新規参入が難しい状況である。しかし、無名の新人でも一旦賞を取り名前が知られるようになると、その後は著作する毎に作家と出版社は一体となって本の出版、宣伝などを行うため安定した収入を得ことができる。このため、作家業は新規参入が難しいが、一旦作家として世に認められると業界の中には限られた数の作家しかいないため居心地が良い世界であった。
 
閉鎖された業界に入り込みあんのんとしている既存の作家は、電子書籍化の広がりにより、誰もがパソコンさえあれば容易に文章を作成できるようになると、たくさんの競争相手が増えることとなり、相対的に既存作家の本が売れなくなるため反対している。
また、電子書籍端末は閲覧性が劣るためディスプレイ上には著名作家も無名作家も同様に取り扱われ、今の本屋の店頭で有名作家の本が目立つ場所に平積みで並べられるような事ができなくなった。また、電子書籍の単価は本よりも安いため、印税が電子書籍化により多少上がっても取り分が減少するおそれがあることも反対の理由であろう。
 
どの社会にも名声、地位、資格などの既得権を得たものが、その既得権を傘に着て行動し、自分の存在を脅かすものを敵視するのは世の常である。有名作家の名声を獲得、大会社の取締役に就任、知事や国会議員に選出、弁護士、公認会計士などの超難関資格を取得した人たちの豹変するさまは驚くほどである。
 
特に世の中へ本として自由に意見を著わすことが職業の作家が、自らあるいは出版社と一緒にこじつけの理由を並べ、電子書籍化の流れ、すなわち新人作家がどっと参入することに反対している様は見苦しい。
結局、作家は文章の中で素晴らしい文才を見せても、あくまでもフィクション、幻想的な考えであり、本質は自分の保身でしかありえない。
 
3)  本の印税
本の印税は、作家と出版社の間で出版前に決めるもので、本の販売価格(定価)の815%、一般的に10%が相場である。
無名に近い作家は初版の冊数2,000冊、印税8%程度、有名作家になると初刊30,000部、印税15%となる。また、印税は出版社から発行した冊数分支払われるため、いくら売れ残っても発行した冊数分の印税は受け取れ、作家にとってリスクが無い商売である。
 
{試算例}新聞広告に50万部売れた本などと宣伝している本を例に印税を計算
  部数       :500,000
  本の定価:1,800/冊 
印税       :10
500,000×1,800/×10%=90,000,000
 
本1冊が当たれば、莫大な印税を受け取ることができるが、世の中そう甘くはなく、10万部以上売れる本は数えるほどしかない。
 
 
2. 電子書籍と著作権
2.1 海賊版の電子書籍
1)  海賊版の電子書籍が現れる
電子書籍端末のiPadiPhoneで読むことができる電子書籍をアップルのソフト配信サイトアップストアが配信している。その中に村上春樹の「1Q84」、東野圭吾の「白夜行」、渡辺淳一の「失楽園」などの中国語版、村上春樹の小説集のロシア語版が販売されていた。いずれも著作権者はアップストアへの販売を承認してなく海賊版のため、アップストアに海賊版の削除を求めている。
 
2)  アップストアとは
アップストアでは電子書籍の出展者(開発者、著者)が販売価格を自由に決めることができ、取り分は出展者が70%、アップルが30となっており、作家にとって、本として出版するよりも取り分が多いため魅力的かも知れない。
 
アップストアでは、海賊版の削除は随時行っているようであるが、数十万冊にも及ぶ電子書籍の著作権の確認をいちいち調べて削除するのは手間がかかるため、おいそれとはいかないのが実情である。また、アップストアにとっては、正式版の電子書籍でも海賊版でも売れさえすれば黙っていても販売価格の30%が売り上げとなるため積極的に海賊版退治をする必要はない。アップストアのブランドイメージの維持や信用の面から海賊版退治は行うかもしれないが、海賊版退治にやっきになることはありえない。
 
3)  海賊版退治の方法
海賊版退治が難しいからと言って、著作権者でないものが勝手に他人の本や電子書籍のコンテンツを公開する、販売することは許されるべきことではなく、早急な対応が求められる。
 
しかし、いちいち人手をかけて出展された電子書籍を調査し正式版か海賊版かを確認する作業は相当手間と時間がかかりそうである。自動的に文字を認識するPDFファイルのOCRソフトや防犯カメラの画像認識ソフト、コピペ論文を検索するソフトのような自動で簡単に正式版か海賊版を区分するソフトが開発されないと難しいと思われる。                       

2.2 自炊(手持ちの書籍の書籍電子化)の著作権
1)  自炊に関する著作権
自炊、自炊の代行、自炊し裁断した書籍の処分、自炊した電子書籍のスキャンデータの取り扱いについては著作権法上、判例がないため、新たに裁判所においてこれらの内容に関する判決が出る、法的な判断基準が公布されるまではグレーゾーンのまま推移することとなる。
 
判例がないため、警察による逮捕、起訴、地方裁判所での判決、判決によっては上級審への上告により年月がかかるため当面常識の範囲内で対応し、適法、違法の判断が決まる、法律の公布後に対応を改めれば良い。
 
以下に記載している専門家の見解はあくまでも、弁護士や学者の一般的な意向を示したもので、裁判所が判断した、法律で決められたものではない。あくまでも専門家の参考意見である。
 
2) 各事例の対応
a)  自分で自炊
趣味として保有している書籍を自分で裁断、スキャニングして電子書籍化するのは法律上まったく問題がない。
 
専門家の見解として、手持ちの書籍の自炊であっても仕事目的なら違法となるかもしれない。
 
b)  自炊の代行業者を利用
自炊を行う場合、それなりの機器を揃えかつ手間と時間をかけないと電子書籍化はできない。手持ちの本の冊数が少ない場合、自炊用の機器を揃えるとコスト高となる。多量の蔵書がある場合には自炊に費やす時間と手間がかかるため、多少お金がかかってもより簡便さを選択することもありうる。
それらの場合には、自炊代行業者に依頼して電子書籍化することが流行している。ネット上には「ブックスキャン」「スキャ本」「スキャニスト」などの自炊代行業者が1冊当たり、裁断+スキャニング+PDF化を200円前後で引き受けている。
このように自炊サービスは便利であるが、送料が別途かかるし、出来栄えは業者まかせとなる。
 
専門家の見解として、著作権法上、自炊代行業者へ自炊を依頼することは違法の可能性が高い。
 
c)  自炊し裁断した書籍の処分
ネット上のオークション、自炊本の処分サイトには裁断した書籍を販売している。販売価格は100/冊になれば良いほうで、10冊程度の全集が200円程度のため手間賃にもならない。
やはり、裁断した書籍は紙ごみ収集日に出すのが一番簡単な処分である。
 
専門家の見解として、裁断した書籍を売る、逆に裁断された書籍を買うのは違法ではない。
 
d)  スキャンデータの取り扱い
自炊したスキャンデータを家族で共有するには、通常家庭にある書籍を家族が読むことと同じのため法律上問題はない。
 
専門家の見解として、スキャンデータを知人に譲り渡す場合は、書籍の貸し借りが行われていることを考慮すると良いとも言えるし、ダメともいえる。
 
 
参照資料
雑情報を作成するにあたり、参考となる/参考にした新聞、雑誌などの出典元、年月日、タイトルを載せる。
 
1.電子書籍の情報
1.1 電子書籍市場は着実に拡大
日本経済新聞    20101057 電子本時代 変わる出版ビジネス 
                                            紙との相乗効果着々
                                                              出版社、「中抜き」恐れず攻め
                                            低迷脱却、書店すがる
                                                              効率モデル どう構築
                                                        下  作品のデータの商機
                                                              在庫不要、売場で製本
 
日経トレンディ  201012月号   編集長インタビュー 
                                                         アマゾンジャパン社長 ジャスパー・チャン
                                                         電子書籍ビジネス  
                                                          「電子と紙の共存で読書量アップ」
 
日本経済新聞     20101110 米電子書籍市場3.2倍に  
 
1.2 出版業界の対応
日本経済新聞     2010115   紀伊国屋、電子書籍も紙の本も
                                                          年内に販売サイト 
 
1.3 作家の対応
朝日新聞            2010115   電子書籍いよいよ 
                             作家自ら起業 書店紙と両立 携帯通信料狙い
                                             読者に利点も 紙より早く安く/絶版本含め大量
 
日本経済新聞     2010117    活字の海で 
                                  電子書籍、「読書の革命」瀬戸内寂聴、意義語
 
日本経済新聞     20101031  半歩遅れの読書術 
                              書籍の電子化 印字された「モノ」の信頼感
  
2.電子書籍と著作権
2.1 海賊版の電子書籍
朝日新聞            2010119    1Q84」無断電子化 
                                            アップル配信サイトに中国語版
 
朝日新聞            20101111  村上春樹さんの50作品
                                                           アップストア 海賊版、ロシア語も
 
日本経済新聞     20101119  私の視点 文芸春秋社長平尾隆弘
                                                           電子書籍無断販売  
                                              「海賊版」への対応に疑問
 
朝日新聞            2010111    コピペ論文見逃さない
                                                           検索ソフト開発で激減 
 
2.2 自炊(手持ちの書籍の書籍電子化)の著作権
日本経済新聞     2010920    法務インサイド
                                                           書籍の電子化代行業続々
                                                            「私的」か「営利」か著作権法上微妙に
                                                           判断基準の整備進行中
 
★ダイヤモンド       20101016日号  電子書籍入門
                                               「残す・運ぶ」はこう変わる 
                                               書籍を裁断、スキャンして保存
                                               電子書籍の自炊マニュアル 
                                               裁断機&スキャナーですぐにできる!
                                               電子書籍「自炊」のノウハウとコツ
                                               サービス内容はいろいろ
                                               主な裁断&スキャン代行サービス業者一覧
                                               代行は違法、本人の場合は見解分かれる
                                               「自炊」が著作権法で問題視されるポイント
                                               「著す・編む」はこう変わる 
                                               電子書籍は誰でも著者の時代
                                               出版という行為はどう変わるか 
                                               もう出版社はいらない?

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  1. 2013年06月03日 12:33 |
  2. 電子書籍(自炊 著作権)

電子書籍の最新情報

20101022
雑情報 (36-5)
    電子書籍の最新情報
 
要旨
1. 電子書籍の普及が始まる
1)  先進国での電子機器の普及が頭打ち
*  先進国ではパソコン、携帯電話、ゲーム機の普及率が頭打ちし、市場が縮小。
*  開発途上国では安い、単機能品が拡大しているが出荷量は増えても利益が出ない。
*  市場活性化のためパソコン、携帯電話、ゲーム機器を融合したスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPCのアイパッド(iPad)を発売中。
* 在来の機能にプラスした電子書籍が市場に躍り出てきた。
2)  電子書籍市場の創設と拡大
斬新的なハード&ソフトを開発・供給し続けているアップルはタブレットPCの「アイパッド」に電子書籍の機能を付け、更に軽く、使いやすく改良中。
タブレットPCの分野にシャープは「ガラパゴス」、サムソン電子は低価格の「ギャラクシー」、NECと富士通も新製品を発売。
専用の電子書籍端末「キンドル」のアマゾン、「ソニーリーダー」のソニーは普及拡大を狙っている。
 
2. 電子書籍の普及
1)  アメリカでの普及
* 電子書籍が一足先に普及しているアメリカでは、全書籍の約1割が電子書籍。
2)  日本での普及
* 日本の電子書籍端末の主力はまだ携帯電話である。
 
3. 参考資料 (電子書籍の情報)
* 日経トレンディ     201011月号         “いよいよ始動する電子書籍
* 週間ダイヤモンド 20101016日号 電子書籍入門 

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1. 電子書籍の普及が始まる
1)  先進国での電子機器の普及が頭打ち
先進国ではパソコン、携帯電話、ゲーム機の普及率が頭打ちになってきたことにより電子機器の市場が縮小しつつあることが明白となってきた。この影響を受け、任天堂の2010年第2四半期の決算が赤字となり、ソニーが新製品を開発できないため業績が低迷、ノキアの業績が悪化している。
もちろん、開発途上国ではそれらは爆発的に普及しつつあるが、後進国の経済力にあった価格に合わせた単機能、低価格品にならざるを得ないため単価が極端に安く出荷量は増えても利益が出にくい状況となっている。
 
この状況に危機感をもったアップル、ソニー、サムソン、ノキアなどのハードメーカ各社は価格を維持し利益の拡大を図るためパソコン、携帯電話、ゲーム機器を融合したスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPCのアイパッド(iPad)を発売した。
スマートフォンやアイパッドはネットで世界中とつながったパソコン?いや携帯電話?はたまたゲーム機とユーザによりいずれにも使える様々な機能を持っている。
これら在来の機能にプラスして新参者の電子書籍が躍り出てきた
 
2)  電子書籍市場の創設と拡大
この数ヶ月ほど、本の電子書籍に関する情報は日ごとに増え続けている。
ひとつには、知のコンテンツをうまく活用して人類の更なる英知を高めると同時にいち早くこの新分野へ進出しハード、ソフトのシェアを獲得しようとする企業が続出している。
 
電子書籍のハードに関しては、前記のパソコン、携帯電話、ゲーム機のメーカが電子書籍の機能を取り入れることにより既存機器の付加価値を高めシェア維持をもくろんでいる。
この分野にいつも斬新的なハード&ソフトを開発・供給し続けているアップルはタブレットPCの「アイパッド」に電子書籍の機能を付け、更に軽く、使いやすく改良中である。
日本では電子書籍ソフトを組み込んだタブレットPCの分野にシャープが「ガラパゴス」を発売し新分野に打ってで、その代わり長年販売していたパソコン「メビウス」からの撤退を表明した。
この他、拡大が期待されるタブレットPCの分野には、サムソン電子が低価格の「ギャラクシー」を引っさげて参入し、NECと富士通も新製品を発売した。
 
迎え撃つ、専用の電子書籍端末を発売しているアマゾン(キンドル)、ソニー(ソニーリーダー)の両メーカは電子書籍の知名度の向上を追い風に更なる売り上げアップを狙っている。
 
この他、電子書籍のソフトに関してはグーグルが先鞭をつけ、著作権などの問題はあるが世界の蔵書を片っ端にデータベース化を進めている。出版社、印刷会社、放送、広告会社なども独自に既存の本や今後出版される本を電子書籍化すべく画策している。
 
 
2. 電子書籍の普及
1)  アメリカでの普及
電子書籍が一足先に普及しているアメリカでは、全書籍の約1割が電子書籍となっており、今後急拡大していくと想定される。
アメリカでは女性はロマンス、男性はSF本の読者が安い読み捨てのペーパーブックから電子書籍へ移っている。また、普通の単行本は価格が2030ドル/冊と高く、重いためこれらを読んでいたビジネスマンなどが、電子書籍端末のキンドル(文庫本と同程度の大きさと重さ、価格は130ドル)を購入し、それにネットを通じて電子書籍を1015ドル/冊で購入し、通勤、出張の合間に読んでいる。
一般家庭においても、書店の数が日本と比較すると圧倒的に少なく、今までネットを使って本を購入していた読者が、電子書籍を利用すると自宅にいながらネット経由で読みたい本のコンテンツをものの1分もかからずに電子書籍端末へダウンロードできる便利さから普及し始めた。
 
このように、アメリカで電子書籍が広まっている理由は、書店の数、単行本の価格と重量、ネットでの物品の購入が当たり前、電子書籍端末の価格の安さ+文庫本並みのサイズと重量、コンテンツが安く、ダウンロードが簡単など、すぐにでも普及できる下地があった。
 
2)  日本での普及
日本の電子書籍端末の主力はまだ携帯電話である。コンテンツはコミックが8割以上のシェアを占め、内容は成人女性向けのボーイズラブ(若い男性の同姓愛を題材)としたものが主体で、書店では買うのをはばかられるコンテンツが電子書籍の普及の推進役となっている。
しかし、電子書籍とはどういうものかとの理解が広まるにつれ一般読者にも急速に関心が高まりつつある。
 
今後、日本において専用の電子書籍端末が10,00015,000円で購入でき、コンテンツは書店にいっても置いていない本や絶版本、ほとんど売れない専門書、いつも売り切れのベストセラー、新刊雑誌などが、本より安い価格で電子書籍になれば急速に広まりそうである。

3. 参考資料 (電子書籍の情報)
「日経トレンディ」と「ダイヤモンド」に電子書籍に関する情報が載っていたので紹介する。
 
日経トレンディ 201011月号 “いよいよ始動する電子書籍”
     タブレットと電子書籍の近未来「iPad対抗」の末端、サービスが激増する
           タブレット端末と電子書籍が大きく変化
     タブレット端末・実力チェック
              「電車内利用」でiPadに勝る端末ばかり
              2タイプの「iPad対抗タブレット」が今後の主役に
     電子書籍配信、次はこうなる
              グーグル、丸善&ジュンク堂が台風の目か
              本とは違う?電子書籍の新トレンド
             グーグル台頭
              書籍アプリで市場開拓
              ブログの次は自作電子書籍
              電子書籍を書店で製本
 
週間ダイヤモンド 20101016日号 “電子書籍入門” 
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  1. 2013年06月03日 10:38 |
  2. 電子書籍(自炊 著作権)

自炊(電子書籍化)の具体例、本のスキャン編

20101021
雑情報 (36-4)
    自炊(電子書籍化)の具体例、本のスキャン編
 
要旨
1.スキャナー
スキャンスナップは形状が小さく、スキャンスピードは超高速。
解像度は白黒600、カラー300dpi。カラー雑誌でもOCRの文字認識ができる。
1.1 スキャナーの購入&設置場所
設置場所はパソコンと連動して使うため机の上あるいは横が適している。
1.2 スキャナーを使ってみた感想
1)  総合性能
2)  紙質による読み込みエラー
安い再生紙を使った軽い単行本や薄手の紙を使った文庫本は重なりエラーが頻発。
3)  紙ほこりの発生
本の裁断やスキャナー時に紙くずや紙の粉がかなり発生。
自炊後に掃除機を使うのも重要な作業。
 
2. 自炊時に最も注意すべきファイル管理
オリジナルファイルを消失しないように最大限の配慮をすること!
自炊は何年も続くため自分が決めた手順や設定をきちんと決めておくこと。
 
3. 電子書籍や検索に使えるファイル管理の方法
3.1 自炊する本、雑誌のタイトルの付け方
タイトルはすぐに読みたい本、雑誌が分かるようにする。
3.2 自炊した電子書籍のファイルやフォルダーの作成と管理&バックアップ
オリジナルファイルを消失させないため、オリジナルフォルダーの他に作業フォルダー、完成フォルダーを作成する。
バックアップのため別のパソコンあるいは外付けHDDDVD-Rに焼き付け。
3.3 スキャナーの設定
スキャナーの設定は重要なので、当初からきちんと決めておく。
画質はスーパーファインとすることが重要。
古い本で黄ばんだ本の白黒の読み取り濃度は1ノッチ下げが良い。
3.4 スキャン後のオリジナルファイルの作成方法
オリジナルファイルとするためPDF化された文面とカバーを一体化させる。
文面のページの欠落、重複がないことを確認することが重要。
3.5 作業ファイルの作成
オリジナルファイルの完成後、直ちに作業ファイルを作成する。
3.6 完成ファイルの作成
使い勝手を良くするためと検索に使うためOCR化を行う。
 
4. 電子書籍として読む
*  OCR化した完成ファイルは1ページずつでも見開きでも読むことができる。

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1. スキャナー
スキャナー富士通のスキャンスナップ(ScanSnap)S1500は従来のフラットベッドタイプのスキャナーとは異なり超高速でかつ両面同時にスキャンできる。
 
読者の中に新聞や雑誌のスクラップなどのためキャノンやエプソンの複合プリンター(解像度:白黒300dpi、カラー150dpi)を使っていたなら、スキャンスナップの形状が小さいことと、まったく比較にならないほどのスキャンスピードの速さにびっくりするはずである。スキャン後の解像度は(白黒600dpi、カラー300dpi)高く、今までOCRで認識ができなかったカラー雑誌でも十分OCR化による文字認識ができる。
 
なぜこのタイプのスキャナーが今まで売れなかったのか不思議である。
ひとつには、実売価格42,000円のうちアドビのアクロバット9、実売価格30,000円が付属しているため価格が高くなっているのが原因。スキャンしたデータをPDF化、OCR化するために必要なソフトとはいえ、あまりにもアンバランスである。
10年ほど前までPDFソフトはアクロバットの独占市場であったが、いまやPDFソフトは無料から有料まで多数のメーカが提供している。スキャンスナップに付属のPDFソフトはユーザに選択させると15,000円程度で販売できるのでは?
 
1.1 スキャナーの購入&設置場所
1)購入
富士通製のスキャンスナップS1500 FI-S1500(写真1)はプラス製の断裁機と同様、ネットを使い価格比較を行った結果、アマゾンが最安値(41,100)であったため購入。スキャナーもアマゾンからの購入を薦める。
 
130602写真1富士通スキャンスナップ  
  
2)設置場所
スキャンスナップの形状は複合プリンターの1/3程度の大きさである。使う場合、USBケーブルを接続しパソコンと連動するため、パソコンの近くに設置しなければならない(写真2、3)
 
 130602写真2複合プリンター
 
 
 130602写真3スキャンスナップとパソコン
  
また、裁断した文面やカバーをスキャナーにかける場合、横にいてそれらの供給や詰まった時の再読み込みが必要なためパソコンを使っている机の上あるいは横が適している。
 
1.2 スキャナーを使ってみた感想
1)  総合性能
スキャナーは裁断した本を読み込み際にはパソコンと連動して使う。スキャンスナップは文面のデータをパソコンへ読み込みながら同時にPDFファイルへ変換する。
スキャンスナップは本や雑誌の種類を問わず、スーパーファイン画質(白黒600dpi、カラー300dpi)、両面同時スキャンで読み込んでも、見る間にスキャンとPDF化が行われるためスキャンでイライラすることはない。
 
その後、読み込んだPDFファイルはスキャンスナップに付属のアクロバット9を使い傾斜補正、OCR化、圧縮処理などのデータの加工を行うことができる。アクロバットを使ったこの処理には時間がかかるため、夜間、パソコンを使ってない時に自動で行わせるのがコツである。大体、文庫本1冊をOCR化(傾斜補正、圧縮を含む)するのに30分程度かかる。
 
2)  紙質による読み込みエラー
単行本、新書、文庫など色々な紙質のものをスキャナーで読み込んでみて、スキャナーの重なりエラー(紙が2枚重なって読み込まれると自動で検知し、読み込みがストップ、ディスプレイに状況が表示される)の発生頻度に相当な差があることがわかった(写真4)。 

130602写真4重なりエラー

   価格が高く、厚手のつやつやした重い高級な紙を使った単行本の場合には、
1冊スキャンするのに一回も重なりエラーなどは発生しないが、安い再生紙を使い、表面がざらざらした、軽い単行本は重なりエラーが頻発する。また、薄手の紙を使った文庫本でも重なりエラーが発生する。
 
重なりエラーが多く発生したのは、集英社の翻訳本、フレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」やリチャード・ローマーの「最後通告」などの単行本で、ほとほと手を焼いた。
対策としてスキャンにかける前に、裁断した文面を紙幣を数えるように重なりがないように扇形にめくったり、それを何度も繰り返したり、かつ、スキャンにかける文面の枚数を10枚程度に減らすと重なりエラーを軽減できる。
その反面、文庫、新書は30年前の黄ばんだ、シミがついたものであっても、重なりエラーをほとんど発生させずにスキャンができる。
これらの経験やネットでの報告から、再生紙を使った本、薄手の経済誌はスキャン時の重なりエラーが多いため、主としてこれらを自炊する場合には手間がかかることを念頭においておこう。
 
結論として、安物の再生紙を使った単行本、雑誌は自炊の強敵である。
 
3)  紙ほこりの発生
自炊は断裁機とスキャナーを使うことで、それほど苦にならずに本を処分できる。
しかし、自炊をして感じたことは、本の裁断やスキャナー時に紙くずや紙の粉がかなり発生することである。
参考として検索した自炊サイトには裁断、スキャナー、その後の電子辞書ソフトなどについては、いずれも詳しい説明、写真、動画などが紹介されているが、紙ほこりが発生することは、ほとんど記載がなく、書いてあってもほんの少しだけである。
表1に紙くずなどの発生場所、発生状況を示す。 
 
表1 紙くずや紙の粉の発生状況
No.
工 程
作 業 内 容
発生する物
1
裁断前の処理
単行本をカッターで解体
背表紙のくず、紙の粉
本の中味をチェック、除去
しおり、書籍案内、ほこり
カバー取り外し、カット
帯、ほこり
2
断裁機
断裁機で本をカット時
カットした背表紙、紐状のしおり、紙の粉
断裁後の本がばらばらにカットされているかをチェック
紙の粉、ほこり
3
スキャナー
スキャナー前に本文が重なりにならないようばらばらになっているかをチェック
紙のくず、紙の粉、ほこり
スキャナー時
紙の粉、ほこり
スキャナー後の本文
紙の粉、ほこり
スキャナー本体の清掃
紙の粉、ほこり
 
紙をカットする、本文をスキャナーで読み込ませる前処理時に紙くずや紙の粉が機器の周囲に飛散する。また、古く黄ばんで粉をふいたようにほこりが浮き上がっている本では紙の粉が舞い上がるため、自炊後は毎回掃除機で紙くずなどを吸い取り、スキャナー本体に付着した紙の粉を取り除くのも重要な作業である。
居住環境、健康を良好に保ちながら自炊作業を行うのが鉄則!


2. 自炊時に最も注意すべきファイル管理
1)  オリジナルファイルの消失 
オリジナルファイルを消失しないように最大限の配慮をすること!
スキャナーで本、雑誌をパソコンへ読み込むのは良いが、読み込む際のファイルの管理が悪いと、せっかく読み込んだ大事なオリジナルPDFファイル(以降、オリジナルファイルと呼ぶ)を消失することがありうる。
本は自炊後に捨ててしまうため、オリジナルファイルの消失は本をなくしてしまうのと同じである。
オリジナルファイルは絶対に消失しないようにしよう!
 
2)  オリジナルファイルを消失するケース
オリジナルファイルを失うケースは以下の3ケースである。
オリジナルファイルの上にOCR化したファイルを上書き
スキャナーで読み込んだオリジナルファイルをアクロバット9を使い単独でOCR化する場合(表示は、「OCRを使用してテキストを認識」)アクロバット9での標準設定は上書きとなっているため(フェイルセーフの設計になっていない、バグではと考える)、そのまま実行するとオリジナルファイルが消失し、OCR化したファイルに置き換わってしまう。
よって、このOCR化は絶対に実行しないこと!
OCR化をする場合には、「OCRを使用して複数のファイルのテキストを認識」を使うこと。
 
(絶対に行ってはいけないケース)
アクロバット→文書→OCRテキスト認識→OCRを使用してテキストを認識→テキスト認識の表示がでてくる(写真5)。 
 
 130602写真5絶対にやっていけない 

 テキスト認識の表示がでてくる(写真6)。 
130602写真6絶対にやっていけない

ここで、
ページ:すべてのページにチェック
 設定:OCR言語            :日本語
       PDFの出力形式   :Clear Scan
          ダウンサンプリング:最低(600dpi)
としてOKを入れるとオリジナルファイルが消失し、OCR化したファイルに置き変わる。
 
ただし、写真7はOCRを使用して複数のテキストを認識の場合にも表示されるが、そのケースでは問題ない。 
 
オリジナルファイルを用いて作業を行う
電子書籍で読むためにOCR化をする途中、加工時に加工ファイルとオリジナルファイルを混同してしまい、わけがわからなくなった。
そのうちに誤って、オリジナルファイルへ加工ファイルを上書きしてしまった。
 
自炊時のファイルの整理方法をうろ覚えあるいは忘れた
手持ちの本、雑誌を多量に自炊したあとには自炊の頻度が極端に少なくなる。
随時、本、雑誌を入手する度に行うため、まとめて自炊している時にはスキャン、ファイリング、加工方法などを覚えているため、きちんと手順や設定を記録していなくとも間違いなく電子書籍化できるが、時間経過とともにそれらの一部を忘れてしまい、間違った設定やファイリング方法を行いかねない。
自炊は今後、本や雑誌が出版される限り数十年と続く(ただし、次第に現物の本、雑誌での発行は減少していく)ため、自分が決めた自炊の手順や設定をきちんと記録しておくことが大切である。
 
次章でオリジナルファイルを失わずに、電子書籍で読む、検索に使えるファイル管理の具体的な方法を説明する。
 

3.  電子書籍や検索に使えるファイル管理の方法
裁断した本をスキャンしてパソコンへ読み込む場合、事前にオリジナルファイルなどをパソコン内に作っておかないと、スキャン時にあたふたと必要なファイルを作成するはめとなり、ファイルの名称、階層がいいかげんになりがちである。
後で修正するにしても手間がかかるため、初めから段取り良くファイルをどのように管理するかを決めておくとスムーズにスキャン作業が進む。
 
文面をスキャンする前にファイルやフォルダーに名称をつけ、作成、管理方法を決めておくと合理的に自炊ができる。
自炊のためのファイル管理の手順は、
自炊する本、雑誌のタイトルの付け方
自炊した電子書籍のファイルやフォルダーの作成と管理&バックアップ
スキャナーの設定
スキャン後にオリジナルファイルをOCR化する方法
以降にこれらの具体的な方法を示す。
 
3.1 自炊する本、雑誌のタイトルの付け方
自炊する本、雑誌のタイトルの付け方は本と雑誌で区分けすると便利である。
例として、
本 :本の名称+著者    
例:南太平洋ひるね旅 北杜夫
雑誌:雑誌名+4ケタの年号+月+付録などの追記事項
例:本誌の場合   日経PC21 20109月号
   付録の場合   日経PC21 20109月号 付録
 
タイトルはすぐに読みたい本、雑誌が分かることが大事である。
年号や月を続けて記載する(例:日経PC21 201009、また、本体はa、付録はbなどをその後に付ける 例:日経PC21 201009b)方法もネットでは推奨されている。この方法を採用すると検索は容易であるが、縮小版で探す場合には探しにくいため避け方が無難かも?
各自、自分のやりやすい方法でタイトルをつけるのが良い。
例として、写真7,8に自炊した文庫のリストを詳細、縮小版として示す。縮小版では本の表紙はカラー、タイトルの書名と著者が示されており、探したい本が一目瞭然にわかる。
 
 130602写真7自炊した文庫本

130602写真8自炊したリスト

3.2 自炊した電子書籍のファイルやフォルダー
*1)の作成と管理&バックアップ
自炊用ファイルの作成、保存方法をきちんと定め、それに則って行うことにより、スキャン後のファイルを間違いなく所定のファイルに保存し、誤って上書きしたり、消去することがない。
自炊で一番大事なオリジナルファイルの管理方法は
 
*1)文書や画像のことをファイルと呼び、ファイルを保存しているものをフォルダーと呼ぶ。
 
1)  フォルダーの作成とバックアップ方法
パソコンのDドライブ(ドライブが1つかない場合はCドライブ)へ電子書籍全体が入ったフォルダーを作る。
タイトル名は例として「電子書籍」
a)  電子書籍のフォルダーの作成
Dドライブを開く→右クリック→新規作成→フォルダー→新しいフォルダーの所へ「電子書籍」と入れる。
b)  電子書籍のフォルダー内に必要なフォルダーを作成
オリジナルファイルを消失させない対策として、オリジナルフォルダー以外に作業フォルダー、完成フォルダーを作成するのが良い。
オリジナルフォルダーには高画質、無加工(あるいは最低限の加工)のスキャンしたPDF画像(オリジナルファイル)を保存する。オリジナル画像は、スキャン後、ページの抜け、ダブリ、画質などに問題なければ、永久に保存する最重要情報なので、絶対に消失しないようにしなくてはならない。
オリジナルファイルを作成したら、すみやかに別のパソコン、外付けHDDにバックアップ(コピーを取る)するとともにDVD-Rに焼き付けて保存する。
  表2  自炊時に必要なフォルダーを参照。
 
表2 自炊時に必要なフォルダー
名 称
保存先
備  考
オリジナル
フォルダー
常時使うパソコン
 
・ オリジナルファイルを保存するフォルダーである。
・ オリジナルファイルは、消失すると二度と入手できないため、必ず常時使うパソコンの他に2つ以上の方法によりバックアップ(コピー)を取っておくこと。
・ 記録媒体は異なった方が望ましいので、他のパソコン、外付けHDDあるいはDVD-Rに保存する。
・ オリジナルファイルは貴重かつ重要なものなので、オリジナルファイルを使って作業するのは最低限とするのが望ましい。そのため、オリジナルファイルが作成できたら、すぐにコピーにより作業ファイルを作成すること。また早めにバックアップを取ること。
・ オリジナルファイルは、今後の技術の進歩による高性能のOCR、加工技術によりより的確な検索、読みやすいソフトが開発されるため、大事に保存しておく。
別のパソコン
又は外付けHDD
DVD-R又は
CD-R
作業
フォルダー
 
常時使うパソコン
・ 作業ファイルを保存するフォルダーである。
・ 電子書籍端末などで読むためや検索用にオリジナルファイルに圧縮処理やOCR化などの加工を行い、完成ファイルを作成する場合、オリジナルファイルから直接行うと、万一の場合、加工の途中でオリジナルファイルを消失したり、読み出し不良となったりする。また、誤ってオリジナルファイルに加工途中のファイルを上書きすることもある。
・ 今後の作業はすべてこの作業ファイルを元にして行う。
・ 作業ファイルは完成ファイルが完成したら不要なので、消去しパソコン内の無駄なファイル容量を減らす。
完成
フォルダー
常時使うパソコン
・ 完成したファイルを保存するフォルダーである。
・ 圧縮処理、OCR化処理した完成ファイルを保存する。
・ 今後、電子書籍端末を用いた本、雑誌の読書、中味の検索はすべてこの完成ファイルを用いて行う。
 
 
2)  各種フォルダーの作成方法
前記を元に具体的にフォルダーを作成する例として、
a)  オリジナル、作業及び完成フォルダー
電子書籍フォルダー内にオリジナル、作業及び完成フォルダーを作成する。
b)  各フォルダー内の個別フォルダー
各フォルダー内に本、雑誌などの個別フォルダーを作成する。
本の中のフォルダーとして単行本、新書、文庫などの細目に分ける。雑誌はパソコン誌、情報誌、経済誌などの細目に分ける。
これらは、各自自分にあったフォルダーの名称をつけると良い。
表3 フォルダーの例及び写真9 パソコンでのファイル管理の例を参照。
 
表3 フォルダーの例
メインフォルダー
大フォルダー
中フォルダー
小フォルダー
電子書籍
オリジナル
単行本
新書
文庫
雑誌
情報誌
パソコン誌
経済誌
その他
その他
 
作業
単行本
新書
文庫
雑誌
情報誌
パソコン誌
経済誌
その他
その他
 
完成
単行本
新書
文庫
雑誌
情報誌
パソコン誌
経済誌
その他
その他
 
 


130602写真9ファイル管理リスト 


3.3 スキャナーの設定
1)  スキャナー設定の重要性
スキャナーの設定については、当初からきちんと設定を決めておくと、新しい本、古くて黄ばみ、シミがついた本、カラーの雑誌などをスキャンするときに惑わない。
 
今回の自炊で一番手間をかけたのが、スキャナーの設定である。
事前にネットなどでスキャナーの設定についてくまなく調査し、暫定的にスキャナーの設定を決め、実際にいろいろと設定を変え文面を読み込ませた。
一旦、スキャナーの設定を決め実際に本をスキャンし始めると、万一もっと良い設定条件が見つかったからといって設定を変えて再度スキャンしようとは思わないし、本はスキャン後に捨ててしまうため物理的に再スキャンは不可能である。
 
本、雑誌をスキャンする際の設定はその後数十年先にもスキャンしたオリジナルファイルを使うことを考慮して決めるべきものである。
そのため、スキャナーの設定は将来を見据えて、極力高画質で変更を加えていないものが望ましい(新聞、雑誌のスクラップなどあまり重要性がないもののスキャンの設定は、スキャンの簡便さを重要視するのが良い)。
 
2)  具体的なスキャナー設定
自炊時のスキャナーの設定に関しては、スキャナーで推奨しているおまかせのクイックメニュー(写真10)を使うと簡単にそれなりのスキャンができる。

130602写真10クイックメニュー
 
しかし、クイックメニューでは画質の選択においてスキャナーが勝手に文面の色を決めるため、黄ばんだ紙の場合、白黒モードで良いのに黄色とみなしてカラーモードで読み込む。画質は高画質のスーパーファイン(白黒600dpi、カラー300dpi)に変更してもファイル容量が増えるだけで、スキャン時間などはまったく変わらないにも係わらず、ノーマル設定では白黒300dpi、カラー150dpiと低い。 
画質の高低はOCR化する時の文字認識率に歴然とした差があるため、画質は絶対にスーパーファインとすることが必須である。
また、古く黄ばんだ、シミがついた本はノーマルで読み込むとシミによる斑点が画面に出てくるため、設定を変更し白黒の読み取り濃度を1ノッチ下げると斑点が少なくなる。白黒の読み取り濃度を2ノッチ下げると、更に斑点は減少するが、印刷文字の濃淡により文字が薄くなるので下げすぎは好ましくない。
古い本で黄ばんだものなどいろいろ設定を変えてスキャンした結果、白黒の読み取り濃度は1ノッチ下げが一番無難であった。
 
表4に本、雑誌の区別、古い本、新しい本、本のカバーなど異なった種類の本などをスキャンする時のスキャナーの設定を示す。
写真1120にスキャナーの設定画面を示す。
写真11には本、雑誌の種類によりワンタッチで切替られる読み取り条件の設定画面を示す。
写真1219の画面は通常の単行本をスキャンする場合の設定である。表4の設定では一番左端の条件に該当する。
写真20は、表4の設定において古い黄ばんだ本をスキャンする時の読み取りモード、オプションにおける白黒読み取りモードの設定画面である。
 
 
 130602写真11スキャナーの設定
  
 
130602写真12スキャナーの設定 



 130602写真13スキャナーの設定
 
130602写真14スキャナーの設定  


 130602写真15スキャナーの設定 

 
130602写真16スキャナーの設定 


130602写真17スキャナーの設定 



130602写真18スキャナーの設定 



130602写真19スキャナーの設定 


130602写真20スキャナーの設定


ここで紹介した設定が今のところ一番適しているため、現在この設定で自炊を実行中である。今後、新しい情報やスキャナーのバージョンアップなどで更に良いスキャナーの設定が見つかれば、随時変更していきたい。
 
スキャナーは本来新聞、雑誌のスクラップ、ノート、領収書などのスキャンに使うのがメインであった。自炊は一昨年ごろから付随的に使われてきたものである。新聞などをスクラップ際のスキャナー設定は自炊時とは異なるため、後日改めて発行する。
 

表4  本、雑誌をスキャンする時のスキャナー設定 
本、雑誌の部位
文  面
カバー
本、雑誌の状態
新しい
古い
20年以上前の本、紙の色は黄色く、シミ、斑点が多い
新しい
古い
20年以上前の本、紙の色は黄色く、シミ、斑点が多い
新旧 
新旧
種類
単行本、文庫、新書
単行本、文庫、新書
単行本、文庫、新書
単行本、文庫、新書
雑誌
単行本、新書、文庫、雑誌
主体
文字主体
挿絵や写真が文章中に少しある
文字もあるが挿絵、写真が多い
カラー写真、カラー文字が主体
下地カラー。
カラー写真、カラー文字
スキャナー